見出し画像

キャリアを賭けた行動は意志で起こさず、準備する

「とにかく行動しないと始まらない」というアドバイスを聞くことがよくあります。でも、そう言われても、行動する気がしないのだから仕方がないという反応もあるかも知れません。

行動を起こすには、人それぞれのタイミングがあるのだと思います。

それほど差し迫ってはいないけれど、多分、何か問題や課題があって、それを解決もしくは乗り越えたいから行動を起こすことが必要とされているわけです。(差し迫っていれば、とにかく行動を起こすしかありません。)

でも、例えば会社での自分の処遇についての不満は、自分だけでは解決できません。人事は基本的には自分の思い通りにはいかないものです。行動しようにも、どうしたらいいのかよく分かりません。

会社の事業についての不満や意見の相違も、自分が思っているようにはなかなか解決できません。

経営幹部の事業に対する考え方に依る部分が大きいからですが、往々にしてこれまでの自社や業界に対する固定観念の延長線上にしか考えが及ばず、それゆえに目標やゴールがあっても大体は現状の内側になりがちです。その結果、時間をかけて検討した割には、大きな変化が期待できず、あなたにとっては期待はずれの結果に終わります。

かといって、思い切った改革を行うために、自らが経営幹部に昇格するまで待つというのも、時間がかかり過ぎてしまいます。

結局、この場合も、行動しようにもどうすればいいのか判然としません。

また、会社勤めではなく、個人事業主や自分で会社を経営して仕事をしている人も、大差ないジレンマに陥ることがあります。

自ら好きな事業を始めて、最初はお金も稼げて順調そうにみえても、時間の経過と共にどんどん新しいものが見えて来て、当初期待したほどの事業ではないことに気付くということもあるでしょう。もしくは、「他にもっとやりたいことがあるのでは?」と漠然とした思いが出てくることもあるでしょう。

その時に、今の事業をそのまま続けるのか、もしくは、大きく事業を転換するのかと考え始めたりします。

でも、どちらに進むにしても、その先に何があるのか未来の映像が頭に浮かばなければ、決断し行動を起こすのは難しいと思います。

この場合も、今は行動を起こせないのです。

では、このようなモヤモヤとした課題に遭遇した時、どうすれば行動を起こすことができるでしょうか?

行動を起こすと言っても、結局はマインドの働きで行動が開始されるのですから、まずはマインドの準備から始めるのがいいと思います。

そこで、ここでは大きく二つをお伝えします。

まずは、人生の様々な側面について、ゴールは何かを考えてみてください。

上記に挙げた課題はいずれも仕事上のことでした。

でも、仕事は、あなたの人生の一つの側面でしかありません。

コーチングではバランス・ホイールといって、人生の様々な側面に10個程度のゴールを設定しますが、仕事のゴールは通常は職業に分類されます。

職業のゴールであれば、職業人として自らが関わる分野で専門性を発揮して、自身の成長を続けながら、社会に貢献し、ゴールを達成していくのが理想でしょう。

でも、仕事が職業のゴールでないというのもあり得ます。会社での仕事をファイナンスのゴールとして割り切って、お金のために働いているという感覚です。ファイナンスのゴールだからと言って、手を抜いて仕事をすると言っているわけではありません。

いずれにせよ、あなたの仕事は人生の一部であって、それ以外にも家族、趣味、生涯学習、社会貢献など大事なことがたくさんあるわけです。

それらのバランス・ホイール上のゴールをすべて眺めた時、いま目前にある仕事の課題はどう見えるでしょうか?

もしかしたら、たいした問題ではないかも知れませんし、今すぐに職場を変える選択をすべきなのかも知れません。

そこまで含めて、今が行動を起こすタイミングかどうかと言うことです。

もう一つの点は、もう少し自分以外のところに意識を向けて、得たいものやたどり着きたい場所を考えてみたらどうでしょうか?

何のために、その会社に勤めているのか?
その会社の存在意義は何か?
自分がその会社で働いている意味は何か?

何のために、その事業を自分で始めようと思ったのか?
自分がやる意味はどこにあるのか?

ただ、これらのことをいくら考えても、本当に欲しい答えはすぐには得られないかも知れません。

なぜなら、あたなにはスコトマ(心理的な盲点)があり、目の前にあっても今は認識できないものがたくさんあるからです。

だから、とにかく今より少しでも上を目指していくしかありません。「上」といっても、それが何を意味するのかは人それぞれですが、私は、よりたくさんの人にポジティブな影響を与えられる方向をお勧めします。

大事なことは、心からやりたいと思うことを選択し続けること。

ところがここでも問題があって、最初から心底やりたいことを見つけるのは難しいのです。そもそも心底やりたいのかどうなのかは、大量の知識がないと判然としないこともあるでしょう。

だから、とりあえずでいい。今考えられる、一番やりたいことを仮にゴールとして設定してみる。

そして、それに向かっていきながら、こう自問する。

「これが、本当にやりたいこと?なぜ、やりたいと思うのだろう?」と、少しでも「上」を目指して行く。

そうやって、ゴールを持って進んでいくうちに、スコトマが少しずつ外れて、今まで見えなかったことがどんどん目に飛び込んでくる。そして、新しい知識が増えてこの世界に対する理解が深まってくれば、自然と別の新しいゴールが見えてくる。

そして、「あっ、これだ!」というゴールが見つかれば、しめたもの。

それは、心からやりたいと思うものだから、誰に言われなくても、もうそこに向かって行動を開始しているはずです。

そうなのです。

要するに、行動できなかったのではなくて、心からやりたいゴールさえあれば、勝手に行動し始めてしまうのです。

だから、行動できない人を批判するよりも、まずはその人のゴールが見つかるようにお手伝いをしてあげましょう。

そういう人を「ドリームサポーター」と言うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?