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結論がなくても、誰かに伝えたかった子育てのこと

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子育て中の書き手がつづる、子どもをめぐるあれこれ
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保育園に行くと、花束を抱えた息子がいた

転勤族の私が地域に居場所がないころ、欲しかった場所|娘は、3回転校した

母になってから、その土地に長く暮らし、近所の人と関わりながら暮らすコミュニケーション能力の高い人たちを、うらやましく思うようになった。 夫婦ともに転勤族だから、仕方がないのか。そういう仕事を選んだかつての自分が悪いのか。見通しの甘さなのか。 娘は、小学校を3回転校した。転校先の保護者会にはじめて行くときは、たいてい先生以外とは話せない。帰宅後にどっと疲れが出て、台所に立てるまでに、時間がかかる。ネットで見つけた「子連れ歓迎・ワーキングマザーパーティ」に勢いで参加した後は、

息子に染みこむ、私に染みこむ、絵本の時間。

「ばぁば、すいかにきいてみるといいよ」 実家の畑でスイカがとれた。家庭菜園なので、内側が熟しているのかどうかわからない。私の母が「もう中身、赤くなっているかなあ」と悩んでいたら、息子がこう言ったそうだ。そして「ポンポンとたたくといいんだよ」とも。 平日の仕事帰り、実家に預けた息子を迎えにいくと、この話を母が教えてくれた。「よく知っているのねえ」と。私は、すぐにぴんときた。ちょうどその時、図書館で借りていた絵本に出てきたからだ。 「すいか!」(石津ちひろ 文・村上康成 絵

子育ては「仕事」に生きる、が幻想でも

息子と保育園へ行く時、交番の前を通る。必ず挨拶してくださる警察官の皆さん。「もうすぐコウバンだね。ピッ(敬礼)しないとね」。歩くことに疲れた息子の機嫌が、急上昇する。ああ、ありがとうございます。登園時間は波瀾万丈なので、一期一会の一瞬の好意に支えられ、保育園や家にたどり着く。 子育てをしていると、とてつもなく親切な見知らぬ方にお会いし、助けられることがある。だけど、うっすら分かりにくい嫌がらせ(嫌み)を受けることもあって、ときどき心がついていかない。勘違いかもしれない。疲れ

息子の通う保育園が、休園になった

息子の通う保育園が、数日間休園となった。関係者が「陽性」になったという。だけど、関係者が、先生なのか、子どもなのか、はわからなかった。 保健所が混んでいて、「疫学調査」が終わるまでに数日かかった。休園中のその間、先生方が何度も電話で最新状況を知らせてくださった。だけど調査の結果、「濃厚接触者なし」で保育園は再開。園から届いたメールには「ご不便をおかけしました」とあり、切なくなった。保育園は、悪くない。 我が家は、私が在宅で仕事をしている日、保育園を休ませた。 息子は、私

お弁当作りが、しんどくなった日|先生ありがとう

春休みになり、幼稚園の給食がなくて毎日お弁当の日々で、へろへろになっていたら、ある預かり保育担当の先生が声をかけてくれました。「大変なときは、コンビニのおにぎりを持ってきても、いいですよ」。 その優しさと気持ちのあたたかさに、泣きそうになりました。私の考えすぎかもしれませんが、働きながら子が幼稚園に通っていると、「できていない自分」に目が行きすぎて、自己肯定感がだだ下がりになる瞬間がたまに訪れるんです。 我が家は夫がお弁当を作る日もあり、合作の日もあり、基本冷凍食品も使い

「はね」に気がついた息子と出会うまで

昨日のお風呂上がり。4歳息子が自分の背中をしきりに触っていました。「あ、はねがあるよ、ママ!!」。肩甲骨のゴツゴツに気がつき、興奮気味。「みんなあるの?かっこいいよねえ」。 はねがあると、空を飛べるスーパーヒーローのように、強くなったような気がするとのこと。私の肩甲骨は凝り固まっていて、微動だにしませんが…。「腰が痛いので早く服を着て欲しい」と思っていた私も、思わず笑ってしまいました。 母になり、職場復帰したばかりのころ、子どもをお風呂に入れるのが苦手でした。子に「入らな

2歳児が挑む、田舎道

2歳の夏、初めて自分の足で父親の地元を歩く。 不安定な砂利道と草、彼方まで見える広大な田畑。 彼にとっては、異世界に踏み出すような冒険なんだろうな。 (埼玉県寄居町にて) 【写真を撮った人】中島和哉。2人の息子と妻、地元・埼玉県寄居町の日常を切り取っています。元新聞記者で、現在は新規事業の仕組みづくりを支援。朝晩の大半の時間を妻と子どものそばで過ごす日々でしたが、仕事を変えて、バランスが崩れ始めているのが悩み。インスタグラムは、https://www.instagra