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ゴールはたくさんの分野に

もう20年近く前のことだが、30代の頃は仕事が忙しくて、平日家では食事して風呂に入り寝るだけ、週末も土曜はほぼ使い物にならずダラダラ過ごすという風だった。毎日考えることと言えば仕事のことが大半で、得意先への対応や社内会議に始まり、書類提出の締切日、請求・支払業務など期限に間に合わせることなどに精力を使い果たしていた。当時すでに結婚して子どももいたので、家事も手伝わないといけないという気持ちもありつつ、意識も体もついてこなかった。趣味といえば今も続いているサイクリングだったのだが、当時は自転車は持っていたものの、ほとんど乗る気力がなく、ずっとガレージでカバーをかけられて保管されていた。まだ若かったので学びたいこともちらほらあったが、読書ひとつとっても、寝室で寝落ちする前の10分程度、数ページを読むのが眼界だった。当然、他の学びまで手が回るはずはない。せっかく社会人として生きているのだがら、仕事以外に、たとえば子ども向けにボランティア活動がなにかできれば楽しいのかなとも思ったりしたが、それもたまにそういう考えを思い出すだけで、どんなボランティア活動があるのかと調べるところまでも行きつかなかった。仕事ばかりしているのだからお金の心配はないのかというとそういうわけでもなく、ファイナンスについて知識もなければ、じっくり考える余裕もないので、「とりあえず、ガンガン残業していれば、なんとかなるか!」というくらいの感じだった。

バランスが悪かったなと思う。

最近出会ったある人も、同じような課題があると話していた。忙しい時はどうしても仕事優先で、考えることと言えば、仕事ばかりになると。

仕事を軌道に乗せようとして歯を食いしばって頑張っている時に、毎日毎日、仕事のことばかり考えていて悪いわけでは決してない。そうではないのだが、「脳の潜在能力」と言えばいいのだろうか、賢い脳の働きを知って、頼ってみるのもいいのではないかと思う。

最近よくテレビのニュースなどで、子どもを持つ働く女性の日常が紹介されることがある。朝起きてから夜寝るまでが、まさに戦場である。30代の時の私のように仕事はもちろん忙しいのに、家事、育児をこなし、夫の世話までしないといけない。常に動きながら、同時に2つも3つもタスクをこなしている感じだろうか?そう、人は同時に2つ以上のタスクを実行できるのである。やることの目的、目標がはっきりしていれば、脳は工夫してくれて、実行可能なタスクを見つけ出し、やろうという気にもさせてくれるのである。

そうであるなら、仕事がたとえ忙しい年代または時期に差し掛かっていても、忙しいことを理由にして、趣味や生涯学習、さらに地域貢献といったことまであきらめてしまうのはもったいない。まずやるべきことは、それぞれの分野に、心から望む現状の外側のゴールを設定することである。そして、ゴールを達成した自分の姿を脳の力を借りて精緻に想像し組み上げて、脳に覚え込ませていく。意識してやるのは、そこまでである。あとは、努力しなければという意志の力はさほど必要ではなく、自らゴールに近づいていくよう積極的に活動していくはずだ。

別にマジックでも何でもない。人の脳は、どうもそういうものらしい。

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