おっさんをジェントルマンにしてくれる場所 ホテル! シドニー編
なぜホテルについて書くのか?。
僕にとってホテルは、自分を試される場所だからだ。
オーストラリア旅 ホテル! シドニー編。
サムネイル画像は、シドニー港を出航する豪華客船ヴァージン・ヴォヤージュ。
これもホテルといえばホテルだ。
シドニー編
(1)行くことが困難なホテル
立地で選んだシャングリラホテル。
「高いところからオペラハウスを眺めたい!」
というシドニー滞在の目的を果たすべく、入念に下調べをしていた。
オペラハウスを目視できる場所といえばサーキュラーキーになる。
最終候補は、シャングリラとマリオットに絞られたが、マリオットが高層ビルに埋もれそうだったのに対して、シャングリラはホテルの前が開けていて、ビューが最高だった。
ハーバーブリッジもオペラハウスも見通せる。
ここしかない!という揺るぎない選択だった。グーグルMAPで下見も済ませた。
ところがである。
サーキュラーキー駅からホテルへは徒歩5分程度の距離。
だが、ホテルは丘の上だった。
考えられないくらいの急坂をスーツケースを押しながら登らなくてはならない。
妻がだんだん不機嫌になってくるのがわかる。
そのうえ、登り切った先にホテルエントランスがない。
納入用の業者の車が停まっているだけ。どうもこっちは裏口らしい。
奥にはハーバーブリッジにつながる高速道路が通っているため、壁がそそり立っている。
なんだが、首都高速に面して立つビジネスホテルみたいな塩梅で、シャングリラに泊まるのだ!という優雅な気持ちがみるみる萎えていくのが分かった。
仕方がないので、建物の裏手に回り少し歩くと、小さな小さな車寄せとオフィスビルの入り口のようなこぢんまりとしたエントランスがあった。
えっ?ここ?
で、早速やらかした
(2)英語で用がたせますか?
レセプションで「予約をしている00野00太郎です」
と申し出ると、すぐにチェックイン手続きが始まり、ルームキーが用意され、ホテルの説明があった。そして、チェックインタイム前にもかかわらず
「お部屋がご用意できています」
と告げられた。
ソファーで待つ妻に、「もう、部屋に入れるって!」
と弾んだ声で伝え、荷物を預けて部屋に向かおうとしたその時、
荷物を預かってくれたベルボーイが
「午後3時以降でないと、お部屋のご用意ができません」と言ってくる。
「え?、フロントで部屋の用意ができてるって聞いたんだけど?」
フロントに確認に行くと
「ご案内は午後3時以降となります」
と優しい笑顔が帰って来た。
英語の聞き間違いだった。妻の視線が冷たい。
汗だくで荷物を押して来たせいにもできず、この滞在で、英語をできるだけたくさん聞いて、たくさん話そうと心に決めた。
荷物を預けてドアマンに、ハーバーブリッジ方面に通り抜けはできないのか?と聞くと、
「できなくはないが、坂を降りてサーキュラーキーに出た方がいい」
と登って来た坂を降りるように勧められた。
僕と妻は、もうあの坂道は見るのも嫌だった。
別の道を探すべしと秒で意見が一致。
僕らの予想通り、そこはイギリス植民地時代の古い建物が残る「The Rocks」と呼ばれるノスタルジックなエリアで、階段が多かったけれど散策するにはこれ以上ないロケーションだった。
シドニー滞在中、僕らは何度もそこを歩いた。
チェックインまで、シドニーの雰囲気を楽しんだ僕たちは、夕方からのディナークルーズにそなえて、着替えのためにホテルに戻った。
(3)こちらの作法で振舞えますか?
ルームキーを受け取り、エレべーターに乗り込む。
目的階でエレベーターのドアが開くや否や、ドア前に立っていた私は颯爽とフロアに降り立った。
続いて妻が降りてくるはず、と後ろを振り向いた時、私は再び 〝おおぽか〟をやらかしたことに気付いた。
エレベーターの中で妻は、私以外のすべての男性客から
「マダム!お先にどうぞ」
と恭しく順番を譲られていたのだ。
「しまった! ここはレディーファーストの国やんけ!」
微笑みをたたえ、会釈をしながらゆうゆうと降りてくる妻を見ながら
「After you いわなあかんかった!」
と関西人でもないのに関西弁で反省する私なのであった。
そう、これから出かけるディナークルーズは、妻のバースデーを祝うためのものなのだ。
部屋からの眺望はこんな感じ。
桟橋には豪華客船ヴァージン・ヴォヤージュが停泊している。
翌朝、僕たちは朝食をとるためにホテル最上階36階のレストランに向かった。
部屋から見るのとは段違いの絶景がそこにはあった。
「オペラハウスを高いところから見る」ミッション、コンプリートである。
宿泊もしないのに、わざわざ見に行ったホテルがある。
それが、このWホテルだ。
フォルムがあまりに個性的で興味津々訪ねてみたが、またもや入り口が分からない問題が発生。
1周してようやく見つけられるって、ホテルの入り口としてどうなの?って思う。それも勝手口みたいな自動ドアだけの入り口だった。
すぐエスカレーターがあり2階のレセプションに上がる。
妻は、デザインが今風過ぎてお気に召さなかったようで、お茶も飲まず退散となった。
もうひとつが、シドニーの新たなランドマークとなる75階建ての
クラウンタワー・シドニー。
全館ホテルというわけではなく住居併設らしい。
バランガルーの先端に立つ。湾の一番奥に建つのがWホテルという位置関係。
シドニー編は以上となる。
僕は、急な坂道で体力と妻への配慮を試され、
フロントでヒアリング力を試され、
エレベーターでマナーを試された。
これだからホテルはやめられない。
おっさんをジェントルマンにしてくれる場所、それがホテルだ。
メルボルン編に続く。