JABA北海道社会人野球結成記念大会プレオープンマッチ 1日目
7月31日～8月2日に、札幌円山球場で北海道社会人野球で今季初となる有観客大会「JABA北海道社会人野球結成記念大会プレオープンマッチ」が開催されました。
3日間6試合を観戦してきましたので、結果とゆるい感想を記します。
大会の概要は、こちらの記事をご参照ください。
結成記念大会は、例年、6～7チームによるトーナメント戦を行います。
今年は新型コロナウイルス禍で激減した企業チームの実戦機会を増やすことを目的に、本戦に先駆け、日本製鉄室蘭シャークス、航空自衛隊千歳、JR北海道硬式野球クラブ、北海道ガスによる、4チーム総当りのシード枠順位決定戦を開催しました。
対戦結果は上図のとおりです。（JABA北海道地区連盟ホームページより）
1日目① 日本製鉄室蘭シャークス 対 航空自衛隊千歳
◆スターティングメンバー
先攻 日本製鉄室蘭シャークス
(中)小林 (遊)銭谷 (二)青木 (捕)田畑 (一)小屋畑 (三)松嶋 (右)飯田 (指)若松 (左)永森 (投)鈴木駿
後攻 航空自衛隊千歳
(右)柳川 (二)岸本 (三)伊賀 (指)佐藤大 (中)竹原 (左)水野 (一)小野 (捕)石井 (遊)工藤研 (投)佐藤怜
◆バッテリー
室蘭：鈴木駿(6回)、髙田(1回)、瀬川(1回0/3)-田畑
空自：佐藤怜(6回)、奥﨑(3回)-石井
◆試合経過
室蘭シャークスは鈴木駿也投手（山形中央高-ホークス）、航空自衛隊千歳は佐藤怜投手（札幌北陵高）を先発に立てた開幕戦。
1回裏、空自は3番・伊賀俊輔選手（横浜創学館高-道都大）のライトへのホームランで先制。続く佐藤大貢選手（東海大相模高-東海大）の一振りはレフトスタンドへ。連続ソロホームランで2点を先制。
2回表、室蘭シャークスは先頭の小屋畑尚哉選手（室蘭大谷高-道都大）が2ベースで出塁。二死から若松一吉選手（北海高-亜細亜大）のタイムリー2ベースで1点を返します。
5回表、室蘭シャークスは永森竜次選手（北照高-札幌大）、小林俊己選手（能代松陽高-函館大）の連続ヒットと送りバント悪送球で無死満塁とし、青木健太選手（駒大苫小牧高-駒澤大）の犠牲フライと小屋畑選手のタイムリーで2点を挙げ3-2と逆転に成功。
7回裏、この回から室蘭シャークスは鈴木駿也投手から髙田将太投手（室蘭工業高）に継投。
空自はショートゴロ悪送球を足がかりに好機を広げ、岸本大志選手（旭川工業高）のタイムリーで3-3の同点に持ち込みます。
7回表から登板した空自・奥﨑大喜投手（東海大浦安高-東海大）を攻めあぐねていた室蘭シャークス。9回表に四死球で無死1,2塁の好機を得るも後が続かず無得点。
9回裏、空自は室蘭シャークス瀬川隼郎投手（北海高-ファイターズ）から飯田和樹選手（仙台城南高）、柳川大和選手（旭川工業高-旭川大）、岸本大志選手の3連打を決め、サヨナラ勝ちを収めました。
1日目② JR北海道 対 北海道ガス
◆スターティングメンバー
先攻 JR北海道
(中)水木 (三)嶋田 (二)冨田 (指)松浦 (右)丹澤 (一)福田 (左)小林 (捕)井内 (遊)西山 (投)福山
後攻 北海道ガス
(中)米満 (二)古谷 (遊)大友 (左)高橋 (三)安田 (右)長谷川 (指)東海林 (捕)中林 (一)小栗 (投)鈴木
◆バッテリー
JR：福山(3回)、和田(3回)、伊藤(2回)-井内
ガス：鈴木(5回)、武笠(2回)、長江(2回)-中林
◆試合経過
2回裏、北海道ガスは東海林寛大選手（札幌日大高-日本大）のタイムリーで1点を先制。
5回表、JRは一死から西山裕貴選手（国士舘高-東北福祉大）がヒットで出塁すると嶋田源太郎選手（銚子商業高-流通経済大）がライトへ鮮やかな逆転2ランを放つ。
8回裏、北海道ガス先頭・米満凪選手（敦賀気比高-奈良学園大）がセンター返しで出塁。続く古谷友和選手（北海高-北海学園大）のバントを捕手が二塁へ送球するもフィルダースチョイス。
送って一死2,3塁となったところで、4番髙橋謙太選手（生光学園高-國學院大）がライトへ強烈な2点タイムリー3ベースを放ち、北ガスが逆転。
9回表のJRは井内駿選手（苫小牧東高-東海大北海道）がヒットで出塁するも、北ガスルーキー・長江理貴投手（帯広緑陽高-明治大）の前に攻撃が繋がらずゲームセット。2-3で北ガスの勝利。
雑感（1日目）
例年の結成記念大会は、都市対抗野球大会の後、社会人野球日本選手権予選のおおよそ1ヶ月前となる8月中旬～下旬に開催されます。
このため、日本選手権にエントリーする「企業チーム群」同士の対戦ですと、主力をあえて外して手の内を隠す、いわば腹の探り合いが展開されたりします。
しかし、今年は新型コロナウイルス禍で試合が激減。各チームは9月の都市対抗予選に照準を合わせ、限られた機会で戦力の底上げと見極めを行うことに。
実は、このプレオープンマッチの直前にも、7月の3週間にわたり日本選手権エントリー4チームが2試合ずつ対戦する「企業チームリーグ戦」なるオープン戦期間がありました。
例年と比べて企業同士の試合が短期間で集中的に行われるため、手の内を隠すも何もなく、強豪相手に多くを試して収穫を得ることを目指す、そんな大会になったと感じています。
◇ ◇ ◇
1試合目の日本製鉄室蘭シャークス対航空自衛隊千歳は、空自の佐藤怜投手、奥﨑投手がよく踏ん張りました。
空自を得意とする室蘭シャークスを度々苦しめてきたのがエース左腕・佐藤怜投手。5回に無死満塁から2点を失いましたが、ビッグイニングは許さず。奥﨑投手も毎回ランナーを背負いましたが冷静でした。
そんな佐藤怜選手に先制の援護をもたらしたのは空自が誇る大砲・伊賀選手と佐藤大貢選手の連続ホームラン。
そういえば、整列時に佐藤大貢選手が先頭に並んでおり、円陣や声掛けにおいても彼が中心にいました。どうやら、キャプテンは伊賀選手から佐藤大貢選手に交代したようです。
シャークス投手陣は頑張ったのですが…9回裏のサヨナラは瀬川隼郎投手が連打を浴びてよよよ（；∀；）と狼狽する間に決着がついていましたね。まあそんな日もあるさ。
この試合で印象に残るのは、室蘭シャークス新人・三上謙人選手（苫小牧工業高）の打席。空自に追いつかれた直後の8回表に代打起用されました。
まだ同点、走者のない場面で、ベンチからは「三振でもいい振り切れ」「思い切って行ってこい」「好きに打っていけ」と温かい声援。
一度、恵庭で行われたオープン戦を観に行ったときは指名打者起用でのびのびとプレーしていたのですが、この日は緊張あるいは迷いが見て取れました。結果は粘れず空振り三振。
初めての公式戦、思い出深い円山の地……バッターボックスで何を思ったでしょうか。
どんな選手にも初めての瞬間があり、上出来とは限らない。もどかしい結果になりましたが、彼が大成するまでこの打席は覚えておきたいと思ったのでした。
◇ ◇ ◇
新人といえばJR北海道は9名が勇退し、プロからの移籍を含む9名が加入しました。
写真は昨年の都市対抗二次予選。（スタメン写真ではなくすみません）
大河内選手、土屋選手、大野選手、中浦選手、ここには載っていませんが増川選手…と主力選手の半分近くがいなくなりました。
そんな新旧半々なチームをまとめるのはキャプテンに返り咲いた9年目の嶋田選手。豊富な経験を持つベテランの存在感は抜群で、今回の試合においては5回に逆転の2ラン、打った瞬間にああこれは、と思うような当たりを放っています。
丹澤賢選手（甲府工業高-国士舘大）、松浦昌平選手（札幌第一高-筑波大）、小林勇希選手（大館工業高-函館大）と経験豊かな強打者はまだまだ残っているのですよね。2日目以降に火を噴く新人の活躍もさることながら、短期決戦の大一番ではこうしたベテランが決めてくるんだよなあと戦々恐々する初日でした。
対する北海道ガスは今季が創立3年目、そして新入部員が3名と少なめ。
選手層の薄さが解消されたとは言い難く、今大会の起用も「あの選手どこ行った…？？」が頻発したのですが、その中で大車輪の活躍を見せたのが先発の鈴木愛斗投手（滝川西高）でした。
初日は5回を投げ、その後3日間3連投、最後は何と完投。
おそろしい子！
シード順位決定戦1位通過の立役者は彼といっても過言ではないと思います。
昨年の富良野の結成記念大会はホームラン賞としてふらのワイン＆チーズギフトが贈呈されたので、今年の鈴木投手も労ってあげたくなります、札幌黄10kgとかホクレン牛乳券10Lとか。
鈴木投手と後続の武笠達也投手（花咲徳栄高-城西国際大）の頑張りに応えた高橋選手の8回裏の逆転打、4番の一振りは本当に見事でした。
観客の感染予防対策
新型コロナウイルス禍を経て厳戒態勢のもと行われた、今季初めての有観客試合。
円山球場の入場受付では手指のアルコール消毒、検温、指名・連絡先と健康チェックの記入が課せられ、更に自分の席周りを拭いてね！と除菌ウェットティッシュを1枚いただきました。
初めての試みに、連盟の方々はどうすれば効率的に入場客を捌けるか悩んでいたようですが、大きな混乱なくプレオープンマッチを終えることができました。
他地区では新型コロナウイルス感染者の急増を受け、有観客試合の撤回、大会中止が相次いでいます。
ここ北海道も楽観視できる状況ではない中、当初無観客予定であったプレオープンマッチを観客ありに変更して開催してくださったJABA北海道地区連盟の皆様に、本当に感謝です。
同時に、今後の流行状況によっては結成記念大会が無観客となる可能性も否定できず、そうなったときは潔く観戦を諦めますが、せめて試合そのものはできるよう願うばかりです。
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