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大学事務(学務系)職員実務研修#3

メンターになるひとに必須技能は、傾聴スキルです。
Active Listening とも言います。

いまさら傾聴かよ。
と思ったお父さんお母さんお兄さんお姉さん。

いまさら傾聴かよと思ったひとは、たぶんほとんどの場合「傾聴できてない」と思います。スキル未修得か、スキルレベル1か2ぐらいです。

傾聴スキルは、磨いても完成することのない奥の深い技術だからです。


多くの場合、傾聴をただ話を聞くだけなのだと勘違いされていますが、傾聴は決してただ聞くだけの技術ではありません。

まして、うなづいたり、相づち入れたり、オウム返しするだけの作業だなんて拙い理解です。


ロジャーズのセラピーを成功させるための条件の中に、セラピストに求められる3つの態度※というものがあります。

対人支援スキルを学んだひとにとってはお馴染みのアレですが、これらを修得することは本当に難しい。

だからこそ僕らは日々、修練に努め、しっかりと聴く技術を磨き続けるわけですから。

※1.無条件の肯定的配慮、2.共感的理解、3.自己一致の3つ

なので、メンター制度を成立させるためには、まずこの傾聴スキルを身につけて欲しいと思います(いやもうホントこれだけは上司になるひとは全員必須でマスターしてほしい)。



しかし真に重要なこと、いいえ、立ちはだかる大きな壁は傾聴スキルを修得することの難しさにはありません。

そもそも傾聴スキルを身につけようと考える者は、この技術を軽んじることがありませんから、自分は十分に傾聴できていると勘違いしてしまうような心配はないのですが、メンター制度を立案し組織に浸透させたいと考える者にとって最も困難なのは「傾聴スキル、あるいは一連の人材育成の重要性」を理解しないひとたちをどう取り込んでいくのか?ということです。


ポイントは大きく3つだと考えています。

一つ、今この瞬間、目の前の仕事の忙しさが最優先に見えている者への配慮をどう考えるか。
一つ、人材育成を考えるべき者はいったい誰なのか?という問題。
一つ、容易に効果を体感できるものではなく、その中で持続的に続けなくてはならないこと。



蛇足。僕は学務系の立場でありながら、研修プログラムやメンター制度についていろいろ考えました。そのせいで、越権行為だとエライひとに叱られました。企画そのものはなかったことにされ、なんでも実験的にやっていいから、立案してよという「局長企画」に応募したにも関わらず、ひどい叱られ方をしました。
巻き込んだ何人かの同僚には申し訳ないことをしたと思うと同時に、エライひとたちの懐の狭さに嫌気がさしたというのもまた事実です。
でもまぁ捨てる神があれば、拾う神もいます。
自分たちの信念に照らしてまっすぐに進んでいけば、いいこともあります。
僕が辞めた今でも、学務系PBL研修は実際に取り入れられ、しっかりと機能していてくれるという話を聞きました。若手のみんなの役に立つことができれば嬉しい限りです。


なにするにでも遅すぎるということはありません。
変化を嫌うひとは必ず居ますが、システムとて道理を外れたまま放置しておくことはできませんから、問題だと感じているひとが増えれば増えるほど、修正や刷新、てこ入れ、言い方はさておき、とにかくそのままではいられないのです。

だったら積極的に主体的に、自分たちのチカラで自分たちが望む方向へ舵を切りたいと僕は思っています。


これからの大学事務職員、とりわけ学務系においては、いかに現場で自分の裁量の範囲に照らし、個別のニーズに対して素早く的確に対応できるかどうかが重要です。自分の判断を信じて行動できる者の育成が望まれているということです。

自立型人材の育成こそ、最優先すべきことだと確信します。





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