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State Of The World(and myself)

SNSでただ黒い画像にハッシュタグをつけてる投稿が一気に増えた。はじめは「なんだろうな流行ってるのかなくらい」に思っていたら、すぐにすごい勢いで増えて調べてみたら悲しい事件だった。

Janet Jackson のアルバムで
「JANET JACKSON’S RHYTHM NATION 1814」
というものがある。

【Spotify】JANET JACKSON’S RHYTHM NATION 1814

今こそが聴く時なんじゃないかと、頻繁に聴いている。
特に前半の "Rhythm Nation" " State Of The World" "The Knowledge" あたりの流れ。

洋楽(というくくりがすでに死語感あるけれど)で
初めて買ったアルバムじゃないだろうか。
当時日本はバブルで外タレがCMにバシバシ出てた。
あ、「外タレ」とは「外国人タレント」の略です。

その中でJALのCMをやっていたのがジャネットジャクソン。
「マイケルの妹なんだって!」「ダンスがかっこいい!」
と、ただ単純にかっこいいから聞いていた。

もちろん歌詞(の対訳)を読んで、
差別やドラッグやストリートチルドレンのこと
が書いてあるのも知った。

でも、当時12,3歳の自分は
「アメリカは大変なんだなぁ。
日本はあんまりそういうのなくてよかった。」
と思っていた。

リリースから30年経った。

*

コトは悪化していないか?
"Things are getting worse
We have to make them better"

【Spotify】Rhythm Nation

自分が生きているこの世の中で
何が起きているか知ってる?
"What is happening to this world we live in
In our home and other lands"

【Spotify】State Of The World

偏見もってない?
自分の都合の悪いものや人を
ないものにしてない?
"Prejudice no!
Ignorance no!
Bigotry no!
Illiteracy no!"

【Spotify】The Knowledge

リリースから30年経った今でもこのアルバムは定期的に聴きたくなるし、好きだ。だけど、今回は好きだからではなく聴こうと思った。もう一回ちゃんと歌詞をかみしめようぜみたいな意味で。

当たり前だけど、30年前とは受け取る意味が変わった。

この30年のうちにインターネットが世界を小さくしたのが一番大きく変わったこと。そして、世の中もコロコロと変わった。大きな災害や事件で平穏な日常はずっとは続かないんだという空気が流れている。

でも、一番変わったと思うのは自分だ。自分が差別を受ける側にいるということに気づいて、この曲から感じ取る意味が変わった。対岸の、いや、もっと遠いどこかの国の火事だった。それが自分の服のすそに火がついてしまっていたからだ。

インターネットがいろいろな情報に簡単にアクセスさせてくれることは、知らなくて済んだこと・知らなくてもよかったことにも出会いやすくなってしまうということでもある。いろいろな考えを知るということはいいことだけど、自分の存在を否定するようなものを見るとつらい。

30年前は自分は多数派にいると思っていた。そして、多数派であれば安心して生きていけると思っていた。このままいけば「普通」に生きていくんだと。

30年間でいろんなことが変わった。自分は少数派だとわかった。正確に表現するならば、多数派であることももちろんあるが、自分の少数派であるいくつかのことで生きづらさを知った。少数派の部分が自分の人生をえぐってきた。

もはや多数派であれば問題なく生きていけるという考えも今はない。少数派よりは生きやすいだろうなというくらいだ。そして、誰もが少数派の部分を持っているということにも気づけた。

ジャネットの曲の歌詞にあるように、知ることなんだと思う。今、世界(それは家族や友達などの狭い社会でもいい)がどういう状況にあるか。そして、自分はどういう人間なのか。どう世界と付き合っていくのか。なるべく客観的に、ただ単に状況を冷静に。

世界と自分の状況を知ったら、次は考える。どうしたいか、どうすべきか、自分がすべきか、優先順位と取捨選択。簡単ではないし、そこに欲が介入してきてまともな判断ができないかもしれない。でも、間違えてもまたそれをやる。一回ではなくそれを繰り返していく。人生のPDCAサイクル(表現が安い!だが、それがいい。)、それが世界とうまく付き合う唯一の方法だと今は思っている。

今回の事件で、差別がなくなればいいとは思う。SNS上で多少のアクションも起こすと思う。でも、むやみやたらに差別するな!とは言わない。もちろんしてほしくはないけれど。差別するのにはその人が生きてきた環境などが作用してそうしてしまうに至ったわけがある。差別はしないほうがいいけど、それはそう思うけど。けど、けど。

他人は変えられない。そう簡単には変えられない。他人よりも自分の考えを変える方が多分簡単。それだって「スイッチ、ポチっとな」で変わるわけじゃない。でも、その瞬間の世界を知って、自分の状況を把握して、また考える。自分(の受け取り方)が変われば、他人は変わ(ったように自分が感じ)る。そうしたら、ぶつかっていくやり方ではなく話し合えばいい。んじゃないかね。

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