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【63日目】 地獄のユニバデート(前編)

大阪デート2日目は、今回のメインイベントであるユニバデートだった。

このプロポーズエッセイには、これまで「七夕ユニバ」と書いていたけど、実際はそれはダミーで、"万が一の身バレ"とか"七夕は人が多い"という情報を加味して、ユニバの予約は大阪デート2日目の7月6日(火)に設定していた。

おかげで七夕当日の豪雨を避けられたし、ド平日ゆえに人もかなり少なかったから、この日は本当にアタリだった。

▼ マリオワールドで大はしゃぎ中の写真

朝8時50分にホテルのロビーに集合して、環状線でユニバーサルシティ駅へ。

私「私が朝少し遅れたから、駅まで走らせちゃったね…超ごめん…」
ガリヒサ「髪、巻くのに時間かかったの?」
私「いや、これは5分で巻いた。朝からシャワー浴びたから、乾かすのに時間かかって…」
ガリヒサ「5分で巻いたとは思えないクオリティだね」

いや褒め方が技術面…!
って私の中の粗品が出そうになったけど、まぁ彼は照れ屋だから仕方ない。

これまでデートした数々のイケメン達から「とにかくサイコー」「そんな服が存在するなんて…」と褒めに褒められまくったバチクソセクシーな悩殺ワンピを着ていることにも一切触れられず、私たちのユニバデートはスタートした。

この日のユニバは10時オープンだったけど、9時35分にはゲートがオープン。

真っ先にマリオワールドへ突入。

任天堂のマリオ系のゲームソフトを全制覇している彼は、もう大喜びだった。

すぐにメインアトラクションであるマリオカートの乗り物に乗って(5分も待たずに乗れた)、「いやー、初見だと難しかったね」とか言いながら、場内をウロウロ。

マリオの世界そのものな空間でたくさん写真を撮ったり、2人で隠れピクミンを探したり、「はたから見たら絶対にカップルだよな」と思うくらいのテンションではしゃぎまくった。

▼ その際の写真がこちら

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2人でマリオのジャンプポーズ

この時がピークで楽しかった気がする。

でも、何故だろう。

なんかこのマリオワールドで1時間半過ごしたあたりくらいからかな。

私の中に、なんか言いようのない違和感みたいなのがジワッと湧いてきてるのを感じた。

それは突然というよりも、ずっと根底にあったものがジワジワと溢れ出してきて、今は気付かないフリをしてるけど多分これ止まらないぞ…ヤバいな…といった感じだった。


▼ 彼のコンプレックスに困惑(漫画)

最初に気になったのは、たぶん前髪だったと思う。

いや、どちらかといえば、前髪本体というよりも、やたらと前髪を手で撫で付けるその仕草。

実は彼は、生えぎわがけっこうベジータハゲで(これはもうハタチくらいのときからそう)、それを隠すためにわざと前髪を厚めの七三分けにしている。

長さはかなり長いけど、剛毛なクセ毛のためか、今どき女子がよくやる前髪のように目の上でカーブして外に飛び出すように跳ねている。
(コテは使ってないみたいだけど、ドライヤーとかでセットしてんのかな?謎)

午前11時30分頃、パーク内で乗り物(たしかマリオのあとに行ったフライングダイナソー)に乗ったあと、ハゲを隠すために必死で前髪を両手で撫でつける仕草を見たときに、「あっなんかムリ」とついに思ってしまった。

いや、彼は普通に道を歩いてても5分に1回くらいこの仕草をするし、付き合ってたときだって「生えぎわみせてよー!」と私が言っても頑なに見せてくれなかったくらい、生えぎわが後退していることにコンプレックスを持っていた。

うん、そんなの知ってるよ。

だから彼は、私との4年間の交際中にただの1度も一緒にお風呂(シャワー)に入ってくれなかったし、私が彼の風呂上がりのオールバックをふいに見てしまったときは相当焦っていたし、生えぎわ隠しのために彼が昔からこの髪型しかできないのも知ってる。

▼ ちなみにこのマンガの3コマ目の人がガリヒサ

二見書房様_025

彼女だった私に対して前髪をかき上げて「俺の名はベジータ」って呟く自虐ネタをかませないくらいには気にしている(イジるネタにすらできない部分)ってことは分かってる。

でもコンプレックスって、気にすれば気にするほどダサく見えてしまうんだよ。

歳を取れば、それはなおさら。
「年齢を重ねても一切克服できなかったんだな」と思ってしまう。

欠点は、誰にでもあるしキモくない。

ただその欠点を気にして、コンプレックスを抱えまくった末に、誰もイジることができないほど重症なものになってしまうと、それはもう結構キモい。

乗り物に乗った次の瞬間、前髪を手で撫でつけられまくると困る。

コンプレックスが見えすぎて、どうしてもダサく感じてしまう。

いや、いいよ。
私はガリヒサのこと、男として好きなわけじゃないから。人として好きなんだから。

でも「男として好きじゃないから、生理的にムリな部分があってもOK」ではないんだということを、このとき知った。

プロポーズエッセイ_003

そんなに隠されると気まずいよ


▼ コンプレックスから他人に気を遣わせる人は、幼稚

昔は彼のコンプレックスに、私が触れてはいけないんだと思ってた。

だから、本当は1度でいいからセックス後に一緒にシャワーを浴びたかったし、髪を乾かし合ってみたかったし、真夏のプールに飛び込んだりもしてみたかったけど、それは私たちカップルには叶わぬ夢だと諦めていた。

でも今は、私も大人になって、「コンプレックスがない人」を好むようになってしまった。

「欠点がない人」ではない。

それならそもそも、体が細くて生えぎわが後退していることを知ってるガリヒサと、こうして会う約束なんかしない。

私はここ数年で、低身長(160センチ台)の男と2人付き合った。

だけど彼らは、自分の身長にコンプレックスなど一切持ってなかったし、だからこそ私も彼らの身長をゆうに超えるハイヒールを毎日履けた。

コンプレックスそのものは、別になんの問題もない。

問題なのは、それを気にしすぎるあまり、他人に要らぬ気を遣わせてしまう幼稚さだ。

私は彼の髪が乗り物で乱れて、慌てて前髪を撫でつける度に、目を逸らさなければならなかった。

なんかもう、女子のスカートとパンツだ。

女子のパンツが見えそうになる度に、見てはいけないと思って顔を逸らす男性の気持ちがよく分かる。

いや、でもパンツが見えそうになって、恥じらいからキャッとかなるのは良いよ。興奮する良いオプションだよ。

でもこっちのパンツは生えぎわなんだよ。

彼が前髪を撫でつける度に、私は彼の抱えるコンプレックスをありありと感じてしまって、なんとも言えない不快感や気まずさのようなものを抱くようになってしまった。

もう撫でつけないで欲しい。
そう願っても願っても、彼は前髪を手で撫でつけた。

今にして思えばこれは、久しぶりに会った私に、少しでも自分を良く見せたいと思ってくれてたんだと思う。

数年間思いを寄せ続けた末に、去年わりと手酷く振られた女とのデートは、彼にとってもそれなりに"勝負"だったはずだ。

ただ、前髪を撫でつける癖が、年齢とともに直るどころか悪化しているのが気になった。

ただ少しだけ彼を擁護するとすれば、この日の私(金髪エロワンピ)と彼(髪モサダサめ服)のルックスは正直あんまり釣り合ってなかったので、彼もそれを少し気にしていたのかもしれない。


▼ 「まだいける」

とはいえ私はまだこの時点でも、プロポーズをする計画を変えていなかった。

このエッセイをここまで読んでくれてる人なら分かると思うけど、私の覚悟は相当なものだったから。

今日まで60日以上、彼にプロポーズすることだけを考えて、毎日毎日2ヶ月以上も記事を書き続けてきた。

覚悟を決めてここに来た。

それなのに、たかが前髪を撫でる仕草くらいで、目の前の些細な言動ごときで、この覚悟が消え去るはずがない。

「まだいける」

これが、当時の私の心境だった。

彼と隣同士で歩いてるから、ときどき手と手が触れ合ったりしてたけど、決して手を繋ぐことはない。

この友達のような距離感に、私はもはや安心していた。

彼が手を繋いでくることはない。手を繋がれたら、ちょっと嫌だ。

ときどき手が当たるけど、それすらも若干嫌だ。

あれ?私こんな状態で、彼とキスとかセックスできるのかな?

いや我慢すればできるのか。

でも私、なんで付き合う前から手も触りたくないような異性と、こうまでして結婚したいと思ってるんだっけ?

少し分からなくなってきた。


▼ 借金返済

いやでもこんな感情は一時的だ、目先のうんぬんではなく人生全体を俯瞰で見よう!結婚するならこういう人!

と気を取り直して、私たちはパーク内でランチを食べることにした。

私「昨日、一旦出してもらってたから、今日は私が払って返すね。どのランチがいい?」
ガリヒサ「うーん、あれかな」

彼は、特にお礼も言わず、そのレストランの中で1番高いメニューを選んだ。

ワンプレートで1800円って…

ミラノ風ドリア6杯食べれますけど?

まぁ、これはテーマパークに来てるんだから仕方ないや、楽しもう。

えっ、でも次のカフェも私が払って当然みたいな雰囲気になってる。650円。さっきのと合わせて2450円だ。ええぇ。

いや関係ないない、昨日彼のほうがたくさん出してくれたんだから。

ただこの人、同棲してる元カノには12万のうち2万、つまり2人で遣う金額の2割以下しか女に払わせてないんだよな…

てことはすでにこの時点で、

昨日の会計 7000円 ÷ 2人 = 3500円/人

(→ これが、私が奢って貰った(?)金額)

[私が彼に奢った金額(2450円)÷ (3500円 + 2450円)]× 100(%) = 41.2 %

私には4割以上払わせとるやないか…

そんなら元カノからも4割取れや。

いやいや、いま元カノは関係ない。

私たちは、ずっと対等なんだから。

交際中も4年間割り勘だったし、なんなら私の家で半同棲してたときの自炊費用はほぼ私持ちだったし。

▼ さすがに光熱費は最後に請求したけど。その際の記事がこれ。

そのときの不遇と比べたら、支払いが6:4なんて幸せすぎる。

「思いやりからの奢り合い」ではなく「金銭的な貸し借り」という形になったことに少し萎えたけど、別にそんなの全然いい、まだいける。

そう思って、午後のユニバデートをスタートさせた。


▼ 次回、ユニバデート【中編】


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