1900円払って観てたらキレてた『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD 』

<死ぬほどネタバレだしマイナス感想です>

ドラマ版『おっさんずラブ』、同性での恋がどうとかこだわらず、とにかく「誰かが誰かを好きになること」をコメディをまじえつつ楽しく描いているドラマでした。好きです。
だからまあ、当たり前のように劇場版を楽しみにして、ムビチケも購入していました。その時点で公式SNSのはしゃぎっぷりが鼻についてはいましたが、まあ適度にミュート・RT表示をオフにすればよいことです。

そして公開2日め。観てきました『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD 』。
とりあえず観ている最中も「だるいな~」ってシーンが多かった。
不満点を挙げてみたい。

■不要なアクション
一番最初、ジャッキー・チェンリスペクトかなんか知らないけど、謎の春田(田中圭)のコミカルアクションドタバタ劇。ハイローならともかく「おっさんずラブ」にアクション求めてないから。それならハイロー観るから。
そもそも海外で買い物したものをすぐそのへんに置くのは馬鹿の極みだし、他人のバイクの荷台に高額な買い物を置く馬鹿いるの? あ、春田だったわ。
ここで最後への伏線がはられるけど、正直「そんなに恩に感じることか?」という気持ちしかない。

■サウナでのキャットファイト
もう最高にいらない。しんどい。観てて疲れた。男たちの裸が見せたかっただけなのかもだけど、部長はギャンギャンしてるし、ワーワー叫びあってるしカットを短く入り乱れさせるし、この言い合いに何か意味があったのか? サウナに置いてある桶の水なんか冷たくないだろ。サウナなのに客が入ってる状態でいきなり清掃とか言い出すし。

■春田を嫌いにさせたいの?
ドラマ版の春田もたいがいだったけれど、劇場版の春田って春田の「いいところ」が何ら見いだせない。こんなに幼稚でしたっけ? 
春田がメシ作って後片付けしてなくて、残業から帰った牧が「うわぁ」って顔するの、すごく気持ちがわかったし、その牧に「メシ作ったのに」みたいな物言いしたり。
牧がつらくても、部長がしんどくても、春田にはどこか愛すべきところがあればいい。でもなんか劇場版の春田はただの馬鹿なクズ男で、観ていてしんどい。

■狸穴のゲイ匂わせ
もうね~、これほんとうにクソだなって思いました。なんでわざわざホテルに呼びつけたのか「????」だったし。ゲイをギャグに使うな。使うにしてももう少し知能指数高く扱ってほしい。ホテルの場面の春田もどこもいいところなかったな…。

■不動産事業の適当具合
ドラマを映画チックにするためにいれた要素なんだろうけど、上滑りばかりしていて、実感がない。そもそもいきなり営業所に本社の役員が乗り込んできたあたり「そういう業務の会社だったっけ…」って感じ。あとどんな馬鹿でもあんなペースで立ち退き事業がすすむわけがないとわかりますよね。2020年の東京五輪より思慮がない。薬物犯罪にかかわっている企業かどうかくらい事前に調べろ。

■火事での死亡原因のほとんどは一酸化炭素中毒です
大事件(べつに映画が悪いわけではないし公開時期に罪はないけど)のあとに、あの描写はないでしょ…。
さっさと逃げろやと思ったし、劇場版『海猿』のプロポーズシーン(アメリカ公開時に笑われた、危険な状況下において携帯電話で4、5分も使ってプロポーズをするシーン)の悪夢をほうふつとさせた。もしかしたら海猿リスペクトかもしれない。リミットオブラブ。

■部長の記憶喪失ってなんだったの?
ストーリー的にこれ全く必要ない。盛り上げのためにいれた設定なら丁寧に描け。


不満点をあげるとキリがないと気づいた。

悪ふざけがクドすぎて、とってつけたようなゲイ匂わせとか、誘拐監禁からの爆発脱出とか。
「いやべつにこういうの期待してなかったわ、ごめん」
と自分は感じたし、リピート鑑賞するならドラマ版です。
伏線のはり方・活かし方がなってなくて、鍋に適当に高級食材を入れて煮込んだらぐちゃぐちゃの煮込みになった感じ。
牧と春田の恋愛が観たかったのに、ひたすら諍いやすれ違いを見せられて、周囲のわき役が春田に思わせぶりしまくりで、という心労ばかり重なる映画です。
「その後のふたり」を観てニコニコしたいだけなんだよ。ニコニコできたのはマロと蝶子さんのエピソードくらいだ。

新キャラのジャスティスは正義(文字そのまま)。正義なんだけどなんでそこで過去語りが入るのかな安っぽいなと思いました。志尊くんがはちゃめちゃかわいいなという感想しかなかった。

要は牧派の私は『牧の幸福が春田にあるのだ』というストーリーが見たかったんですよ。劇場版観てそう感じるかっていうと全くZEROだし、ふたりがそのうちにダメになる可能性の方が高そうだった。
牧の思いつめやすい・細かい気質に対して、春田が和みになるように思えなかったんですね。わざわざ会いに香港までいけば浮気疑惑発生だし。
男同士は結婚できない。というテーマに対しても、なんか曖昧な回答しか出ていない。春田の言動がふわふわゆるゆるなおかげで、指輪一個で信じるに値するかというと、ないでしょ。
しかも「子供が大好きだから自分の子供がほしい」とか、なんで言うかなあと。
それを言ってしまうと男性である牧はどうしようもないし、「それでもお前といたい」という裏付けの薄い気持ちに対して「こいついつか牧捨てるだろ」感がぬぐえない。

劇場版ではやたらと「家族」を押し出しているのに、牧のお父さんに対して春田は誠意を見せられていないし、春田の母の「孫の顔が見たい」に対して、強く返せる何かもない。
マロが蝶子さんに対して全く躊躇いがないのに、春田は留保事項がまだまだありすぎて「これが愛だ」と実感させてくれる要素がない。

なんかなーーーーーほんとにただただ牧が笑ってるところを見せてくれよ! ちょっとはあったけど、全体的に幸福感足らないよ!
脚本家がクッソ勘違いしてるのはわかるけど、観たいのは『劇場版おっさんずラブ きのうなに食べた?』なんだよ!!!!!

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