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テーマ別説明会「地域の中で学ぶ特徴的なカリキュラム」開催レポート

7月26日(日)「地域みらい留学テーマ別説明会“地域の中で学ぶ特徴的なカリキュラム”」と題して、地域みらい留学の留学先4校の現地からの生中継イベントを開催しました!
3年間の高校生活を送ることになる高校の、先生や先輩が、学校の特色や入学してみて感じたことなど、リアルな言葉で伝えてくださいました。

テーマ別説明会参加校 (地域みらい留学受け入れ校)
・北海道おといねっぷ美術工芸高等学校 
・島根県立横田高等学校
・島根県立江津高等学校
広島県立加計高等学校

学校紹介①『ものづくりを通して、豊かな心を育てる』北海道おといねっぷ美術工芸高等学校(北海道)

◆学校について
 北海道おといねっぷ美術工芸高等学校は、北海道の上の方にある学校です。羽田空港からだと札幌まで1時間半、旭川までだと1時間45分の直通便がありますが、そこから更に札幌からだと5時間、旭川からだと2時間半かかります。

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 村の全景です。黄色い丸で囲まれているところが高校です。人口700人ちょっとの北海道で1番小さい村です。

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 北海道でも1番2番くらいの積雪がある地域です。赤い丸で囲まれているのは煙突ですが、煙突が隠れる高さまで雪が降り、冬はー30度くらいまで気温が下がります。

◆カリキュラムについて
 「造形体験を重ね、創造力を育成する」を学校の教育目標に掲げている美術工芸高校で、名前の通り美術と木工芸を学ぶ学校です。学生の出身地はほとんど北海道ですが、今だと各学年40名のうち10名くらいが道外生です。今だと1番遠いところは鹿児島の奄美から来ています。

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 授業は、普通の授業もしますが、美術の授業や図面を引く授業、道具を使った製材作業など、美術や工芸の授業が多いです。

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 生徒たちが制作したものは、最後に発表会の場で発表します。学校には生徒たちの美術品を展示するホールもあります。写真は発表会の様子です。

◆地域での活動について
 村の行事にも積極的に参加しています。中学生と一緒に植樹祭で木を植えたり、森林探訪で森を歩く行事をしたり、村全体でする村民運動会に参加したり、小中高で連携で、交通安全のキーホルダーを作って、配るといった活動もしています。

◆寮について
 全国から集まってきた生徒は、チセネシリ寮で暮らします。朝夜はブッフェ形式で、みんなで一緒に食べます。お昼は毎日お弁当を学校に届けてくれます。

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 寮では、北海道で有名なカンディーハウスという会社の机と椅子を使用しており、皆さん大切に使ってくれています。寮内には娯楽室、学習室、シャワールーム、お風呂などがあります。寮レクという寮生の交流会では、ボーリングに行ったり、旭山動物園に行ったりという活動もします。


学校紹介②『豊富な地域資源!学びあふれる地域』島根県立横田高等学校(島根県)

◆学校について
 横田高等学校は島根県の東部の山の中にあります。広島県の県境に近い所にあります。全校生徒が200名ちょっとの普通科の学校です。

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 学校の全景です。山の中にある学校です。ホッケー場が学校のすぐ前にあります。ホッケー部は全国大会にも出場している強豪校です。

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 山の中なので冬は雪が積もります。

◆カリキュラムについて
1年 奥出雲学

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 1年生は総合的な探求の時間に奥出雲学を学びます。横田高校がある奥出雲町は、過疎の町。少子高齢化が進む町なので、奥出雲学の授業では、地域の課題を地域の方と考えます。学期末には、生徒たちが自分たちで考えたアイデアを役場に持って行き提言します。発表の後は、町の役場の方からフィードバックをいただきます。

2年 だんだんカンパニー

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 2年生になると「だんだんカンパニー」という仮想会社を立ち上げます。(だんだんは、出雲弁で「ありがとう」という意味)。奥出雲町の特産品をどうやって売るか?奥出雲町をこれからどうやって発展させるか?などについて考えます。写真は奥出雲町の有名なブランド米、仁多米の田植えをしたり、はで干しをしたりしている様子です。

 2年生になると「総合コース」と「進学コース」に分かれて学習をします。

総合コース

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 総合コースは、高校卒業後、様々な業種への就職を考えている生徒向けのコースです。写真は、東京にある日本橋島根館で、お米やそば、野菜などの特産品を売っている様子です。都内3開所くらいに分かれて商品を売りました。今年は都内で研修ができないので、別の方法で販売実習をする予定です。

進学コース

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 進学コースでは、地域の課題を研究して大学進学につなげるための学習をしています。

例えば、
・人口減少をどうやって止めることができるか
・全国で唯一奥出雲町に残っているたたら製鉄に関する調査
・廃校になった校舎の再利用の方法
・特産品をどうやって今後アピールするか
などについて考え、研究をしています。

 上の写真の右下の部分は、生徒たちが研究した内容を青山学院大学で発表し、ディスカッションをしたときの様子です。

◆地域での活動について
 県外から来た学生は、積極的に地域でのボランティア活動に参加しています。寮にいると休日に時間があるので、ボランティア活動を通して地域の方との関わりを増やしています。 寮生は月に1回地域の方と一緒に食事会をしたりと、県外から来た人たちは地域の方と関わる機会が多くあります。


学校紹介③『探究活動"KAWARAプロジェクト"』島根県立江津高等学校(島根県)

◆カリキュラムについて

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 江津高校では、 探究活動の一環として、KAWARAプロジェクトを行っています。今日は、KAWARAプロジェクトの中から「神楽プロジェクト」についてご紹介します。

 神楽プロジェクトでは、石見神楽をテーマに活動しています。島根県西部を石見地域と呼び、その石見の地に伝えられてきた郷土芸能が石見神楽です。激しい舞とリズミカルで迫力のあるお囃子、豪華できらびやかな衣装をまとい、神話や武勇伝などを題材にした30以上の演目があり、携帯ゲームにも登場するスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治や刀を用いた激しい太刀、迫力ある演目もあります。子どもから大人まで、多くの人が愛する郷土芸能です。

 神楽は地域とつながるための最大のツール。江津高校では、神楽を通して地域とつながり、地域のことを学ぼうということで、「神楽プロジェクト」を立ち上げ活動しています。

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 神楽プロジェクトでは、「神楽をより楽しんでもらおう!」を目標に、授業の時間に様々な企画をしています。例えば、地域イベント向けに子供向けの体験ブースを出店したり、神楽の解説をしたりしています。神楽に関する調査をしたところ、「神楽は好きだけと、言葉は動作の意味がよく分からない」という人が多くいたため、神楽をより深く楽しんでもらうために生徒たちが解説を行うことにしました。学園祭の神楽公園の前に解説を行ったり、一般の方向けに神楽の解説を行う企画もしました。江津市には「GOつくる大学」という市民大学があり、生徒たちがGOつくる大学で神楽の講義を行う企画もしました。

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 より深く神楽について知りたい!学びたい!という生徒たちのために、神楽愛好会があります。神楽を習得して神楽公演を行うのはもちろんのこと、地域でのボランティア活動、行事イベントにスタッフとして参加、衣装製作、神楽のLINEスタンプの企画制作、神楽を活用した観光プランの企画、小学生向けの合宿の企画、地元の食材をもちいた弁当の作成、地域イベントの企画など、神楽に関連したものから、地域の課題に関連したものまで様々なことに取り組んでいます。

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 写真は、6年前の神楽公演の際に撮影したものです。卒業生たちは、公務員として地域のために働いたり、一般企業に就職した人も地域と密接に関わる仕事をしていたり、伝統芸能に関わる仕事をしていたり、今まだ大学生の人も研究テーマが地域や神楽のことだったり、今でも江津高校での学びを活かした活動をしています。

 江津高校では、神楽を通して地域のことを深く学ぶことができます。他にも様々なプロジェクトがあり、地域の課題解決のために、地域へでかけたり、地域の方と様々な活動をしています。皆さんも、江津高校で地域のことを学んでみませんか?


学校紹介④『国際交流に起業化教育!本当に公立高校!?』広島県立加計高等学校(広島県) 

◆学校について
 加計高校は、全校生徒が約100人ですが、年間100人以上の外国人が訪問されます。団体様で訪問されることが多く、先日も悪天候ながら、メキシコから2名の訪問していただきました。全校生徒での交流の時間には、メキシコの伝統的なダンスや歌を教えてもらったり、メキシコマルバツクイズで現地のことを学び、充実した時間となりました。

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◆カリキュラムについて
海外留学

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 加計高校では、実質無料の短期ハワイ留学をすることができます。留学中は、現地の高校生や大学生と一緒に、英語やハワイの文化などを学びます。飛行機代などの必要な費用は、安芸太田町から支援してもらえます。英語に自身がない方でも、ALTの先生と実践的な会話の授業や少人数授業などで英語を学ぶことができます。

探究活動

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 探究活動では、起業家精神をもとに探究活動を行うことができます。起業家精神とは新しい事業分野を起こそうとする精神のことで、実際に起業家として様々な分野で活躍されている方から直接お話を聞いたり、安芸太田町と似た環境の地域に行って、その地域が抱える問題に対してどのような対策をしているかなどを学びます。去年は、熊本県の天草市に行って、イルカウォッチングや民泊などの天草市が実際に行っているアクティビティやおもてなしを体験しました。天草市が行っている取り組みを学び、市役所の方から天草市が行っている政策とその理由について詳しく説明していただいたりしました。


Q&Aセッション

Q 寮について教えてください。寮の周辺で、生活用品を購入することができますか?アルバイトはできますか?

横田高校
 寮は月3万2000円で3食、光熱費込みです。コンビニ、スーパーが町の中にあり、生活用品や文房具を購入することができます。生活の必需品に困ることはありませんが、遊ぶ所はありません。申請すればアルバイトをすることができます。

江津高校 
 寮に入るのは、水球部の学生のみです。それ以外の生徒は地域の方がされている下宿で生活をしています。江津市は2万4000人くらいの小規模の市ですが、近くにスーパーやコンビニがあり、生活に困らない程度のものは揃っています。アルバイトは勉強や活動に集中してほしいという理由で原則禁止にしています。

Q プレゼンで発表していた内容以外でPRしたい活動内容があれば教えてください。

おといねっぷ美術工芸高校
 部活動では、クロスカントリースキー部が今年の冬インターハイで女子が総合優勝しています。数年前には男子が過去全国で4回優勝をしており、全国でも有数の強豪校です。また、けいおん学部が去年全道大会に出場して、賞をとっています。

横田高校

 海外派遣事業をしています。地元の奥出雲町に支援していただいて、安い値段で留学をすることができます。選抜された生徒は1週間程度の海外派遣事業をに行きます。(今年度は中止)

江津高校
 今2年生は9つのプロジェクトに取り組んでいます。
例)
・江津高校のある都野津町の駅の100周年記念を祝うイベントを企画するプロジェクト
・修学旅行の行き先を調査し、旅行日程を決めるプロジェクト
・こけを育てるプロジェクト
・保育、医療に関するプロジェクト
・学校PRのための広報プロジェクト
などがあります。

加計高校
 未来探求プロジェクトがあります。授業以外に自分がやりたいこと、研究したいことを学べるプロジェクトです。例えば、大田川という一級河川の整備をするプロジェクト、安芸太田町の名産の柿をつかったお菓子をつくるプロジェクトなどがあります。プロジェクトに参加している生徒は放課後に集まって、自分たちが深めたい学習を個人個人で深めています。

Q 生徒たちはどのような理由で、高校への進学を決めていますか?

江津高校
 子どもも大人もいろいろな事にチャレンジができる、地域の人とのつながりがあって、いろんなことにチャレンジしたり、アイデアが色々生まれてくるという魅力に惹かれて入学を決める生徒がいます。

加計高校
 加計高校には射撃部があり、全国大会にも出場する強豪校であるため、射撃部に惹かれてくる生徒もいます。私は高校の見学に来た時に、生徒1人1人の輝いてる感じに惹かれてきました。加計高校を進学先に選ぶ理由は、1人1人違うと思います。部活や活動に惹かれる人、地域性や人柄にひかれて入学する人もいますが、それぞれが思いをもって進学を決めています。

Q おといねっぷ美術工芸高校へ質問です。インフルエンザなどの病気になった場合は東京の実家に帰らなければいけないのでしょうか?

おといねっぷ美術工芸高校
 インフルエンザにかかった場合は寮での生活はできないため、基本的に実家に帰ってもらっています。北海道内に親戚がいる、知り合いがいれば、申請をすればそちらでの滞在も可能です。普通の風邪の場合は、寮内で休んでもらっています。軽い風邪や怪我などは、寮母さんにケアしてもらうことも可能です。村にも診療所がありますが、そこで対応できない病気の場合は、となりの市の市立病院に行くようになります。

Q コロナ対策としてどのような対策を行っていますか?

おといねっぷ美術工芸高校
 緊急事態宣言のときは、県外生には帰ってもいいと話をしましたが、皆寮に残り、実家には帰りませんでした。休校中は、紙の課題を出していました。今は、第2波に備えてZOOMなどのオンラインツールを使った授業など、先生たちと対応を考えている最中です。

横田高校
 休校になったときは、すぐにオンライン授業にすることができなかったので、紙の課題を渡して家でするという形をとっていました。県外生は横田に帰ってきたときに、すぐに学校に通うことができなかったので町の施設でしばらく待機してもらって、そこからオンラインで授業に参加していました。島根県は、第2波に備えて、県が授業のオンライン化を進めています。教室は20人程度で、密にならない環境なので一般的な対策を行っています。

江津高校

 島根県内の対応は基本的に同じですので、対策の内容は横田高校と同じです。生徒数が少ないので、なかなか密にはなりにくい環境です。一般的な感染症の予防対策をしています。 

加計高校
 スマホやパソコンなどの電子端末にG Suitというアプリをいれて、オンラインで授業を受けたり、課題を提出したりしています。検温をして毎朝学校に送っています。また、クラスを半分に分けて、密を避けています。体育の時間はマスクをはずさなと辛いので、マスクを取ってソーシャルディスタンスを守っています。

おわりに

 「地域の中で学ぶ特徴的なカリキュラム」をテーマに4つの学校が、それぞれの学校の取り組みを紹介してくれました。美術工芸、地域での探究活動、神楽を通した地域との関わり、国際交流。何か興味のあるテーマはありましたでしょうか?高校3年間をどの土地で過ごし、何を学ぶ?というのは、高校を選ぶ際、とても重要なポイントになってくると思います。高校進学を考えるこのタイミングで今一度「僕、私は何に興味があるんだろう?」と自分自身に問い直して、自分にぴったりな最高の高校を見つけることができるといいですね!

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