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企業変革に必要なのは「戦略」だけにあらず 現場を変えて成果創出を実現

取締役 小澤紀克 インタビュー

多拠点ビジネスの営業利益向上に特化し、成果報酬型のコンサルティングサービスを提供する会社として2023年9月1日に設立したChain Consulting(チェインコンサルティング)株式会社。同社の創業メンバーである取締役の小澤紀克へのインタビューをお届けします。

<プロフィール>
小澤 紀克
Chain Consulting株式会社 取締役兼事業部長
東京工業大学経営工学科卒
東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻修了
三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)に入社。その後外資系コンサルティングファームに移籍後、ジェネックスパートナーズの設立メンバーとして参画。コンサルタントとして活動している傍ら、IT系ベンチャー企業の設立支援なども経験。その後、別のITスタートアップ企業に経営企画部長として参画し資金調達や上場準備なども経験。その他、大手製造企業や大手コンサルティング企業のコアスキルやケーススタディの研修講師等も実施。

「戦略」に興味を持ち、コンサルティング業界へ

―これまで長らくコンサルティング業界で活躍されてきました。
チェインコンサルティングにジョインするまでのキャリアについてお聞かせください。

まず「経営」や「経営戦略」に興味を持った最初のきっかけですが、思い起こしてみると中学生のころに遡ります。学生の頃は、戦略系のシミュレーションゲームが流行っていたので私もよくやっていて、単に「その局面を勝つ」という視点だけでなく、中長期で勝ち続けるにはどうしたらよいかなどを考えながら遊んでいました。その際には、兵士や武器を増やし、強化するために同国力を上げていくかや最前線が無秩序に拡大にしないようにどこから領土を増やして行くべきかなどを考えていました。力と運で勝つのではなく、勝つべくして勝つにはどうしたらよいかを考えることに面白みを感じていました。

大学はいわゆる理系の大学に入ったのですが、そこで受けた授業で「経営戦略」という考え方があることを知り、企業経営に興味を持ちました。通っていた大学に「経営工学」という専攻があることも知り、そこに入りました。そこでは、戦略のような理論的なことも学びましたが、他にも品質管理や生産工学、オプション理論なども学びましたので、経営をもっとサイエンスの視点で解明していきたいと思うようになりました。それがコンサルティングファームを就職先に選んだことに繋がっています。

これまで経営コンサルタントだけでなく、ベンチャー企業の設立や研修講師など、さまざまな経験をしてきました。こうした経験を通して実感したのが、トップマネジメントが日々考えている戦略などのロジックだけでなく「現場での実行力」の重要性です。もちろん戦略が重要なのは事実ですが、戦略をいかに現場に落とし込むかによって結果は大きく左右されると考えています。特に多拠点ビジネスでは実行度の「バラつき」をいかに解消できるかが重要です。

企業変革は「ロジック」だけだと成し遂げられない

―戦略などのロジックと、現場での実行力。企業の経営や組織変革で、
この2点が重要だと気付くようになったきっかけはありますか。

もともと、私はロジックの方に重きを置いていましたが、コンサルティングの現場で非常に多くの役職・階層の方とお話しする中で、少しずつ認識が変わっていきました。

例えば、多拠点展開している企業の現場で働いている方と話すと、ロジックではなく直感的に「自分が何をすべきか」を判断して実行できている方が多いんです。そして、しっかりと現場が回っている。こうした現場ならではの強みを生かした上で、ロジックや数字を基にした優先順位付けなどを行ってバラつきを解消できれば、もっと企業は良くなっていくと実感しました。

数学的な話ですが、企業活動に関わる人がランダムな方向に向かって動いてしまうと、それぞれのベクトルを打ち消し合って大きな力になりません。必要なのは、トップマネジメントや現場を含め、各自が向いているベクトルを同じ方向にすることなんです。

例えば、かつてデザインを売りにして急成長を遂げているアパレル企業がありました。ただ、ある時期に売り上げが落ちてしまい、在庫も溜まってしまって厳しい状況に直面したことから、支援させていただくことになりました。

こちらのお客さまが持っていた強みは、何といってもデザイン力です。一方でデータ活用が進んでいませんでした。そこで、過去のデータを参照しながら「たくさん売れるもの=たくさん仕入れるべきもの」「ニッチだが需要があるもの=少なめに仕入れるべきもの」といった形で整理していきました。

また、アパレル業界の課題は、商品サイクルが早いことです。春や夏など、季節が変わるタイミングで残っているアイテムは、値引きをしてでも売って在庫を減らす必要があります。そこで、販促部門と連携してクーポンを出す時期の適正化を進め、売れ残りを減らす施策も進めました。

こうした取り組みで、支援に入ってから1年ほどで過去最高益を記録するなどの成果が得られました。こちらの事例は、現場の強みとロジックを組み合わせ、業績向上に結び付いた好例かもしれません。

現場の機動力にロジックを注入し成果を創出していく

コンサル業界では珍しい「成果報酬型」にした理由

―チェインコンサルティングを立ち上げた経緯についてお聞かせください。

これまで、親会社のClipLine株式会社でも、コンサルティングサービスを提供していました。既にお話ししたような「現場における実行度のバラつき」を解消し、企業変革の推進と収益性を高めることが目的です。一方で、SaaSサービス「ClipLine(現在のABILI Clip)」も提供していたことから、経営者や金融機関の方から「ツールありき」のコンサルティングだと誤解されてしまうケースもあった点が課題でした。

そうではなく、本来追うべき経営課題に正面からフォーカスし、お客さまの収益性向上に特化して、現場までを含んだハンズオンの支援を行っていくために、新会社としてチェインコンサルティングを立ち上げました。

―チェインコンサルティングならではの特徴や強みについてお聞かせください。

チェインコンサルティングの大きな特徴は、成果報酬型でもサービスを提供できることにあります。コンサルティングファームはリスクヘッジの観点もあり、時間をベースにした固定フィー型が一般的です。一方、われわれはお客さまの収益性向上という成果にコミットできる自信があることから、成果報酬型としました。

必要があればClipLine社が提供している経営課題の可視化~現場での実行までを一気通貫でサポートするツール群「ABILI」を活用します。ABILIは低コストで全社のデータをワンストップに可視化できる「Abili Board」、さらに動画を軸に多拠点ビジネスのバラつきを解消する「ABILI Clip」などで構成されます。実行フェーズの推進においては、デジタルツールを適切に使った方がよりスピーディーかつ確実に目標まで到達できることが多いものです。そのため、お客さまと相談の上で、他社製品も含め必要なツールを導入することがあります。

Chain Consultingの強み(公式サイトより)

―今後、コンサルタントを始め新しいメンバーがジョインすることもあると思います。
どんな方が向いているとお考えですか。

人間の持つ感情と、データ・数字の両方に興味を持っている人ではないでしょうか。私は、データはあくまで人を動かすための「ツール」に過ぎないと考えています。その先で、現場に動いてもらう仕組みづくりも企業変革では重要なポイントです。

そのため、相手が理解し、受け入れやすいようなストーリーやシナリオを考えるのが好きな方も向いていると考えています。また、われわれが向き合うお客さまは、多岐にわたります。多くの人とディスカッションをしながら、ロジックとともにトップマネジメントの考えを現場につなげていくストーリーをブラッシュアップしていく。そんな仕事に興味がある方はぜひお越しいただきたいですね。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

まずは少数のお客さまに向けて、きっちりとサービスを提供していきたいと考えています。そこでのテーマが「永続性」です。トップマネジメントと現場をつなぎ、戦略と実行を直結させる。そうすれば、現場が経営トップから求められるものを実行するだけではなく、環境やお客様の変化を踏まえながら自分たちでもやるべきことを考えて、動き始めます。すると、永続的に収益を上げていける企業体質へと変革できるはずです。こうした変革のお手伝いをしていければと考えています。

―小澤さん、ありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございました。Chain Consulting(チェインコンサルティング)のWebサイトはこちらです。