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未経験の僕が仕事を辞めて学習塾を開校する話その37―入塾をお断りすること

入塾をお断りした件。
そんなにたくさんないですけれど、いくつかご紹介しましょう。

最初は開講した直後、まだ生徒がほとんどいない頃。

時は9月後半。
アポなしで突然現れた親子は開口一番に「高校受験にも間に合わせてくれるんですか?」と言われたので、何年生ですか?とたずねてみると、やっぱり中学3年生でした。

中3の9月に塾の門を叩いて、「間に合わせてくれるんですか?」という他人任せ感というか、まるでヒトゴトかのように振る舞える勇気には敬意を表しますけれど、僕に聞く前にまずは自分の息子に「間に合うようにがんばれるのか?」を問うて欲しいものだと思いました。

間に合うのか、というのは紛れもなく「志望校に合格させてくれるのか?」と同義であると感じましたので、「難しかろう」という判断のもと、丁重にお断りさせていただきました。



2件目は、僕の塾の理念にいたく共感をしていただいたお母様とその娘さんです。

中学2年生で、成績は1年生までは悪くなかったのですが、(お母さん曰く)両親の離婚をきっかけに次第に学校に行きたくなくなってきて、ちょいちょいお休みするようになってから徐々に悪くなってきているような状態でした。

お母さんが娘さんの状態をとても心配されていて、なんとかしたいと焦っている感じはすごく伝わってきました。なんとかしてあげたいという想いも僕にはありました。

ところが娘さんとふたりで60分ぐらい話をしてみると、彼女が泣きながら訴えることは「お母さんといっしょにおうちに居たい」ということでした。
最初はほとんどクチを開かなかった彼女でしたが、悩んで悩んで悩んだあげく言葉にしてくれました。
外で(塾や学校で)勉強したくない、家で勉強したい、と勇気を振り絞ってお話してくれました。

僕はそれをそのままお母さんに伝えることはしませんでした。本人の口から伝えてもらうのが一番良いからです。「お母さんにがんばってそのことを伝えられるかい?」ときいてみたら「がんばる」と言ってくれたので、お母さんには「入塾はいつでもできるので、いったん今日は持ち帰ってもう一度しっかりお話をしてみてください。」とお願いをしました。

その後、彼女がうちの門を叩くことはなかったので、しっかり話ができたのだろうなと思っています。



つづいて3件目。
3件目のお母さんは、「授業料が高い」だの、自分の子どもに向かって「オマエはできないんだから毎日通え」だの、「近くにほかに塾がないから来た」だの、僕を前にして堂々と言い放ったので正直最初からちょっと引いて見ていました。

横柄な態度なうえに、「通ったら成績はあがるんですよね」と高圧的だったので、私にできるのは水飲み場まで連れて行くことだけで、水を飲むかどうかは本人が決めることです。もしも強制的に水を飲ませたいのなら、そういう塾は他にたくさんあるのでそちらの方が適当だと思いますよ、とお断りしました。

お客様は神様かもしれませんが、僕はその神様に仕えるつもりはまったくないのでこのような感じのひとは例外なく丁重にお断り申し上げる次第です。



最後、4件目。
いったんは入塾しかかったのですが、1on1の際に、「勉強はしたくないけど、塾に来ていれば勉強しているように見えるから、お母さんに叱られずにすむ」とはっきり言ってくれ、あげく体験の際にとなりのお友だちに話しかけたり、スマホでYouTube見たり、TikTok見たり、まったく勉強する気がなかったので、お疲れ様しました。



いずれにしても本人がその気になっていないままに入塾いただくことはありません。これからもないと思います。いっときの売り上げに心奪われると良いことはありません。

矜恃を無視して、意に反した受け入れを続けて、いつの間にか自分の大事な塾が何か違うものに変わってしまうぐらいなら、信念に死ぬほうがマシだと思っています。

頑固でスミマセン。

サポートいただけると燃えます。サポートしすぎると燃え尽きてしまうので,ほどほどにしてください。