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自分の意見を主張するときに気をつけたいこと。

自分の考えを主張することというのは,本当に難しいものです。しかしだからと言って,日本人によく見られる”主張しない美徳”というのはいかがなものだろうかと思っています。

自分が何も言わずに,伝わっていることを期待するというのはすなわち相手の思考に依存していることになります。

自分にできることをせずに,相手に責任を渡してしまっているという点で,主体性を失っているということもできるかもしれません。



けれど,やっぱり主張というのは難しく,両極端になりやすい自分がいることにも気が付くのです。

トラブルになったり,相手を傷つけたり自分が傷ついたりするのを避けるために控えめな主張(大事なことを伝えきれない主張)になってしまったり,あるいはまったく主張せずに自分がすべての責任を引き受けるようなコミュニケーションになってしまったりしますし,反対に相手への配慮が足らず攻撃的な主張になったり,自分の価値観を押しつける格好になってしまったりしてしまうことがよくあります。


日本のアドラー心理学の第一人者である野田俊作先生は,上手な主張の方法として著書「勇気づけの方法」の中で「主張的な自己主張」が適切であると述べています。

ポイントは以下5つです。

①横の関係に立つこと
②理性的であること
③論理的であること
④権利と責任を意識すること
⑤依頼口調を使うこと

勇気づけの方法/野田俊作/創元社

とりわけ僕が腹落ちしたのは「④権利と責任を意識すること」でした。

我々には自己主張する権利があるわけですが,同時に3つの責任を負います。一つは,相手にも同様の権利を認める事,二つ目にその主張の結果をすべて引き受けること,そして三つ目に,自分の自己主張する権利をもって,相手を傷つけてはいけないのだ,ということです。

相手に対して何らかの要求をするとき(単に何かをしてもらいたいというだけでなくて,自分の意見を伝えることは,基本的に相手にその意見を理解し,納得してもらうことを要求しています),要求する権利が僕らにあるのと同時に,相手にはそれを断る権利があることは明白なのですが,しかし,つい忘れてしまいがちでもあります。


伝えたいことは伝えたら良い。
けれども,相手がそれをどう受け止め,どう感じるのかは相手のものですから,相手にもその権利を認めること,その結果を受け止める責任,ひいては自身の主張が受け入れられるであろうことを一方的に期待するのではなく,まずは我々は我々にできることをするという意味で,相手に対して要求,主張をすることが大切なのだと感じました。

しかし,僕らは相手や相手の考え方をどうにかしようと固執してしまうことがよくあります。

そして固執するがあまり,結果として相手を傷つける主張になってしまったり,恨み節のような投げやりな主張になってしまったりしてしまいます。


その結果とて,僕らは引き受ける責任がありますが,できれば難しいことにならないような上手な主張を身につけたいものです。

相手を傷つけることなく,また自分の主張を一方的に飲み込むのでもなく,互いの権利と責任を理解したうえで,気持ちの良いコミュニケーションをとるために,勇気と思いやりのバランスがとても大切なのです。


参考:勇気付けの方法(アドラー心理学を語る4)
野田俊作著/創元社


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