導きの星_感情曲線_03

戴いた本を読む「導きの星Ⅰ 目覚めの大地」

先日、尊敬する方から本を戴きました。その本のうちの1冊が「導きの星Ⅰ 目覚めの大地」(小川一水/ヌーヴェルSFシリーズ)です。2週間ほど(2018/5/24読了)で読み終えましたので、感想を書いていきます。
とても読みやすかったので、その理由を考え、まとめたことなどに書いていきます。
ネタバレを含むので、お気をつけください。


目次
・「導きの星Ⅰ 目覚めの大地」のあらすじと概要
・この本を読むきっかけ
・「導きの星Ⅰ目覚めの大地」各章のまとめ
・感想
・最後に



「導きの星Ⅰ 目覚めの大地」のあらすじと概要

銀河に進出して数多くの異星人と邂逅した地球は、文明の遅れた彼らを宇宙航行種族にすべく、〈外文明支援省〉を設立。〈外文明観察官〉を派遣して、秘密裏に援助を開始した。だが、若き観察官・辻本司と三人の美少女アンドロイドが発見した「スワリス」との意外な接触(と失敗) が、やがて銀河全体を波乱へと巻き込んでいく......。                 「導きの星Ⅰ 目覚めの大地」裏表紙より

著者・小川一水さん、イラスト・村田蓮爾さんのSF小説。全4巻のシリーズの第1巻。2018年秋にアニメ化企画が進行中。


読むきっかけ

前述したように、先日尊敬する方から3冊の本を戴きました。3冊全て別のジャンルの本だったので、理由を訊くと「読んで面白かったので、読んで欲しかったからだけ」だそうです。この本についてお話を聞くと「最近SF小説を読んでいて、その中で読みやすかった」と。
300ページほどと比較的読みやすく、読んだことのあるジャンルのSFだったもの手伝って、最初の1冊に選びました。
ちなみに、私のSF小説読書遍歴ですが、伊藤計劃「虐殺器官」「ハーモニー」「The Indifference Engine」、伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」を読み終えています。


「導きの星Ⅰ」各章のまとめ

全三章と最後に「オセアノ支援計画中間報告書」という「オセアノ」、「スワリス」、「地球」、「辻本司とその3体の目的人格」の現時点での説明で構成されています。

第一章「炎の夜明け」…主人公辻本司と3体の目的人格「アルミティ」「バーニー」「コレクタ」が惑星オセアノに初めて降り立ち、スワリスに火を教えるなどの支援をしつつスワリスたちと交流を深める。

第二章「蒼い牙」…第一章から140年後。スワリスはヒキュリジの上に君臨し、専制帝国を作り上げていた。穏やかな発展を目指す司たちは、スワリスたちに専制帝国をやめさせるために、ヒキュリジの鍛治職人キチォルのもとを訪れる。

第三章「南方楽土」…第二章から80年後。ヒキュリジの反乱によってスワリスの統一国家は崩れて、各地で都市国家が生まれていた。貿易の活性化のために司たちはオセアノに降り立つ。子供が犠牲になることに(自身の体験をもとに)強く反応する司など、司たちの物語も進み出す。

「オセアノ支援計画中間報告書」…「オセアノ」、「スワリス」、「ETI(地球外知性)」、「(物語世界の)地球」、「C・O(シビリゼーション・オブザーバー)(という項目だが、主に司とアルミティ・バーニー・コレクタの説明)」の報告書。この中では地球は本編では触れられることがあまりないので、この巻では最も深く説明されているのはここである。閉塞した地球の現状やスターストライダーについても触れられており、読むとスターストライダーがそこまで悪いようには見えなくなった。まさか最後にこんな事があるとは。


感想

オセアノには主にスワリス(黒皮族)とヒキュリジ(白猛族)という種族が住んでいるが、ヒキュリジはスワリスの亜種で人間でいうと白人と黒人のようなものらしいが、スワリスとヒキュリジはそれに気づいていない。1巻時点では互いを違う生物だと認識している。表紙に描かれているのは、おそらく第一章に登場するスワリスのチチュワだと思われるが、真っ黒でもないように見えることを思うと複雑な気持ちになってしまう。

章ごとできちんと区切切られた印象を受ける。司たちは彼らに大きな変化をもたらす目的で動く為、司たちがオセアノの歴史を変えてその行く末を見届ける訳でもなく各章が終わり、前の章より時代が100年近く飛び、(スワリスたちは人間より短命で)何世代も違うのでそれ以前の章の登場キャラクターはその子孫は登場するが、各章ごとに文化や社会が同じ惑星であるが、全く違うからだろう。各章最初と最後には司たちが降り立つ前のオセアノの様子と去った後の顛末が描かれている。300ページ程の長編小説ではなく、各章で100ページ前後の中編3つで構成されていると言ってもいいくらい各章は違い、その感覚で読める。これが読みやすく感じた要因ではないかと思った。

私が感じた、司たちがスワリス及びヒキュリジとの交流の積極性の各章ごとの度合いは、「第一章>>第三章>>>>>第二章」という感じだ。
第一章ではスワリスたちと主に交流するが、第二・三章ではヒキュリジと主に関わっていく。第一章のみ(ファーストコンタクトに失敗した為)そのままの姿で接触し、スワリスたちとともに生活し、特に司は「チチュワ」と仲を深めていく。司とこれほど仲を深めたのはチチュワのみだ。第二・三章は姿をカモフラージュし、ヒキュリジの姿で行動する。第二章では、チチュワと良い別れ方をしなかったこともあってか、あまり積極的に関わらず、ヒキュリジたちに知識を与えるのみに止まっている。第三章は、アルミティを中心に隊商を組み、船を造り、航海し、貿易をしていく。第二章と違うのは、アルミティや司たちがヒキュリジたちを率いていくところだ。航海では司が船主になることもあり、ヒキュリジの中での彼らの存在は大きいと思う。

司たちがスワリス及びヒキュリジとの交流の積極性の各章ごとの度合いの違いと連動するのか、このように読んでいる私のテンションも二章と三章の途中までジリジリしていたのが、三章終盤の展開で一気に上がった。

三章のところどころに気になる部分は出てきてはいたが、一気に司たちの物語が進み始める、あの高揚感はとても楽しかった。司たちが所属するUN(統一国連)と対立するスターストライダー(星間流通企業)のエージェントの登場、目的人格たちに組み込まれた司すら知らない目的の存在の表面化。司はアルミティに対して、バーニーやコレクタとは違う感情を持っているようで・・・気になるまま1巻本編が終わるので、続きを読みたくなった。


最後に

早速、2巻を買おうかとネットを調べてみました。1・3・4巻はすぐ見つかりましたが、肝心の2巻だけが見つからない。2巻だけ絶版になったのか、在庫がないのか・・・。どなたか私に2巻を読ませていただけないものかと思いつつ、現在違う本を読んでおります。これに苦心していて、この本を読み終わって、その本を読み始めから少し時間が経った為、もうすぐで読み終わりそうです。その本についても書く予定です。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
まだ戴いた本がありますので、このシリーズはもう少しですが続きます。また読んでいただけると嬉しいです。


「小川一水の宇宙SF 導きの星」 公式サイト


(2018/6/1追記 読了の日付の追加と見出し画像の変更とグラフを背景色を変更しました。)

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