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電卓の数式ってどんな意味?何に使う?(中級編)

はじめに


パソコンやスマホの電卓機能って数字や+-×÷以外にも色んな数式がありますよね。小学生や中学生時代、なにに使うのかも良く分からず「何これ?」と思っていた記憶があります。大学で数学をしている今となっては便利に使う謎機能たちを紹介していきます。


Windowsの電卓

$${\dfrac{1}{x}}$$(逆数)


 まずは、$${\dfrac{1}{x}}$$から説明します。これは逆数と呼ばれるものです。逆数を説明する前に前段階として、分数について触れておきます。分数って
$${\dfrac{1}{2}}$$とか$${\dfrac{2}{5}}$$とかで表してる数のことです。
 要は割り算の記号とその左右の数字を一緒にしてしまったようなイメージです。
 そしてどんな数に掛け算、割り算しても値の変わらない数が存在します。1です。大学数学の群論で習いますが、乗法、除法単位元といいます。つまりどんな数も見えてないだけで、×1、÷1が隠れていると考えることもできる訳です。

 さてここで、逆数のお話です。逆数とは早い話が、「分母と分子」を入れ替えた数のことです。分母は分数の下の部分、分子は上の部分です。子どもが母に支えられてるイメージなんですかね?先程の分数の例で言えば

$$\{\dfrac{1}{2}→\dfrac{2}{1}=2}$$

$${\dfrac{2}{5}→\dfrac{5}{2}}$$
というような感じです。こっちは分かり易いですね。
 
 このとき問題になるのが、分数じゃないいわゆる整数の場合です。なぜなら入れ替える分母が存在しないからです。ここで先程の、どんな数に割り算しても値を変えない1の出番です。無理やり、分数の形にしてしまうのです。例えば5であれば、
$${5}$$=$${\dfrac{5}{1}}$$→$${\dfrac{1}{5}}$$
のように、無理やり分数の形に変形して、その上で分母と分子を入れ替えます。これで逆数の完成です。
 
 ちなみに電卓では、逆数を求める数を$${x}$$としているので、$${x}$$が分数の場合、例えば$${x=\dfrac{1}{2}}$$の時は、
$${\dfrac{1}{x}=\dfrac{1}{(\frac{1}{2})}=\dfrac{2}{1}=2}$$
となる。

$${\lvert x\rvert}$$(絶対値)


 次は絶対値です。この左右を縦棒で仕切られたような記号が絶対値記号と呼ばれるものです。学校ではよく、「絶対値は$${-x}$$の$${-}$$を取って、正の数にしたものだ!」という風に覚えている児童生徒がいますし、それはあながち間違っている訳ではないです。まぁ正しくはないんですけどね。実際見た目だと符号を取っただけのように見えてしまうケースもありますので。
 しかし、より正確には「原点からの距離」を表していると考えます。だからただの実数の場合は、符号を取っただけになります。数直線上の左右の違いだけで、原点からの距離は同じですからね。

 2次元以上になるともう少し複雑になりますが、今回はスルーです。

π(パイ)


 次はπですね。これは円周率を表す記号です。具体的な値は、3.1415926535..…と無限に続きます。

 さて、ここで終わりでもいいんですが、意外とこのπ、という円周率が何かを知らないという方は多いんじゃないでしょうか?
 πと言われれば、円周率や3.14と答える人は多いと思いますし、もちろんそれらは正しいです。その通りなんですが、ここで気になるのは「そもそも円周率ってなに?」っていうことです。これは2003年東大の有名な入試問題の一つのキーポイントにもなった部分ですね。

 みなさんは答えられますか?答えは、「円の直径に対する円周の長さの比率」です。この比率が、どんな大きさの円に対しても一定であるというのが、πを重要視したくなるモチベーションの一つだと思ってます。
 ちなみにこのように、数学的に特別な意味や性質を持った定数のことを数学定数と言います。他の例としては、電卓にもある$${e}$$や、虚数単位の$${i}$$なんかも数学定数です。前者については、上級編で解説する予定です。

$${x^2,x^y,10^x}$$(指数)


 次は指数です。指数とは、数字の右上に乗っかってる小さな数字のことですね。乗っかられている数を乗っかっている数だけかけ合わせるという意味です。例えば$${x^2}$$であれば、
$${x^2=x{\times}x}$$
のような感じです。同様に、$${x^y}$$であれば、$${x}$$を$${y}$$回かけ合わせるということで、回数も選べるボタンですね。

 2ndというボタンの中にも、$${x^3,2^x}$$なんかもありますが、指数の意味は一緒です。

まとめ


 今回は中級編ということで、中学校で習う範囲の内容を紹介しました。ここまでは、問題無く分かるという人も多いように思います。
 次回からはいよいよ上級編ということで、高校数学の内容を扱います。じゃかん大学っぽい内容についても、超上級編とかで紹介する気ではいます。


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