人生初の歌舞伎 坂東玉三郎
こんにちは ソフィーママです。
歌舞伎の発祥地とされる京都南座で人生初の歌舞伎を体験しました。しかも坂東玉三郎さんの千秋楽です。
私は日本人でありながら、また この京都にも長年住んでいながらこの年まで(まあ世間的にはいい大人)伝統芸能に触れずに来てしまいました。よって なんの知識も経験もありません。口上という言葉さえも知らなかったソフィーの本当に何にも知らない先入観一切なしの歌舞伎初体験だと思って読んでくださいね。
結果から言いますと、言葉では言い表せないほどの文章に起こすことがおこがましい程の素晴らしい舞台でした。1200年続く伝統の凄みを体感せずにはいられませんでした。
玉三郎が現れた途端、繊細で静かでありながらも決して力で押さえ付けるタイプではない圧巻のオーラを感じました。これが本物なんだと・・・
今回の舞台は『阿古屋』という伝統的な演目で、琴、三味線、胡弓という3つの楽器での演奏により阿古屋の心情を表現していくというものです。
そして幕が開き、演劇が始まるにつれこれは、なんという完璧なバランスなんだと目に見えない世界を彷彿とさせる見えない力が私の魂を揺さぶりました。
まず誰もが心奪われるのは阿古屋の美しい衣装、豪華絢爛な打掛けでしょう。しかし これにも増して私が心奪われたのはどんな時にも崩れることのない全体の構図、完璧なバランス力なのです。初めは主役の玉三郎をいかに際立てるかというものだろう思っていたのですが、予想は大きく外れていくことになります。
・・・人の立ち位置の構図もさることながら静と動、笑いと神妙、そしてテレパシーかと思えるほどの、玉三郎と脇の和楽団(?)の方々との琴と三味線の掛け合い。楽譜も指揮者もいないというのにユニゾンのようにピッタリと合っていく。その「阿吽の呼吸」の空気がこちらまではっきりと伝わってくる。そしてその演奏を支えているのが空間の場である。
一番左に楽器を渡す役目の人が少し高めで座りその横並びに玉三郎が床に座り演奏している。そして御奉行様の重忠が中央上段で全く動かず静を演じ、すぐ隣で動と笑いを演じる人形役。そして一番右手には、上下段に和楽団の人達がいて謡いや三味線を弾いている。横並びだけではなく高さの位置などからも日本の唄にある五、七などの形が見えてくる。そしてこの形と動きが物語の進行のため横から出入りする様々な要素によるエネルギー漏れをしっかり抑えている。
演奏が始まった時だったか後ろの襖がす〜っと開くと途端に奥行きが出てくる構図になっていてそこで劇場全体が和楽器とのコラボに包まれていく。目で見て完璧 音による念の伝え合いの絶妙 横の並びだけではなく奥行きの演出が加わることで観客との一体感も深まっていく・・・
どんな音楽ライブよりも 私は頭を振ってノリノリになっていました。(後ろの席の人は不審に思ったかも)また来たい またこの空間に滞在したいと
思わずにはいられませんでした。お芝居を見に来たというよりも、1200年続く日本の伝統的な言葉を超えた技 完璧なバランスの力 私たちはこんな凄い国に住んでいたんだという誇りと喜びに包まれた瞬間でした。
魂に刻まれたものは一生涯忘れることはないでしょう。感性の高い若者たちに ぜひとも若いうちに体感して、日本人の底力を知って欲しいと思いました。
ソフィーは伝統芸能の秘密をもっともっと知りたくなりました。能や狂言、文楽などもぜひ訪ねてみたいと思いました。また人生初シリーズでご紹介出来たらなと思います。
ソフィーママ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?