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自分の身を守るお話。ストーカー編。

数年前の出来事です。

仕事が終わって帰宅すると、おばあちゃんがあたふたしていました。
「警察の〇〇さんという人から、(私)宛に、電話がかかってきたで〜!ご連絡下さい、言うてたで〜!あんた何したん〜?!」

私は何もしとらんわー!仕事しとっただけやー!と心の中で叫び、メモに目をやりました。

そこには、電話番号と名前が書いていました。

…警察?が私に何の用…?
詐欺?でもちゃんと、警察署の名前も、何科も、担当警察の名前も、電話番号まで書いてあるしなぁ…

私は母に相談して、ネットで警察署の番号を確認してから、電話をかけ直そうとしたところ、ちょうど電話が鳴りました。警察からでした。

「お忙しいところ、申し訳ございません。〇〇さん(私の名前)ですか?」

「はい。」

「△△という人を、ご存知ですか?」

…どこかで聞いたことがある名前…

「えっと…」

「昔、塾講師のアルバイトをされてましたよね?そこに通っていた…」

「あっ!知ってます!その塾講師のアルバイトしてた頃、担当してた学生です。」

「そうですか… 実は彼、捕まりまして。ストーカー行為と、住居侵入罪で。

えええええええええ!

と心の中で叫んだものの、実際はビックリし過ぎて声が出ませんでした。

「他にも被害者がいないか、色々調べていたところ、彼のお友達から塾の先生に好意を持っていたと聞き、ご連絡しました。被害に遭われたのは………」

私が被害者…?
いや、確かに被害者かも。

あの子なら「やりかねん」とは思っていたけど、まさか本当にストーカーで捕まるとは…
しかも住居侵入罪ってことは、勝手に家まで…
考えれば考えるほど、ゾッとしました。

衝撃的過ぎて、その後の警察官とのやり取りはあまり覚えていません。捜査協力を求められましたが、昔のこと過ぎてあまり覚えておらず、あまりお役には立てませんでした。

彼との出来事。

当時私は大学生で、塾講師のアルバイトをしていました。”塾講師”と言っても、一対一、もしくは一対二で行う指導形式で、基本的には学生からの指名を受け、担当します。

私は、当時高校生だった彼からご指名を受け、英語を担当しました。

多くの学生は、講師の教え方や講師との相性、コミュニケーションで、指名する講師を選びます。

しかし中には、見た目や好きなタイプで、講師を選ぶ学生もいます。「好きな講師に会いたい、褒められたい」という理由で成績がぐんぐん伸び、結果志望校に受かった学生も少なからず見てきました。また、告白して失恋してしまい、成績が下がるケースも…

彼は後者でした。
授業中は真剣に英語に取り組んでくれたので、成績はぐんぐん伸び、結果、志望校にも合格しました。

困ったのは、授業外でした。
講師室にいても、何かを理由にして呼び出されたり、お昼休憩にでても、コンビニで待ち伏せされたり…
業務にも支障が出てきたため、彼をなるべく避けて行動していました。

周りの講師の方からも、「△△くん、絶対(私)のこと好きやわ。気をつけや〜」と言われる始末でした。


ある日の授業終わり。
片付けて、自転車で帰宅しようとしたら、彼の姿がありました。

授業終わってからもう30分以上も経ってるのに…

「お疲れ様。早く帰りや。」
と声をかけて、私は自宅へ向かいました。

すると、後ろから「なぁなぁ」と声をかけて、着いてきました。

「家こっちじゃないやろ?」

「いいねん。」

「良くないわ。早く帰りなさい。」

何を言ってもしつこく後を追ってきて、とうとう自宅近くまで来てしまいました。

私は「このままでは自宅がバレてしまう…」などと色々考えてるうちに腹が立ち、自転車を止めました。

ちょっと、自分、今何してるかわかってる?
したらあかんことしてるの、わかってる?
勝手に人の後を着いてきたらあかんやろ。
…分かったら早く帰りなさい。

へらへらしていた彼は、私が真剣な顔で声を荒げたことにビックリして、キョトンとしていました。

その後、私は自転車に戻りその場を去ると、もう後は追ってきませんでした。


友人に連絡してみた。

私は、警察からの連絡の後、モヤモヤしました。
当時一緒に働いていた友人に連絡すると、

「他に誰か被害を受けた人は…分からんなぁ」

「というか、昔のことやし、裁判とかにも関わってくるかもしれんし、何も言わない方がいいんじゃない?彼の罪が重くなるかも。」

…私は無闇に彼の罪を重くしようとしている訳ではないんやけど…

万が一、ほかに被害に遭った人がいれば、その被害は無かったことになる。それって、悔しくない?

そんなことを思い、私の気持ちを伝えましたが、上手く伝えることはできませんでした。


彼が捕まったと聞き、色々考えたこと。

当時、私は21、22才。彼は17、18才。
ストーカー行為は子どももする、むしろ、子どもだからしてしまう人もいるかもしれません。

当時の彼は、何がダメで、何が大丈夫か、分かっていませんでした。(多分今も何がダメなのか、分かっていないだろうけど…)

私が怒ったのに、彼はキョトンとしていたのは、それがダメな行為だとは一ミリも思っていなかったから。
「これぐらい、いいやろ」と思っていたから。
自分の好奇心に従っただけで、相手に迷惑をかけているとは、全く思っていなかったからだと思います。

あの時、なんと言えば、彼の未来は変わったんだろうか。

はっきりと、「ストーカー行為だから」と言えばよかったのかな。(言ったつもりやってんけどな…)

「訴えます。」
「犯罪ですよ。」
「警察に連絡します。」
高校生相手でも、きちんとそれぐらい言わないといけなかったのかな…と考えました。


こんなことになって、こんなことを言うのは不謹慎だけど、私はラッキーだったと思います。

まず、講師と生徒の関係であったこと。
彼は担当生徒だったので、どんな子かある程度わかっていたし、彼のお母さんと面談をして、色々話したこともありました。

よく知っている人物であったこと、プラス、対等な立場、もしくは私が上の立場であったからこそ、あの時に注意することができたと思います。

もしこれが、先輩だったり、上司だったり、よく知らない人だったとしたら…
考えただけで、身がすくみます。
当時の私では怖くて、自分の身を守る勇気も出せずに、家まで着いて来られていたかもしれません。


警察の方から、被害者は彼の元彼女であることを聞きました。
カップルでも、パワーバランスは大切です。
勝手な予想ですが、彼は彼女より上の立場をキープしていたのかな、と思いました。
彼女は勇気を出して別れたのに、家を知られていたら、ストーカー行為は防ぎようがありません。
それに住居侵入罪まで…

彼女であろうが、彼氏であろうが、家族であろうが、「何をしても良い」なんて関係は一つもありません。お互いの許可があって、初めてその行為は許されます。そうして、健康的な関係性を作ることができます。

「彼女だから、何をしても良い」
そんな彼の考え方が見えて、とても残念に思いました。


ストーカー行為をされた時に、気をつけること。

この出来事の後、私の頭には「死ぬほど怖かった経験」が蘇りました。

彼が捕まる、数年前の出来事です。

私はカナダのとある都市で生活をしていました。
夜の9時頃。
アルバイトが終わり、私はバスで帰宅していました。

別のバスに乗り換えるため、ダウンタウンでバスを降りました。

次のバス停まで歩き、バスを待っていた時。
ふと隣を見ると、全身真っ黒な服装をした、背の高い黒人さん(男性)が…

あれ?さっきのバスにもいた人…
こっちのバス停まで歩いてきたの?
まさか…

私は自分のバスを待つ間、「どうか勘違いであってくれ」と心の中で祈りました。

私のバスが来ました。黒人さんはまだ私の隣にいます。
「どうか一緒に乗らないでほしい」
という私の願いも虚しく、一緒のバスに乗車しました。

私はどこに座っていいのか分からず、思わず前の方に座りました。黒人さんは、私の見える後ろの席へ…
「一番後ろに座ればよかった」と思ったころには、もう遅かったです。

当時、私の住んでいた場所は、いわゆる「白人エリア」でした。静かな住宅街で、この時間に最寄りのバス停で一緒に降りる人はほとんどいませんでした。

「一緒のバス停で降りたら、確信犯。」

そう思い、私は携帯を取り出しました。
当時一緒に住んでいたホストファミリーに、すぐに電話できるようにしました。

とうとう私が降りるバス停が来ました。
私は前から降りると、後ろから黒人さんが降りる姿が…

私はすかさずホストファミリーに電話をしながら、早足で歩き始めました。黒人さんは後ろから着いてきます。

私は怖くなり、駆け足で走り出しました。
電話でホストファミリーに事情を伝えると、「外に向かうから、この電話を繋げたままで!」と言われました。

後ろを振り返ると、街灯も少なく、真っ暗でした。

黒に黒はないやろ〜!!!!
何も見えへんやないか〜!!!!


と心の中で叫びましたが(笑)実際そんな余裕は全くありませんでした。

黒人さんは、そばにいたかも知れません。

必死で走っていると、前から灯りが…
ホストファミリーが外まで迎えに来てくれ、「もう大丈夫」とハグをしてくれました。


帰宅後。
ホストファミリーはお茶を出してくれました。
安心したのか、涙が止まりませんでした。

ホストファミリーから、こんな言葉をもらいました。

「こういう時は、最後までバスを降りないこと。バスを降りたら、誰も助けることができないから。終点で、バスの運転手さんに助けを求めること。」

「座る位置はどこでも良いが、なるべく相手が見える場所、相手からは見えない場所を選ぶと良い。例えば、(私)が後ろ、黒人さんが前。そうすると、彼は後ろを頻繁には見ないだろう。彼がキョロキョロしていると、周りの人が彼のことを怪しむ。」

電話は賢い手段だ。相手が出なくても、電話をするフリをするだけでも、相手は通報されているんじゃないかと思う。」


この件はストーカーと呼べるのか、ただの私の勘違いだったのか、はたまた暴行未遂や誘拐未遂になるのかはわかりませんが(笑)日本でも海外でも、あとをつけられた時、直感的に「危ない」と感じた時に気をつけることは、そんなに変わらないと気付きました。

• つけられている間は、必ず、家には帰らないこと。
• 誰かと電話をすること。(フリでもいいので)
• 誰か信用できる人に迎えに来てもらうこと。
• 家に帰るふりをして、近くの交番に向かうこと。
• 電車やバスでつけられたら、最寄駅では降りないこと。駅員さん、もしくはバスの運転手さんに話すこと。


最後に。

男性であっても、女性であっても、ストーカー行為は許されません。

加害者が知り合いの場合であっても、絶対に許されません。
むしろ、加害者が知り合いの場合の方がややこしいです。線引きが全く出来ていない人は、こちらから線引きをする必要がありますが、知り合いであればあるほど、「これぐらいいいやん」と押され、線引きが難しくなります。

被害者にならないためにも、加害者にならないためにも、大きな事件に発展させないためにも、小さな知識を身につけることは大切だと思います。

この情報が役に立つかはわかりませんが、万が一の時は、有効活用して頂ければ嬉しいです。

そして、身を守れた時には、是非自分に拍手を送ってあげてください。そして、自分を大きく抱きしめてあげてほしいです。危機を乗り越えた自分に、「よく頑張ったね」「えらいよ、自分」「(今日は)自分を守ることができたね」と声をかけてあげてください。

そうすることで自信につながり、少しずつ身を守るシールドを作り上げることができます。シールドが完成する頃には、ストーカーも近寄れなくなります。

少しでも嫌な思いをする人が、減りますように。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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