見出し画像

#04 22回も受審しましたが、なにか? ~昇段審査の都市伝説


昇段審査の都市伝説 序章

noteでは、地味ながらも私の視点からの「生地胴をはじめとする剣道具の面白さ」「アマチュア剣道愛好家が経験した昇段審査の都市伝説」などを軸にしていろいろ書いていこうと思っています。今回は生地胴以外の話題を少し。

■アマチュア目線とプロの視点、共感できるのは?


気づけば長いお付き合いとなっているお仲間の一人である剣道中毒先生が上梓された『28回も不合格でしたが、なにか?』が大人気となっていますね。
いいですよね。ああいうアマチュア目線ってとても大切だと思います。
初段から七段、八段までストレートで合格してしまう方の剣道が素晴らしいのは確かな事実ですが、たくさん悩んで、いろんなことに気づいた方の言葉に力を感じます。共感と勇気は、たくさんの悩みと経験から生まれるものだと私も常々考えています。
私の受審回数は数えてみたら22回でしたが、まあ経験としては充分でしょう(笑)。
剣道中毒の中の人こと野川先生とはまた少し違った視点も交えながら、なにか残したいと思います。
なお、この投稿のタイトルはパクリであることを素直に認め、お詫びします。野川先生、スミマセン。

「大くん。六段審査はね。初太刀を外したらもう審査員は見ないから」

「昇段審査の都市伝説って何??」とお思いの方もいると思います。詳細に触れるのはもう少し先になる予定ですが、昇段審査に挑戦する際にこんな話を聞いたことがないでしょうか。
●コレをやったら不合格
●アレは審査員の印象が悪い
●この技が出たら合格間違いなし

剣道にはいろいろな教えがあり、いずれも剣道の向上には欠かせない要素というものは確かにあります。
しかし、審査会場で受審者や取り巻く応援?の人たちの話に耳を傾けるとなんともまあ、いろんな話が出てきます。
「初太刀が決まらないと合格しないよ」
「オレのときは相手に一本も打たせなかったからね」

一方こんな話もあるかもしれません。
「アイツはたくさん打たれてたし、初太刀も返し胴食らってたよ。なのになんで受かるんだ??」
「全然ダメだったのに、ネームバリューで受かったな」

…本当にそうなのでしょうか?
初太刀で返し胴を食らったら絶対に不合格なのでしょうか?
あの受審者はネームバリューで受かったのでしょうか?

自己紹介の投稿にも書いたとおり、私はそれなりの回数昇段審査に挑戦しました。
特に自分の中で大きな印象を残しているのは四段審査と六段審査です。
都道府県レベルの入口、全国レベルの入口になる審査であり、特に「要素」について騒がれるようになる審査だと思います…少なくとも私の経験ではそうでした。

私自身も何度も言われましたし、直前の稽古などでも言われました。
「初太刀を外したらまず受からないね」
このようなキーワードに、気の小さな私はずいぶんと悩まされたものです。

■色胴で受けるなんて、審査をナメている(と言われました)

あとはコレです。
「審査は黒胴が望ましい」
私がFacebookで散々書いてきた昇段審査の都市伝説は、経験をもとに記述してきたものです。
そしてこのテーマを文面に起こそうと決意させたのは、このキーワードでした。
望ましい…なら百歩譲って認めたとしましょうか。でも、某知恵袋だったか何かの掲示板だったか忘れましたが「黒胴でなくてはいけません」と言い切っているものも見たことがあります。

では、ちょっとこちらをご覧ください。

高崎の銘店、西山剣道具店の2015年の新年胴です。
私は七段審査でこの胴を身に着けて立ち合いに臨みました。

審査会場とか試合会場にいると他人の剣道具ばかり見ている私は、覚えています。
当日、第一会場、午前中の受審者のうち、色胴を身に着けていた人は私を含めて3人。
残りの二人の合否は残念ながらわかりませんが、私はこの胴を身に着けて合格できました。
この胴を誉めてくださった方もいましたし(西山さんに報告しました)一方で「すげー。これで受けるって勇気あるなあ」
マズイんじゃないの?…と言いたげな人もいました。
でも私は、何かを狙ってこの胴を使ったわけでも何でもありません。
単に「今の自分自身が審査という場で身に着けたい剣道具」を使っただけのことです。

そして実際の立ち合いは、初太刀で「ここだ!」と意を決し、思い切り飛び込んでいった面にお手本のような返し胴を打たれました。
その時点で合否がどうかは想像もしませんでしたが、打たれたからと言って動揺もなく、普段の稽古のとおりの内容で合計3分の立ち合いを終えました。

なぜでしょうか。
「普段どおりできたのがよかったんだろうね」
そのとおりだと思いますが、初太刀を外し、しかも胴に返されるのも普段どおり…大丈夫、と言い切れるものでしょうか。

もうひとつ。いつか別記すると思いますが、二十歳の頃、四段審査を受けました。
四回目の審査でした。一人目の相手、蹲踞から立ち上がると私は、飛び込み面を初太刀から立て続けに連続で3本…

打ち込まれました。

でも相手は不合格、私は合格でした。
マグレだったのでしょうか。ちなみに残念ながらネームバリューは100%ありません。

さらに加えるなら、七段審査は初太刀、自分なりにしっかり攻め込んで意を決して飛び込んだ面を見事に胴に返された、というのは前述のとおりです。
このときは私もお相手も合格でした。
そもそも「打たれたら落ちる」のなら双方合格はあり得ませんし、初太刀を外して不合格だったわけでもありませんでした。
(ただし、七段審査を受けるときにはそういった都市伝説的なものはほぼ無視できるようになっていました)

こういったことを経験していくと、昇段審査に挑戦する人が悩まされている「キーワード」があることに気づきました。
このキーワードのことは少なくとも本番の日はすべて忘れ、もっともっと大切なことに集中すれば、もしかするとトンネルを抜け出すことができるかもしれません。
手前味噌で恐縮ですが、実際にその「都市伝説」について詳しく伝え、稽古でも提案することによって、四~七段の挑戦者がトンネルを抜け出した事例があります。

■地味ながら一人でも多くの人に知ってもらいたいこと

――なんだか、何か本やらツボでも売りつけるような展開になってしまいましたが(汗)、そんなことはしません。
極めて真面目に、「ああ、そういうことあるある!!」「そうだったのか!」って思ってもらえるような文章を、後々書いていきたいと思います。noteでも有料コンテンツにはしません。
スケールの大きな話になってしまいますが、この昇段審査の都市伝説から一人でも多くの方が目を覚まし、ご自身の力を出しきって審査に臨まれるようになれば、こんなにうれしいことはないと思っています。
そして都市伝説から脱却すれば剣道にも深みが出てくるはずだと、そこまで本気で私は考えています。
ちなみに八段の世界は全くの未知の領域ですので、そこはわかったようなことは書けません。でも私は、その域に挑戦するときになっても「都市伝説」を振り返るつもりは一切ありません。そこは断言しておきたいと思います。

とりあえず、今回はこの辺で。

こちらもご一緒に。↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?