短歌連作「シティーライツ」
シティーライツ 山川創
切り刻むことはできないから今日は耕すだけにとどめておこう
革靴を裸足で履いて外に出て自壊していく快速電車
異星人だらけの街で吸われゆく煙草のように眠りについた
薬などいらぬ暮らしに恵まれて世界が終わるまでの退屈
平凡な傷を付けられ平凡な通院歴を一つ増やした
人々の弱い気合で成り立った空間にまた散らばれ硬貨
間違えて点いてしまった街灯にもたれかかって日没を待つ
寒い朝人を死なせる妄想は鳥が羽ばたく妄想になる
散らかしてしまった部屋に新しい足跡と古いキャリーケースを
人として既に楽しい 説明を怠りながら明るい方へ
(初出:ネットプリント「gekoの会 vol.4」。2017年12月29日〜2018年1月5日配信)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?