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Everything’s gonna be all right.

夏の終わり、気の置けない友と日帰り避暑旅

予定は未定と方向音痴

目指すは長野(美ヶ原・ビーナスライン方面)
当日は朝から豪雨。。。
晴れ女ではあるけれど、さすがに夏の天候不順まではコントロールできない

中央道を進むと、降り頻る雨のせいでか事故大渋滞
元々行き先が “絶対” ではなかったこともあり、急遽予定変更
高速の分岐点で見えた「横浜・横須賀方面」

はい決定!
山へ行く予定が、急遽海へ
このフレキシブルな感じ、嫌いじゃない

Google mapを見ながら
「鎌倉・逗子・横須賀…こんなに近いんですね〜」などと、相変わらずの方向音痴と土地勘の鈍さを発揮する私

突然の出逢い

朝に出発してから時間も経過していたので、海老名SAで休憩
トイレを済ませ喫煙所に向かうと、土砂降りの雨の中 【湘南】と書かれた段ボールを持って佇む若者

Tシャツ・短パン・ビーサンにリュックとスケボー
わかりやすいまでに自由な出立ち
なんとも微笑ましい夏の光景
思わず歩み寄る

「湘南まで行くの?」
「はい!そうです。ヒッチハイクで…。どこまで行かれますか?」
そう答える若者の目はまっすぐこちらを向いて、キラキラと輝いている

「私たちは横須賀に向かう途中なの。同じ方向よね?でも、今日は私が運転手じゃないから、聞いてみるよ」
さっき知り得た湘南エリアと横須賀が近いという浅知恵を早速使う時が来た

「はい!可能ならお願いしたいです。聞いてみてください。」
急かすわけでもなく、詰め寄るでもなく、私たちの返事を待つと

喫煙所から友達に確認したところ、すでにあの若者に話し掛けている
思うところは同じだったか

「逗子海岸の海の家に友達がいて、そこを目指しています」

「横須賀に向かう前に逗子海岸に寄って行きますか?」
もう土地勘はバッチリ
即答で「そうしましょ!せっかくだから、逗子経由の横須賀で!」

“旅は道連れ”

ヒッチハイクの若者を伴い日帰り旅が続く

こういう時、母という生き物は「お腹が空いていないか?」これが真っ先に口を吐いて出る

「昨夜から何も食べていません。めっちゃお腹減ってます。」
「いいね!じゃあ何か食べよう!」
「カレーでも良いですか?」

即決して自己意思を伝え、屈託なく甘える反応が小気味良い
ここで「何でも良いです」なんて味気ない答えが返ってこなかったことが嬉しい

私はサンドイッチを頼む
持ち帰りの容れ物に入れて
もしかしたらこの先、あの若者がお腹を空かせてしまうかも知れないから
明らかに私一人では食べきれないボリュームたっぷりのサンドイッチ
残りだけど持たせてやろうという老婆心

カレーを頬張りながら、旅の目的なんかを目を輝かせて話してくれる
聞くと、京都からわずか2台で海老名まで来たとのこと

とにかくワクワクしているのが伝わってくる
そして、まっすぐで素直
「やりたいことがあるから行動する」
極めてシンプルだ
惰性で生きていない

そんな彼がどんな生き方をしているのか気になってInstagramを交換した
本当に便利な時代だ

あっという間に食事を済ませ、車に戻る
まだまだ降り続く雨
車中でも会話が弾む

おっさんとおばはん、そして若者

何の共通点もない3人が同じ空間にいる滑稽さと、不思議なくらい違和感のない心地好さ
初対面とは思えないような親近感

そこに彼がいるだけで、何とも明るく前向きな空間が広がるのだ
エネルギーに満ち溢れた人の“気”はものすごい

逗子海岸

間もなく逗子海岸

彼が会いたいという友達に私たちも会ってみたくなり、着いて行くことに
初めて訪れる場所、初めて会う人にワクワクする

さっきまで降っていた雨も上がり、雲の隙間からは陽射しが差し込み始めている

初めて見る逗子海岸は波も穏やかで、江ノ島、その先には富士山も見え、海から吹き抜ける風が心地好い

ズラ〜ッと並ぶ海の家
「友達はこの中のどこかにいます」

こちらが拍子抜けするほど、躊躇いなくそう答える彼
「えっ???」

「会えないかも知れない」「いなかったらどうしよう」とか、そんな悲壮感も猜疑心も全くない
「逗子に来ることはできたので、何とかなります!」

緩く

遠くから友達が来ることを今か今かと待っている様子でもないし
持ち物も最低限だし「本当に大丈夫?」と、またしても老婆心が疼く

「行けたら行くよ」
「来られたら来いよ、待ってるから」
きっとそんな乗り

この緩い感じ
とっても素敵だと感じたの

今の時代、携帯があるから“いつどこで何時に”という約束は簡単に取り付けられる
でも、敢えて彼らはそれをしていない

もしかしたら、彼らの中では “きっちりかっちり約束すること” には何の意味も価値もないのかも知れない

海岸に着いて間もなく、「あ!いた」
ドレッドヘアに海パン一丁のその友達が近づいてくる

焼けた肌から覗く真っ白の歯と満面の笑み

本当の自由

お互いを信じて、受け入れるってこういうことなのかも知れない
自分の気持ちや行動を優先して生きるってこういうことかも知れない

相手に押し付けられないから、自分も相手に押し付けない
相手に受け入れてもらえているから、自分も受け入れることができる
自分のペースを優先しているから、相手のペースも優先できる

相手を見張るわけでもないから、相手を監視する必要もない

「べき・ねば」で生きていない
小さく拘束された社会で、雁字搦めに不自由に生きるのではなく
とっても大きくゆったりとした世界で、自由に人と関わっていることが分かる

“お互い様” それが成立している

彼らが“あちら側”だとしたら、“こちら側”の人にとっては到底理解できない時間軸だと思う

それは時に「わがまま」だったり「自己中」というような言葉で表現されるかも知れない

だけど私は、本当の人間らしさって彼らのような生き方だと思う

とにかく【自分軸】で【能動的】に生きていることがビンビンと伝わってくる

済し崩しのだらしなさや緩さだけではなくて、そこには礼儀もさり気ない配慮や心遣いもある

「欲」がもたらす原動力

「やりたい」という強い意志があって、それを叶えるために即行動に移すエネルギーが満ち溢れていた

最高にPEACEでストレスフリーな生き方

久々の対面だということが嘘のように普通に過ごす彼らの感覚
私たちなら、もっと再会を味わうとか情緒的なものを求めてしまうところ

しかし彼らは、彼らそれぞれの感情をそれぞれで感じている

そこにはそれぞれの感情の無理な押し付けや共感の強要がない

気付き

彼らはとっても大きな世界で、時間も距離も超越したところでお互いの繋がりを感じておおらかに生きている
反面、いい歳したおっさんとおばはんは、どれほど小さく縛られた社会で齷齪と生きているのか?痛感させられることとなる

友に再会しても、特別何かをするわけではない
海の家の椅子に座り、陽の光と、海から吹き抜ける心地好い風をただただ感じて過ごしているだけ
まさに、予定は未定

【人間らしさ】【心の豊かさ】【幸福感】ってこういうことなんじゃないか?と実感した

Everything’s gonna be all right / Bob Marley
この曲がぴったりなシチュエーションだった

海を眺め、彼らのやりとりを見ているさっき逢ったばかりのおっさんとおばはんの姿
彼らにとったらとても滑稽なものだっただろう

去り際

次の目的地もあるから、私たちは早々に退散することにした

『 また来てくださ〜い!【よい1日を〜】 』
ドレッドヘアの彼が満面の笑顔で手を振る

この【よい1日を〜】という一言

聞いて泣きそうになった
彼らにとっては何てことない一言だったのかも知れない
その言葉には、何の企みも下心もなく、純粋なお別れの言葉だった


まるで、海外での別れ際のような…何とも心地好い「さようなら」
優しさ、相手への敬意、枠のないフラットさ…

心に温もりを届ける素敵な言葉だった

不覚にも最後の最後でまたおっさんとおばはんの胸にズシンと響く

こうして、若者との出逢いによって、中年2人の人生観を再認識させてもらうという刺激的で貴重な経験をすることとなった

車に戻り、さっきまでの出来事を振り返り、しばしの沈黙

奇跡の連続

もし、事故渋滞がなければ
もし、「横浜・横須賀方面」を目指していなければ
もし、SAに寄っていなければ
もし、反対側のトイレや喫煙所に行っていたら
もし、30分遅かったら

もし…もし…
重なった奇跡の連続に、改めて鳥肌が立つ

どうかこの先もたくさんの旅を続け、たくさんの人に出逢い、たくさんの経験を積み重ねて生きて行って欲しい

そして、それは若者だけではなく、私たちにも当て嵌まること

再認識

年齢は単なるナンバリング
人生に年齢制限なんてない
今日がこの先の人生で一番若い日
自分の人生は自分のもの、自分の人生の舵取りは自分がする
物でもない・人目でもない
大切なのは自分の心が“今”どうしたいのか?

今を生きることの意味と価値
素直で在ることの清々しさと美しさ
想いを行動に移すことの重要性
自分の本音に忠実で在ることの大切さ


人柄は生き様となり、生き様はその目と言葉に現れる

出逢ってくれた君に心から感謝したい

Life is beautiful.
Everything’s gonna be all right.

横須賀の旅は続く。。。

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