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“ワンストップリノベーション”って何?

最近“ワンストップリノベーションなら〜”のような広告を良く見かけるようになった。検索してみても実にたくさんの企業がワンストップリノベーションを謳っている。

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不動産購入、ローン計画、設計、施工までをひとつの会社がまとめて請け負う”ワンストップリノベーション”

なぜ今注目されているのだろうか。

消費者が求めているモノ。

消費者が求めているのは、屋根と扉のついたハコなのか?それともインスタ映えするようなコーディネートされたリビングなのか?住まいとしての価値ではなく、将来高く売却できるような資産的価値の高い土地と建物なのか?

当然、これらの考え方は十人十色。

つまり消費者が求めているのは住まいそのものではなく、「住まいの所有によって得られる(期待される)何か」である。

これは、消費者が具体的に伝えることができれば理想的だが、不動産・建築という専門性の高い買い物において、誰もが具体的に言語化できるものではない。

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不動産購入では、権利関係や周辺の治安などの知識が求められ、ローン計画では、不動産購入金額とリノベーション費用の予測や調整の経験がいる。

そのリノベーション費用の算出においても、しっかりと理想のプランに辿り着くことができるかという設計士やデザイナーとのコミュニケーションスキルと、実際に施工した時の金額が予算を超えないための建材や施工方法の選定が重要となる。

つまり「住まいの所有によって得られる(期待される)何か」のために、多くのプロフェッショナルの知見を集中させる必要があるのだ。

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注意点。

特に重要なことが、リノベーションを進めていく過程で「同時にアドバイスが欲しいタイミング」が多々訪れることだろう。

物件の購入を決めるときは、権利関係や土地柄の不動産分野アドバイスだけでなく、希望するデザインが施工可能かどうかという建築分野のアドバイスも欲しい。

デザイン設計の段階では、自分が気に入るような見栄えになるかという視覚的アドバイスだけでなく、実際に施工した際の強度・耐久性などの物理的なアドバイスも欲しい。

つまり、各プロフェッショナルの知見を“同時に摂取すること”が重要であるので、不動産屋で物件を紹介してもらい、プランについてはデザインオフィスを訪れて、見積や施工に関しては別で工務店を探すという”順番にこなしていくだけのリノベーション”というのは、手間がかかるだけでなく、「都度必要な選択肢を揃えていない」というリスクを抱えてしまうことになる。

しかし、素人が各プロフェッショナルとの間に入ってコミュニケーションを取り、選択肢を揃えていくことは非常に困難である。

そんな中で、リノベーションの動機や生活スタイルなどに理解を示してくれて、「最適な選択肢を揃えてくれる」というのがワンストップリノベーションの一番の魅力ではないだろうか。

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共につくる。

意外と知られていないが、リノベーションは新築と比べて施工が難しい。

何も無いところに設計図通りに組み立てていく新築と違い、中古物件のリノベーションは建物のゆがみへの対応や、残すところor新設するところなどの判断など、施工現場での情報や判断が非常に大切になってくる。

なので施工現場(川下)のプロの声が、お客様(川上)までしっかりと届く必要がある。「この部分は今こうなっているので、A案とB案どっちがいいですか?」というような判断をお客様にしてもらう場面がたくさん出てくる。

しかも、「不動産」「デザイン・設計」「施工」というそれぞれのプロフェッショナルのアイデアが対立する場合だってある。

そんな時は、しっかり各プロフェッショナルの意見を把握したうえでお客様自身が最適な判断をしてほしい。

各プロフェッショナルが揃えてくれた選択肢の中から、Instagramなどのマネごとではない、世界でひとつだけの”一点モノ”を目指した意思決定をしてほしい。

これは言い換えると、お客様をリーダーとしたチームと呼べるだろう。

本当に理想の住まいを目指すのであれば、営業担当スタッフとだけコミュニケーションを取るのではなく、デザイナーや現場監督(施工管理)、職人のみんなとひとつのチームとなって共創していく感覚が必須である。

理想の住まいを作る前に。

こうなると、ワンストップリノベーションとは「一社に任せるだけで全てやってくれる」ということが本質ではないということがわかる。

理想の住まいに着手する前に、理想のリノベーションチームを作る必要がある。

素人である顧客に豊富な知識を振りかざしたり、「これが建築の当たり前」などと強制的に選択肢を排除するようなプロフェッショナルはチームに不要である。

リノベーションの知識・知見を有してるだけでなく、家族の好き嫌いなどの価値観、将来へのうまく言語化できない期待感などをしっかり汲み取ってくれて、無数に訪れる意思決定の場面で、各プロフェッショナルが選択肢を揃えてくれる世界にひとつのリノベーションチーム。

「お客様は神様」ではなく、お互いがチームの一員でないと一点モノの理想の住まいには近づいていかない。

KUJIRAではお客様もチームメイトとして苦楽を共にしてもらうことを事前に説明する。

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「結婚式の打ち合わせより大変なのを覚悟しておいてください!笑」と例えて説明するときもあるが、驚いたお客様の多くが「楽しみですね」とおっしゃっていただけるので嬉しい。

不動産・デザイン・建築については我々がプロフェッショナルだが、お客様の将来像については、当事者が一番のプロフェッショナルである。

令和になり、お金を払って一方的にサービスを受ける時代から、様々な場面において“共創していく時代”に転換しているのを実感する。

理想の住まいを目指して、理想のリノベーションチームを作るためにも「ワンストップリノベーション」という手段をぜひ考えてみてほしい。

おまけ。

稀に、スタッフのお手本にしたいほどの急成長を見せるお客様がいる。

初対面の頃は「クロスって何ですか?」とおっしゃっていたお客様が、KUJIRAとひとつのチームになり、たくさんの意思決定を繰り返していくうちにプロ顔負けの知識量になったりする。

ご自身で調べてきた建材について、LINEグループで議論することも多々ある。

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やはり熱量に勝るものは無い。

お客様は住まいの見栄えをを考えているのではなく、20年、30年と続く家族の長い時間をデザインしているのだ。

建築が身近でない日本で、少しでも多くの人が建築に触れてもらえると我々も嬉しい。

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