バラク・オバマ著(2020)=山田文・三宅康雄他訳(2021)『約束の地 大統領回顧録Ⅰ 下』集英社

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大統領といえども何かスーパーパワーみたいなもので状況を一変させることは出来ない。あまたの妨害や偏見に抗いながら、チームと協働し、一歩一歩理想に近づいていくその先頭に立てるというだけみたいだ。しかしそれでも、頭領がいなければ集団は動かない。名誉ある地位であろう。

下巻に入ってから顔を覗かせたのは、ドナルド・トランプを象徴とする右派新興勢力。「虚偽」の主張を、例え本人でさえ真実だと思っていなかろうと、大声で主張することを特徴とする。大衆の憎悪や恐怖といった感情の持つ大きな力を、政治的に利用しようとする。まさに「ダークサイドの力」を操る人々にオバマ大統領も直面することとなる。正義と悪の対立は、物語の中ほど簡単に正義が勝つことはなく、2021年の今に至るまで世界各地で問題とされ続けている。人類の良心が試されている。負けじと頑張ろう。

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