前田健太郎(2014)『市民を雇わない国家:日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版会

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ある時点まで、官僚支配の日本という自画像は国民の中に大きかっただろう。今こそ政治主導が叫ばれ果てて、画一的なイメージは薄まっているが、それでも「日本は公務員が少ない国だ」と言われると実感と違うと思う人は多いだろう。

本書では市民を雇わない国家たる日本の姿を、政治経済学・比較政治学的に論証した労作である。本書の示してくれた共通認識に立ち、この先我が国の公務員制度について考えていきたい。著者は最後に過剰な人員削減が行政現場にもたらす弊害を示唆して本書を閉じているが、今般のコロナ禍に前後して保健所・厚労省・霞が関の長時間労働が再び国民的注目を浴びている今こそ、政策を転換すべき時に来ている。

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