窪美澄(2019)『やめるときも、すこやかなるときも』集英社文庫
きっと誰にでもある、人間としての生身の部分。その核心に、幸運にして触れられた誰かとのかけがえのない関係。もちろん決して打算や利己心がないわけじゃないけど、それでも二つの矢印がうまくかみ合ったという奇跡。
そして、もう一つ深く考えるのは、家庭環境のこころや性格を規定する力の強さ。児童虐待の家庭で育つ子どもの発するひかり、異なる生活基盤で育まれた他者の存在への想像力。大きい光、小さい光、様々な光源があれども、その全てがありのままの姿で、そんな星空は美しく見えてしまうということは少し残酷でもある。それでも人は、空を見上げてしまう。
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