社員からのヒヤリハット報告を増やすには?
・・・なんてこと、身に覚えがありませんか?
これは、幸いにも重大な災害や事故には至らなかったものの、一歩間違えればそのような事態になってもおかしくなかった危険な出来事、すなわち「ヒヤリハット」と呼ばれるものです。
業務に慣れていない新人ひよっこ社員から経験豊かなベテラン社員まで、誰が・いつ・どんな時に遭遇してもおかしくない出来事であり、気づいていないだけで実際には多くの場面で出くわしている可能性も・・・。
しかしこのヒヤリハット、「現場から全然報告が上がってこない!」という声が大変よく聞かれます。
重大な事故防止のためには、何とか多くの事例を集めて原因を分析しないといけないのに、困ったものです・・・。
そこで今回は、報告がなかなか増えない理由も含めて、ヒヤリハット報告を社内に定着させるための4つのポイントをご紹介します!
※今回の内容は、以下記事の抜粋になっています。完全版はこちらから↓
1.ヒヤリハット報告が増えないのはなぜ?
社員からできるだけ多くのヒヤリハットを報告してもらいたいのに、それでも報告件数が増えないのは一体どうしてなのでしょうか?
それは、一言で言うと現場の社員にとって「報告したところで大してメリットを感じられない」からです。
報告して上司から𠮟られたくない
単純な話、社員の立場からすると、ヒヤリハットという自らのミスも同然の出来事を上司に報告するには、叱られるのを覚悟で臨まないといけないため、かなり荷が重いです。
それで実際に上司へ報告して𠮟責を受けてしまったら、「もう𠮟られたくないから、いっそのこと黙っていよう・・・」と思って、自発的に報告する気が失せてしまうのです。
報告の使い道がよく分からない
ヒヤリハット報告を上げても、その報告が実際どのように活用されているのか使い道が分からないと、わざわざ手間をかけてまで報告を行う気にはなれないでしょう。
と疑う人がいる限り、報告数が増えることはまずありません。
報告書を作成するのが面倒
社内で簡単に情報共有を行うなら、口頭よりも文書による報告が適していますが、いかんせん報告書の作成にはどうしても時間がかかります。
業務の合間を縫っていちいち報告書を作成するのも面倒ですし、文章に苦手意識がある人は、なおさら提出を渋ってしまうでしょう。
2.ヒヤリハット報告を定着させるポイント
では、現場社員からの自発的なヒヤリハット報告を促すにはどうすれば良いのでしょうか?
報告に対する感謝を伝える
まず何よりも意識したいのが、ヒヤリハットの報告をしてきた社員をすぐに叱らず、
報告してくれた事実に対して「感謝」を伝えること
です。
・・・のように、報告して真っ先に感謝の言葉が返ってきたら、報告した当人は「勇気を出して報告して良かった!」と思い、今後も報告を繰り返すようになります。
また、報告を受ける立場の上司にとっても、感謝の言葉をきっかけに部下との信頼関係が構築され、ヒヤリハットの再発防止に向けて部下に適切な注意喚起を行いやすくなります。
部下への指導は、報告に対する感謝を伝えてからでも決して遅くはないので、ぜひ感謝の言葉を伝える習慣を取り入れてみてください!
報告の活用事例を社内に公開する
ヒヤリハット報告を行う当人にとっては、どのような形であれ、
「自分の経験が、確かに重大な事故防止のために役立っている!」
という実感こそが、忙しい業務時間を割いて報告を行う何よりの励みになります。
「報告書が提出されて、それでおしまい・・・」となるのは非常にもったいない!
ヒヤリハット報告がきちんと活用されているという姿勢を社内にアピールするためにも、以下のような施策を試してみてはいかがでしょうか?
手軽に記入できるようなフォーマットを用意する
誰だって、報告書に記入しなければならない内容が多かったら、面倒になって手を抜きたくなりますよね。
しかし、それで大して役に立ちそうもない杜撰な報告ばかり上がってくると、ヒヤリハットが発生した原因を分析し、今後の教訓として活かすことが難しくなってしまいます。
ヒヤリハットに関する質の高い情報を集めるなら、
・記入項目をできるだけ細かくする
・自由記述欄を減らし、〇を付けるだけの選択式の回答を増やす
など工夫して、手軽に記入しやすいようなフォーマットを用意しましょう。
報告書の「書き方ポイント」を押さえる
文書作成に苦手意識を持つ人の多くは、「何をどう書けばいいのか分からない・・・」と悩んでいることがほとんどです。
ですので、文章を書くのがあまり得意ではない人にも分かりやすい報告書を書いてもらうには、フォーマットの改良ももちろん大事ですが、報告書の「書き方ポイント」を伝えることも重要になってきます。
報告書を書く時に押さえるべき3つのポイントはこちらになります。
順番に見ていきましょう。
(1) 5W1Hをすべて網羅する
必要な情報を抜け漏れなく盛り込むには、「5W1H」に沿って記入すると効果的です。
さらに、
・こうしてほしい、こうした方が良いと思ったこと(提案・要望等)
・こうならなくて良かったと思ったこと(起こり得たさらに深刻な事態)
について記入するスペースも設けておくと、当事者のヒヤリハットに対する再発防止への意識をより高めることができます。
(2) 客観的な表現を心がける
報告書には、主観的な感情は交えずに、あるがままの事実に基づいた内容だけを記入するようにしましょう。
記入者の主観が入り込んでしまうと、後から報告書を見た人がヒヤリハット発生時の状況を正しく把握しにくくなるためです。
理想は、ヒヤリハット発生直後の記憶が鮮明なうちに報告書の作成を始めることですが、もし時間が経って記憶がぼんやりしている場合は、曖昧な部分を除いて覚えている範囲だけでも正確に事実を記入します。
(3) 専門用語をなるべく使わない
ヒヤリハット報告書は、社内の様々な部署や役職の人に共有される可能性が考えられます。
そのため、誰が読んでも内容をすんなりと把握できるように、
・業界特有の専門用語や略語には注釈を付ける
・わざわざ辞書を引かないと分からないような難解な表現は使わない
など、なるべく読み手に配慮した説明を心がけましょう。
「自分が読んで分かればいいや」
ではなく、
「専門知識があまり無い人でも、これを読んでちゃんと理解できるかな?」
と考えを巡らせて文章表現を工夫してみると、社内の人が「これは分かりやすい!」と唸る報告書が作成できますよ!
まとめ -「何をやっているんだ!」から「よく報告してくれた!」へ
ここまで、ヒヤリハット報告を社内に定着させるための4つのポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ヒヤリハット報告の習慣化を図るうえで最も大切なのは、「報告してくれて助かった」という感謝の気持ちを積極的に表へ出して、社員に「報告しても頭ごなしに𠮟られることはない」と安心感を持たせることです。
安心してヒヤリハットを報告できる体制・雰囲気作りの第一歩として、まずは報告を行ってくれた人に、
「何をやっているんだ!」
と𠮟責の言葉ではなく、
「ありがとう、よく報告してくれた!」
と感謝の言葉を伝えることから始めてみてはいかがでしょうか?
※今回の内容は、以下記事の抜粋になっています。完全版はこちらから↓