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悪役刑事 1話 【創作大賞応募作品】

あらすじ
 警視庁刑事部捜査一課二係に配属された多々倉聖は見合いの席で遭遇した事件を切欠に同じ部署の桐谷世羅とバディを組むように上司から命令をされる。しかし、この桐谷世羅は切れ者だが不穏な動きがあり、多々倉聖は彼の行動に疑惑を覚える。刑事である桐谷世羅には背後に犯罪で私腹を肥やす組織の人間がおり、その命令で刑事の特権を利用して片棒を担いでいた。
 多々倉聖はその相棒と捜査をしながら、ある時、彼から重要なものを保管しているという貸金庫の鍵を受け取ることになった。
 その後、同じ刑事仲間から桐谷世羅が殺人を犯して逃亡したと通報が入る。

1話

 吹き抜けの高い天井に煌びやかなシャンデリが輝いていた。
 その下で驚きと恐怖に彩られた人々の悲鳴と喧騒が渦巻いていた。

 中央のテーブルでは4人の男女が倒れ落ち、一人の男が呆然と立ち尽くしている。
 彼らが手にしていたグラスは床に濁った赤いシミを作り、パーティー会場のそこだけが凄惨な事件現場と化していた。

 東都有明クレッセントホテルの大ホール。
 そこで東京ベイ三葉物産株式会社創業50年記念パーティーが開催されていた。

 社長の三葉圭一が乾杯の音頭を取った直後の出来事である。
 
 人々はワイングラスを捨てるようにテーブルに置いたり、落として割ってしまう人々もいた。
 
 壁際や窓に身を寄せて己が同じ目に合わないようにと怯えながら声を上げることも出来ずにいたのである。
 その中で司会をしていた奥谷保雄だけがマイクを持って
「誰か! 早く! 早く救急車を 救急車を呼んでくれ! 早くしてくれ!!」
 と叫んでいた。

 誰か!
 誰か!
 早くしてくれ!!

 人々の悲鳴と騒ぎはホテルのエントランスホールにも広がり、その慌ただしい様子にロビーで見合いをしていた多々倉聖は思わず腰を浮かせた。
「何か……あったのか?」

 彼は注意深くざわめきがする吹き抜けから見える2階の大ホールにスタッフが慌てて駆け込んでいく様子を目に
「あそこで事件か?」
 と直感を働かせると、立ち上がってフゥと息を吐き出して見合い相手の佐藤美鈴の「どうかなさいました?」という不思議そうな視線を受けて綺麗に微笑んだ。

「申し訳ありません。事件のようなので」
 そう告げて、キリッと背筋を伸ばして敬礼をすると聖は脱兎のごとく駆け出した。
 
 見合いの真っただ中の……逃亡劇である。
 
 はぃ?
 えぇ!?
 正に「あ?」と言う間もない早業に見合い相手の佐藤美鈴だけでなく彼女の両親も呆然と椅子に座ったまま硬直し、見合いをセッティングした彼の伯母の多々倉礼子だけが『逃げられた!』と把握すると
「ちょっとー!! 聖ぃ!!」
 と蒼褪めながら叫んだ。
 が、この時には聖の姿は既に無く佐藤家家族の6つの視線だけが彼女を捉えていた。

 この時点で5度目の見合い失敗が確定したのである。

 聖は事件が起きた大ホールに駆けつけると見合いしていた事すら忘れてホテルのスタッフに警察手帳を見せて
「警察です。申し訳ありませんが人が出ないように大ホールを閉じてください。それから車などホテルの出入りもないように」
 と指示を出し、ホールの中に入ると倒れている4人に駆け寄って、手袋をするとそれぞれ毒を吐かせ始めた。
 そして、必死に倒れている一人の男性の肩を揺すり呼びかけている男を見た。
 
「貴方は?」
 聖は男を見て問いかけた。

 男は戸惑いながら
「わ、私は坂田武夫と申します」
 と答え
「圭一さま! 圭一さま!!」
 と倒れている男性に呼びかけた。

 それに遠巻きに立っていた女性が
「彼が! 彼以外の全員が倒れたのに彼だけが立っていて……」
 彼がやったんです! と震えながら言い放った。

 坂田武夫はギョッと女性を見て、慌てて聖を見ると
「ち、違います!! わ、私ではございません! 私にも何が起きたのかわからなくて」
 と訴えた。
 
 聖は考えて
「すみませんが、今はそちらで待機しておいてもらえますか?」
 と告げた。

 助ける振りをして殺そうとしている可能性があるかもしれないと危惧したからである。
 
 彼が犯人かどうか。
 聖には全く状況が把握できていない。

 だが、今は何よりも人命救助が先である。
 
 そこへホテルから連絡を受けた救急と警察の鑑識班と警視庁刑事部捜査一課の刑事達数人が姿を見せた。
 その一人の刑事が聖を見ると
「ん? 多々倉か?」
 と声をかけた。
 
 同じ警視庁刑事部捜査一課の酒蔵太蔵である。
 聖自身も警視庁刑事部捜査一課で第二係の人間であった。

 聖は片手で軽く敬礼をすると
「はい、ホテルにいましたので駆け付けました」
 と言い、救急隊員と交代して運ばれていく4人を見送り
「全員、僅かに反応はありましたが……外傷がないところを見ると恐らくは口にしたモノによる中毒かと思います」
 と告げ、足元で散らばっているワイングラスと液体を見回した。
「そう言えばあの人が先に男性に呼びかけていましたが……このテーブルで『一人だけ』無事だったそうです」

 そう言って坂田武夫を見た。

 それに招待客の女性が一歩前に出ると
「そうです」
 と、坂田武夫の方をちらちら見ながら
「社長も水瀬さんも……そのテーブルの皆さんは全員倒れたのに坂田さんだけが立っていたんです」
 と告げた。

 酒蔵太蔵は手袋をしながら坂田武夫を見て
「なるほど」
 というと彼の元に足を向けた。
 そして
「署の方で詳しくお話をお聞きできますかね?」
 と告げた。
 
 坂田武夫は「え!」と蒼褪めながら
「わ、私ではありません! 本当です!!」
 信じてください! と告げた。
 
 酒蔵はやんわりと微笑み
「ええ、ええ。話を聞くだけですので」
 と一緒に来た警察官に目を向けて顎を動かした。
 
 明らかにこの場を取り繕いでいるだけのようである。

 坂田武夫はがっくりと俯くと
「ほ、本当なんです。私にも何が何だか……」
 と言いながら警官に付き添われて、ホールの入口へと連れて行かれかけた。

 無実を訴えても恐らく聞き入れてはくれないだろう。
 それがありありと分かった。
 彼の胸の内に絶望に似た気持ちが渦巻いていたのである。

 無実ならば恐れる必要はない……などとテレビでは良く言われるが実際はそれほど甘くはないのだ。
 
 その様子を一人の目つきの悪い男が腕を組んで見つめていた。
聖はその男に気付くと目を細めた。

 酒蔵も気付いて視線を向けると苦笑して
「目つきは悪いが……同じ刑事で同じ捜査一課の人間だ。桐谷世羅な」
 仲間だぞ、と言外に言い、手を挙げて呼び寄せた。
「桐谷!」
 
 桐谷世羅は軽く手を挙げるだけで応え、坂田武夫を連れて行こうとする警官を足で止めた。
「おい、待てよ」
 そう言って坂田武夫に
「取調室で犯人として話をする前にお前が見た状況を説明しろ」
 と告げた。
 
 聖は目を見開くと
「ここで犯人って」
 と心で呟いた。
 だが、一番その可能性が高いので警察へ連行なのだが一応対面と言うものがある。
 しかも正確に言えば彼はまだ『重要参考人』なのだ。
 
 坂田武夫は「やはり……」と顔を歪めて項垂れた。
 世羅はチッと舌打ちして
「どうでも良いからさっさと言えって。どっちにしても連れていかれるんだろ? その前に情報よこせ」
 と、坂田武夫の足を軽く蹴った。
 
 態度の悪い刑事である。
 聖は顔を顰めて思わず睨んだ。

 酒蔵は苦笑して
「落ち着けって、奴はいつもあんなものさ」
 と馬を落ち着かせるようにドウドウと両手で抑える振りをした。

 蹴られた坂田武夫はビクッとして
「その」
 と状況を話した。

 彼のいたテーブルには自身の右手から東京ベイ三葉物産株式会社の後取りとなる長男の三葉圭一、そして、妹の三葉圭子、更に重役の水瀬進、末っ子の三葉圭次とテーブルに沿って円形に立っていた。
 圭一の音頭で乾杯をしようとしたが、弟の圭次が冗談で「ワインに毒が入っているかも知れないぜ、気を付けろ」と言い、圭一のグラスと自分のグラスを取り換えたという話であった。

 そして、乾杯して全員がグラスを口にして最初に圭一が倒れ、驚いて離れかけた圭子、圭次、水瀬進が次々と倒れていったということである。

 世羅はその話に目を細めると
「……と言うことは、お前だけが無事だったというとその圭一のグラスにだけ毒が入っていなかったということか?」
 と呟いた。
 坂田武夫は首を振ると
「わかりません。わ、私は……飲んでいなかったんです」
 と告げた。

 世羅は驚いて
「何故だ?」
 と聞いた。

 それに彼は息を吐き出して話を続けた。
 世羅は目を見開いて口元を歪めると「なるほど」と呟き、彼のネクタイをつかんで司会者の奥谷保雄のところへ連れて行った。

「おい、こいつがワイングラスを変えたって話をしていたが」
 本当か? と聞いた。
「状況を見ていたんだろ?」
 
 奥谷保雄は慌てて頷き
「た、確かに弟の圭次さんが何かを言って、それで交換されていました」
 はい、本当です。と告げた。
 
 世羅は腕を組んで考え警察官の元へ行くと
「じゃあ、もういいぜ。お前はこいつを『ここ』で見張ってろ」
 と、坂田武夫を押し付けて鑑識がいる問題のテーブルの場所へと向かった。
 
 一歩二歩と軽い足取りで近寄りフォーマルスーツをビシッと着て立って睨んでいる聖を見ると
「それで、酒蔵。この場違いな格好をしたコイツ誰?」
 と顎を動かして聞いた。
 
 見合いの席からの逃亡である。
 確かに事件現場の刑事としては似つかわしくないだろう。
 だがオフで駆け付けたのだ。

「場違いなのは仕方がないと思うんだけど」と聖は心で突っ込んだ。

 酒蔵太蔵は思わず苦笑しながら
「桐谷、お前は一課のフロアにほとんど近寄らないからな」
 と言い
「今までは湾岸警察にいたがこっちに配属になった多々倉聖。偶然このホテルにいたみたいだ。同僚だぞ」
 と、紹介して聖に
「こいつは先言った桐谷世羅な……こいつは切れ者だぞ」
 とニヒヒと笑いながら告げた。
 
 聖は敬礼して
「よろしくお願いします」
 と告げた。
 が、それをスルーして桐谷世羅はテーブルの上に置かれたままの坂田武夫のグラスを手に色を見つめ匂いを嗅ぎ、続いて、それぞれの割れたグラスと床に広がるワインのシミも同じように見ながら軽く匂いを嗅いで回った。
 
 そして、テーブルの周りを一周し終えると
「なるほど」
 と世羅は言い、蒼褪めながら立っている坂田武夫と司会者の方へと足を向けた。
 
 聖は戸惑いながらテーブルの周りを見ていた酒蔵に
「あの」
 と声をかけた。
 
 酒蔵は笑って
「気にするな、無視なんてまだまだ優しい方だ。誰に対しもだからお前にだけじゃない。それより事情聴取するから悪いが人を奥の壁沿いに並べさせておいてくれ」
 と告げた。
 
 聖は「はい」と答えると走って人々を壁際へと誘導させた。
 
 世羅はそれを横目で一瞥し直ぐに視線を戻すと坂田武夫に
「確認したいことがあるんだが、社長の圭一とあんたのグラスだけ入れ替わっていたということだからあんたなんだろうと思うんだが、あんたはワインがダメで三葉圭一はアレがダメなのか?」
 と聞いた。
 
 それに坂田武夫は俯きながら
「はい、私はワインがダメで社長はブドウジュースがお好きでなくて」
 と答えた。
「だから社長は私の方とお換えになられたのです。初めは妹の圭子さまが変えましょうかと仰っておられたのですが私の方と交換されました」
 と告げた。
「社長はワインは飲まれますがブドウジュースは飲まれませんので乾杯のワインを飲まない言い訳を笑い話にできるということで対面も保てますから」
 
 世羅は見て回ったそれぞれの飲み物のシミを思い出しながら
「だからあのグラスだけ匂いがなく、零れていた量も他より多かったのか……だとすれば……毒は」
と心で呟き、出入口に立っていたホテルスタッフを呼び寄せ
「今、この男から聞いたがこいつのグラスだけにブドウジュースを用意したというのは本当か?」
 と聞いた。
 
 スタッフは頷くと「はい」と答え
「坂田様はアルコールがダメだということで色味の同じブドウジュースをご用意させていただきました。ちょうど圭子お嬢様が気を利かせてテーブルにワインを運ぼうとされていましたのでその時に私たちが序に代わって配らせていただきました」
 と告げた。
 
 世羅は笑みを浮かべると
「なるほどな、それであんたが言ったやり取りがあって、この現状ということは……」
 と口元に笑みを浮かべ、手を軽く上げると
「証言、助かった」
 と言い、足を鑑識班のリーダーである鈴元千草の元へと向けた。
 
 周囲では鑑識が問題のテーブル周辺の零れた液体やグラスを毒性反応調べるために回収し、状況保存のために写真も撮っていた。

その指示を鈴元千草が出している。
 
 世羅は彼女に近寄ると
「鈴元、先に運ばれた三葉圭一の身体を調べてくれ。何処かに小さな刺し傷があるかどうか。まあ、言っちまえば注射の痕だな」
 もしあったら何処にあるかもな。と告げた。
 
 千草はそれにガラスの欠片が散らばった状態を横目で見て
「グラスや飲み物から毒物反応が出てきても?」
 と聞いた。
 
 世羅は笑って
「出るだろ? 全部に入れられていたんだからな。きっと、その無事だったワイングラスからも出るぜ。あ、でもブドウジュースは無事だったかもなぁ」
 と言い
「だが、おそらく『今回』は誰も死なねぇな。死んでも俺には関係ねぇけどな」
 アハハ、と笑いながら肩を竦めて踵を返すと軽く手を挙げて
「じゃ、よろしく……あ、ガラスの欠片の鑑定……手を抜くなよ!」
 と聖と酒蔵の元へ足を進めて
「んじゃあ、俺は帰る。犯人だけ教えておいてやる。犯人は妹の圭子だな」
 背後関係を調べておいた方がいいぜ。と手を振って歩き出した。

 今ようやく事情聴取をしながら状況が見えてきたところなのに……そんな即興のような判断を? と聖は慌てて駆け出すとホールを出ようとしていた世羅を捕まえ
「もっと状況を見て事情聴取を聞いて、判断した方がいいと思います。思い付きで人を犯人にしてはだめだと俺は思います。まして、あのテーブルで無事だったのは坂田武夫だけというのも彼を疑う材料となると思います。三葉圭子は被害者です」
 と告げた。
「思い込みは冤罪を生む」
 
 それに世羅は目を細めて
「はぁ!? だっせぇ奴だな。頭の悪い奴はそうしねぇとな。まあお前みたいに頭の悪い奴はいくら考えても答えはでねぇかもな……それこそ冤罪を生んじゃうかもなぁ」
 というと
「間違いねぇよ。今回は殺人未遂だしな」
 まぁ、せいぜいおきばりやす。とバシッと聖の手を払うと立ち去った。
 
 聖は呆然と見つめ息を飲み込んだ。
 ふら~とやってきて、事情聴取にも参加せずに去っていったのだ。

 聖からすれば『ありえない』である。

 聖はパーティーに参加した大人数の事情聴取を終えて捜査一課第二係のフロアに戻ると鑑識から全員命に別状がない状態になったとの報告を受け、同時に三葉圭一の右腕の肘に注射針で刺された痕が見つかったということも『桐谷に頼まれたからね』と付け加えて報告を受けた。
 
 それを聞いた酒蔵は息を吐きだし
「つまり、テーブル全てのワイングラスに致死量にならない毒を盛り、自分も被害者側に回る予定で兄である圭一には更に注射器でプラスして致死量になるように毒を打ったというわけか」
 と呟いた。
 
 聖はそれを聞き
「しかし、三葉氏は致死量にならなかった」
 と呟いた。
 
 その時、フロアの扉が開き
「直前で坂田武夫とグラスを変えてブドウジュースに変わったからだ」
 馬鹿が。と世羅が姿を見せ
「三葉圭一はワインなら飲むがブドウジュースは好きじゃなかった。だから飲まずに致死量に達しなかったってことだ。最も、飲んだとしてもブドウジュースだけには毒は入っていなかっただろうな」
 と息を吐き出し
「そもそも、坂田武夫が犯人なら態々そんな圭一が死なないようなことをするか? それにグラスを交換したのは弟の圭次の冗談が原因だ。突発的な出来事だった」
 と告げた。
 
 聖は顔を向け
「しかし、なぜ飲まないジュースと交換を?」
 と聞いた。
 
 世羅は「面倒くせー野郎だなぁ」と言いつつ
「乾杯のワインを飲まないことを突っ込まれたときに『いや~坂田のグラスはブドウジュースだったからなぁ、俺はワインは飲むがジュースはな。参った参った』って笑い話にするつもりだったんだろう」
 と告げた。
 
 ワイングラスのガラスの破片の中に注射器のガラスが混じっていたこともわかり、圭子を問い詰めたところ自白したのである。
 
 遺産トラブルであった。
 圭一が死ねば彼女が長女として会社を乗っ取れると思ったのである。

 そう恋人に唆されたということであった。
 
 聖は隣の席に座る世羅を見て
「本当に頭がいいんだ」
 と心で呟き
「桐谷さん、昨日はすみませんでした。これからもよろしくお願いします」
 と告げた。
 
 世羅は嫌そうに
「懲りない奴だな」
 と言い
「同じ部署ってだけだろ? いちいち二度も挨拶をするな」
 と吐き捨てた。
 が、そんな二人に捜査一課二係の係長である杉浦剛志が笑みを浮かべながら近寄り
「桐谷、今から多々倉とコンビだ。お前だけコンビがいなかったからな。お前のわがままっぷりでな」
 と言い
「厳命だ」
 と付け加えた。
 
 聖も世羅も目を見開いて顔を見合わせ同時に
「「え!」」
 と声をこぼした。
 
 警視庁刑事部捜査一課二係に新しいコンビが生まれた瞬間であった。

 つづく



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