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電卓の数式ってどんな意味?何に使う?(上級編part1)

はじめに


 今回は上級編ということで、本格的に電卓の謎機能たちを紹介していきます。高校で習った気がするなぁとか、こんなんあったっけ?とか思いながら見て貰えたら幸いです。


Windowsの電卓


n!(階乗)


 まずは、階乗です。この$${n}$$には0以上の整数(非負整数)が入ります。記号の意味としては、「1から$${n}$$までの数を全部掛け合わせる」のようなイメージです。詳しい話は後でするのでお楽しみに。
 
 例えば、$${5!}$$であれば、
$${5!=5\times4\times3\times2\times1=120}$$
となります。とりあえずこれで説明は終わりです。

 ただ、もう少し踏み込んだ話も添えておきたいと思います。
 先程の例に続いて今度は$${6!}$$を求めて見ましょう。
$${6!=6\times5\times4\times3\times2\times1=720}$$
 結構大きな数になってきました。次、$${7!}$$行ってみましょう。
$${7!=7\times6\times5\times4\times3\times2\times1=5040}$$
 いよいよ4桁ですね~。これ以上を計算しようとすると結構大変そうですね。まぁ電卓使うんでそんなことはないんですけど。

 ここで、ひとつ気づくことがあるでしょうか。それはこのような等式が成り立つことです。
$${6!=6\times120=720}$$
$${7!=7\times720=5040}$$
これってつまりこういうことです。
$${6!=6\times120=\Rightarrow6\times5!=720}$$
$${7!=7\times720=\Rightarrow7\times6!=5040}$$
何がいいたいかと言うと、$${n!}$$が$${n\times(n-1)!}$$で求められるということです。
 言い換えると、$${(n+1)!}$$が$${(n+1)\timesn!}$$で求められるとなります。言われてみればめちゃめちゃ当たり前のことなんですが、結構大事です。
 

 これが分かるとあることの説明ができます。それは$${0!}$$です。
 $${0!}$$は何だと思いますか?結構難しいし、習ったことがある人でも、案外忘れているんじゃないでしょうか。答えは
$${0!=1}$$
です。え?ってなりますよね。実は$${1!}$$も1なんです。これはかなり違和感のある並びです。
 

まぁ定義なので証明はできません。ですがこういう場合の「定義だから」は証明はできないけど、そう定義したくなる気持ちを説明することはできます。
$${0!=1}$$
$${1!=1}$$
$${2!=2}$$
$${3!=6}$$
$${4!=24}$$
あとは前半の例に続きます。この違和感を解決してくれるのが先程見つけ出したこの式です。実はこれは$${n!}$$の定義としても用いられることのある式で、
$${(n+1)!=(n+1)\timesn!}$$
これに0を代入してみましょう。
$${(0+1)!=(0+1)\times0!}$$
$${1!=1\times0!}$$
展開して整理すると、$${1!=1}$$なので、$${1=0!}$$となります。
 
 ここで先程、わざわざ$${(n+1)!}$$の式に言い換えた伏線(でないと$${n=0}$$の時に$${(-1)!}$$を定義しないといけなくなる)の回収と、$${0!=1}$$としたくなる気持ちの説明ができました。どちらもそうした方が都合が良いからです。

 そして気になる使い方ですが、並び方が何通りあるかを考える時なんかに使いますね。例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3人が一列に並ぶ時に、何通りの並び方があるかを求める時は、$${3!=6}$$で求まります。
 (人数)!ですね。これだとそんなに必要ない気もしますが、このような考え方は順列というのですが、確率論では欠かせない存在で色んなものに考え方を適用できます。喋り出すと長くなるので、いずれ記事にしてみます。

mod(合同式)


 次は、$${\bmod}$$です。整数$${a,b}$$に対して、$${a{\:}{\bmod}{\:}b}$$のように使います。

 意味はなんとびっくり「余り」です。
 そう。この記号はなんと小学生の時に無理やり書かされた人も多いでしょう。あの
$${5\div3=1}$$あまり$${2}$$
とか
$${5\div3=1}$$・・・$${2}$$
「あまり」と「・・・」と同じ意味なのです!$${\bmod}$$を使うなら
$${5\bmod3\equiv2}$$
となりますね。$${\equiv}$$は合同式などで用いる=のような物です。
これ自体が合同という意味の記号で、図形の合同なんかでも使いますね。図形の合同は、2つ以上の図形に対して、対応する辺の長さも角もそれぞれ同じという意味ですね。要はピッタリ重なる図形が合同な図形です。

 高校数学にもなって復活するとは思いませんでしたよね。ところがどっこい、この$${\bmod}$$はかなり優秀だったりします。大学入試の整数問題を解くための最終兵器として活躍することもあります。あとは、皆さんの情報を守る暗号にも用いられています。暗号理論の数学は私の専門の研究分野なので、いずれくそ長記事を投稿する事でしょう。

exp(0の個数の指定)


 次はexpです。これについては思う所あるので、まとめにでも愚痴を書いておきます。ちなみに。「この表し方はどうなの?」って思っています。何か理由があるとは思うので、仕方がないのかもしれませんが。
 
 これは恐らく桁数の指定であると思います。恐らくというのは、私の環境で出た結果を総合して考えた結果が桁数の指定という結論ですよ、という意味ですね。

 使い方としては、例えば9に0を5個付けたいという気持ちがあったとします。その気持ちを電卓くんに対して表現するとこうです。

9に0を5個付けたい気持ち1

実行するとこうです。

9に0を5個付けたい気持ち2

見事に9に0が5個付きました。この機能の説明は以上です。

e(ネイピア数、自然対数の底)


 次は$${e{と}e^x}$$です。これはかなり説明が難しいです。これ一つで記事を何本か書けてしまう程です。
 
 というのも$${e}$$の説明をちゃんとするためには、微分(と極限)という概念を導入する必要がどうしてもあるからです。しかし、微分も極限もそれっだけで記事が書けてしまうというか、それだけで書くべき概念なので「どうしよかっなー」状態なんですよね。

 そこで、とてもざっくり撫でるように触れておくことにしました。

まず、微分・積分の話をしておきます。とてもざっくりなので数式は使いません。

たしか高校の文系数学では、「(2次元の)微分とは関数の変化の割合(傾き)を調べることだ!」みたいな説明をしていたような気がします。

まあ、ざっくりグラフの傾きを虫眼鏡とか顕微鏡でめっちゃ細かく見るような作業を式で表したものが微分です。詳細が気になる方は、ネット上にいろんな記事や動画があると思うので見て見てください。

積分はもっと感覚的に分かり易いので、例を使って説明してみます。

まず、簡単に(2次元の)積分が何をしているかというと、「めっちゃ小さな四角形を敷き詰めて面積を求める」ことをしています。3次元なら体積です。

例えば、貴方の部屋の体積を調べるときに、$${1\times1\times1}$$mの立方体を渡されて、「これが何個分かを数えてください」って言われたら結構大変だと思います。

何故ならぴったり。10個分とかなら楽ですが、そうじゃないと立方体は入らないけど、無視するにはデカい、測り切れないスペースが生まれてしまいます。

でもこれが、一辺が1cmの立方体ならどうでしょう?1mの時より、正確に部屋に敷き詰めることができると思いませんか?

それがさらに、砂粒くらいなら?もう目に見えないくらい小さな塵みたいなサイズなら?

と、こんな風に測る単位をめちゃめちゃ小さくすればするほど、正確に体積や面積を調べることができるのは感覚的にも容易に分かります。

それをするのが積分です。


そして、微分・積分を数式で表した時に、ほとんどの式は形が変わるんですが、$${e^x}$$だけは、微分しても、積分しても$${e^x}$$のままなんです。

こういうおいしい特性のある$${e}$$なので、ありとあらゆる場面で登場します。電気や建築、音響など本当にありとあらゆる分野です。

これ以上喋ると難しくなるので、今回はこのくらいにしておきます。以上、便利な数学定数$${e}$$でした。


まとめ


 実はこの記事を書き始める前に、電卓の機能を一通り見て、「いけるな」と思ったから始めたんですが、exp、これは曲者でした。

というのも私が思っていた機能では無かったからです。数学、特に大学数学やプログラミングなんかでよく使うexpとは、後に解説した$${e^x}$$の指数を指定する際に用いる記法なんですよね。
exp($${x^2+1}$$)であれば、$${e^{x^2+1}}$$みたいに。

 それと、初級・中級・上級の三本で終わらせたいと思っていたのですが、既にこの記事は4000字を超えそうな勢いだったので、分けることにしました。高校数学になると、必要な前提知識が多くなるので長くなりがちです。次も長くなるかもですがお付き合いいただけると幸いです。

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