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会社の目標設定はもやもやする

そろそろ人事評価の時期?

1月から12月を会計年度としている会社では、12月で2023年度が終わったので、前期の社員一人ひとりの成果やパフォーマンスについて、そろそろ人事評価を行う時期ではないでしょうか?

たとえば、こんな風に。

まず部署に所属するメンバーがそれぞれ前期の活動を振り返り、期初に目標管理シートなどと呼ばれる書類に記入した目標に対する達成度を自己診断して記入する。次にそのシートをもとに面談し、マネージャーがメンバーにさらにヒアリングして、最終的にマネージャーが総合的に評点をつけていく。

私も会社員の頃はマネージャーとして、部下を評価したし、上司から評価を受けました。評価のために期の初めには目標を立て、期が終わると目標に対してどうだったのかということを確認していました。


扱いにくい会社の「目標」

その頃からずっと感じていたのですが、この「目標」というのが評価する側にとっても評価される側にとっても扱いにくく、それゆえに最終的に下される総合的な評価に対して納得感が今一つ得られませんでした。私は評価する側で評価会議に出席した時はいつも困惑していましたし、メンバーへ評価をフィールドバックする時には、その評価についてメンバーから「納得できない」とよく言われたものです。

この目標の「扱いにくさ」は、どこから来るのでしょうか?私は、次の2つが大きな要因ではないかと思います。

  • 本人がやりたいと思ったことを目標として設定できていない

  • 会社全体の目標と個人の目標に関連性があまり感じられない

期初に立てた目標が本人がやりたいと思って設定したものではなかった時、評価する側もされる側も、面談に前向きな意味をあまり感じず、ヘタをすると面談はマネージャーがメンバーを叱る、諭す、次期に向けて無理やりやる気を出させる場になってしまいます。

本当はやりたくなくても、それが「目標」

もともと会社が推し進める事業があって、それにこの半年一年でどう貢献するのかを定めたのが目標です。

だから、本人がやりたいとか、やりたくないとかいう気持ちはあまり重要視されていません。たまたまやりたい仕事が出来る会社に入社して、やりたい仕事に就ければハッピーですが、それでもずっとやりたい仕事に就けるかどうかは分かりません。なぜなら、会社の事情で人事異動は普通に頻繁に行われるわけですから。

会社も本人がやりたい仕事よりも任せたい仕事をさせているのが分かっているから、社員のやる気を引き出すために「会社のために頑張りなさい、そのために貢献してくれたら良い事がありますよ」という意味で、「いい評価=ボーナス増・昇給 & 昇進」とニンジンをぶら下げているのです。

Have-toではパフォーマンスは上がらない

でもニンジンによって少しはやる気を引き出せても、実際にはやっている仕事が好きでなかったり、気乗りしなかったりしているわけです。少なからずHave-toの気持ちで仕事に取り組んでいるわけです。

もし、そうやってHave-toでやっているなら、当然、Want-toでやる様にはパフォーマンスは上がりません。Want-toであれば、新しいビジネスの開発や業務改善について、あれやこれやと、どんどん斬新なアイディアが出てくると期待できます。でもHave-toで仕事に向き合っているなら、たとえ目標までは何とか立てられても、その目標を達成するためのいいアイディアは浮かびません。思い浮かぶのはきっとありきたりのアイディアばかりでしょう。

そのうえ、何とか立てた目標も、楽しくないワクワクしない仕事の目標では目標設定自体が雑なものになります。そして、雑に設定した目標だから、半年後に達成度を検証するといっても評価もまた雑になります。実際、そのような負のループにはまり込んでしまっている人が結構いるのではないでしょうか?

全体と個人の目標設定

次に、会社全体の目標と個人の目標の関連性について考えてみましょう。

普通、日本の会社において社員個人に対する評価(と報酬)は、会社全体の業績と関連づけられています。だから、個人の目標は会社全体の目標ときちんと結びついていないと意味がありません。

まず会社全体の目標があって、各部門にも目標があり、さらに小さな単位の部署にも目標がある。そして、一人ひとりの社員個人にも目標があって、全体から個人までの各段階の目標が、何かしら整合性を保って繋がっていないといけません。一般的には全体の目標が最初に決まって、より小さい組織単位や個人がそれに合わせます。

大きな会社の場合は、半年や一年ごとに全体の目標が大きく変わることはないでしょう。けれど、たくさんある事業領域の中で重点領域に焦点をあてたような全体の目標の立て方だと、それ以外の領域を担当している部署や社員は目標を立てにくいかも知れません。そんな時は会社のビジョンとか、経営計画とか、スローガンやフィロソフィーなど会社が未来に向けて進もうとする方向について様々な形式で言語化して発信している情報が役に立ちます。

それらの情報から会社が目指すところを多面的に理解することで、自分たちの目標を設定する際に参考にできると思います。

全体と個人をつないでいく

けれども、全体の目標やそうした会社の行き先を示す情報は、往々にして抽象的で、ぼやっとしていて(それ自体が悪いわけではないのですが)、もしくは総花的で、社員一個人からすると自分とどう関係するのかがよく分からないことも多いと思います。

だから、会社と個人の間をつなぐように、各部門、各部署のリーダーが抽象度を下げつつも、全体と整合性を失わずに、組織の各段階でその構成員にうまく共有できるような具体的なイメージを見せることがとても大事です。リーダーは、その共有するイメージを言語・非言語で表現できなければならないし、個人も自分のやりたいことのイメージをきちんと持つ事が必要です。

それぞれがイメージを持つことで、全社、各部門、各部署、個人の目標を上手に連携することが容易になります。そしてそれが巡り巡って個人の評価への納得感が増すことにもつながるのだと思います。

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