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「できない」とは言わず、まずは作ってみる――くればぁ開発メンバー座談会

8月23日に販売開始する、くればぁが新規開発したフェーズフリー商品「魔法のポケット」。

今回のnoteでは開発メンバーの座談会で、開発秘話を聞いてみました。いつもは和気藹々とした職場ですが、「記事にします」と言った途端に、急にかしこまって口数が少なくなってしまいました(笑)

そんな中からも、「くればぁらしさ」を感じるエピソードをいくつも聞くことができたので、「いつもは数倍賑やかなんだろうな」と想像しながら、ぜひ読んでみてください!

「魔法のポケット」とは…
いつもはウォールポケット、もしもはポンチョ、移動はリュック。日常生活で使う小物収納用のウォールポケットを、そのまま持ち運びできるようにバッグやポンチョに変化させることで、災害の緊急時や避難時にも使えるようと考案した防災便利グッズです。
非常時だからこそ、できるだけ日常に近い生活ができるようにしたい。そんな思いから新規開発したフェーズフリー商品です。

https://aw.phasefree.net/entry_work/pfaw2023i084/

「フェーズフリー」とは…
「身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるという考え方」のことです。

https://phasefree.or.jp/phasefree.html

松原:
広報担当の松原です。「魔法のポケット」の開発座談会を始めますね。まず、それぞれ自己紹介・仕事紹介をお願いします。

青山:
裁断場の青山です。注文が入ったら、企画書を作成して、それをパターンに起こし、裁断するまでを担当しています。
くればぁでは、22年くらい仕事しています。裁断場の前は、材料を揃えて縫製担当に送ったり、出荷する仕事などをやっていました。

寺山:
裁断場の寺山です。青山さんと同じで、営業さんがお客様から受けた注文に対して、企画書を作って、サイズを決めて、型入れして、カットまでをやっています。
入社してから検品や裁断の仕事をしてきましたが、出産でしばらくブランクがあって、復職してからは10年くらい裁断場で仕事しています。トータルでは20年くらい勤めています。

中西:
ミシン場の中西です。裁断さんから受け取ったものをミシンで縫製しています。
くればぁには10年くらいいまして、最初のうちは検品担当でしたが、あとはずっとミシンを踏んでいます。

松原:
「魔法のポケット」は社長の発案から始まったと思いますが、企画の最初は社長からどんな話があったのか、覚えていますか?

寺山:
100均のウォールポケットとポンチョを持ってきて、「これとこれを合体できないかな?」みたいな話だったと思います。

松原:
2つの商品を合体する……。それで、今の形になったと。どうしてそうなるのか、私には全然わからないんですけど(笑)
商品が完成するまで、どんなアイデアや試行錯誤があったんですか?

青山:
「日常使いのものを、そのまま非常時に持っていける」というコンセプトは決まっていました。
ただウォールポケットとポンチョを合体させるだけでは使いにくいので、持ち運びできるようにしないとなぁと考えたのが最初ですね。
「持ち運ぶならバッグだよね」ということで、いろいろと試作をしてみました。リュックにしたり、ボディバッグにしたり、斜め掛けバッグにしたり。
小さくまとまるエコバッグの作りを参考にして、ウォールポケットとポンチョが一つのバッグの中に畳んで収納できるように工夫しました。
そうやって試作を重ねて、だんだん今の形ができてきたような感じです。

松原:
青山さんって、今まで作ったことないし、まだ世に存在していないものなのに、想像で作り始めるじゃないですか。それってどういう頭の中になっているんですか?

寺山:
うちの青山、天才なのよ(笑)

松原:
ははは、天才だからですか(笑) でも、ほんとにそうですよね。
この前、私がお願いしたバイクに被せる防水シートカバーでも驚いたんです。
「これに合うカバーをつくってください」って、バイクの写真を見せただけなんですけど、試作の1つ目でなんとサイズがピッタリのものができて一発OKだったんですよ!
どうやってるんですか?

青山:
うーん……、なんだろう。まぁ、縦横とかの比率を想像して……、あとは適当に。。

松原:
”適当に”って(笑) 実物のバイクは見ていないので、写真だけでの判断ですよね。バイクによって、ハンドルの形状もタイヤの大きさも異なるのに、形もサイズもピッタリするわけですよ。

青山:
うーん……そんな特別なことをしているわけではないんですよね。写真を見て、大体で作っているので。そう、”だいたい”ですね

松原:
”だいたい”って(笑) 適当とか大体とかって言いますけど、開発秘話を聞きたいので、もうちょっと話してくださいよ(笑)

寺山:
私の場合は、比率を計算したりはするでしょ。高さがこうで、幅がこうだから、何対何っていうふうに。
でも、青山さんは天才だから、すべて厳密に計算するっていうのじゃなくて、曖昧なところは”なんとなく”でやっているんじゃないかな。長年の経験があるから。

青山:
そうそう、なんとなく。”なんとなく”とか”だいたい”とかでしか、自分では説明できないんですよね。

松原:
なるほどー。経験とセンスがモノを言うっていう感じなんですね。
普段から、うちの社長は「こういうの作ってみて」って、無理難題を言ってきますもんね。それに対応しているうちに、イメージ通りのものを作れるようになってきたんでしょうかね。

青山:
それはあるかもしれないですね(笑)
「作って」って言われたら、作るしかないですからね。作り方が分からなくても、とりあえず作ってみようって。

寺山:
私たち、いつもいろんなことを頼まれますけど、「難しいです」「できません」とかって言わないですからね。
ちょっとは「えー」って言っちゃいますけど(笑) 「難しいな」とかは、あんまり思わないようにはしていますね。

青山:
そうそう。まずは試しに作ってみて、そこから調整したりしてね。そしたらできあがる。

松原:
改めて、「魔法のポケット」の開発秘話を聞いていきたいと思います。
最初の試作品はウォールポケットにポンチョがついてるやつですよね。バックにはまだなってない状態の第1号。これができ上がった時の気持ちはどうでした?

青山:
最初に聞いたときは、「えっ、合体させるの?」ってちょっと戸惑いました。
でも、形にしてみると、「まあ、悪くないかな」って。

寺山:
最初は「えー」って思っても、試作品ができると、大体いつも「思ったよりいいじゃん!」ってなるよね。
そうやって1つ目の試作品を作ってみると、「ここはこうした方がいいね」って、またいろんな意見が出てくるんですけどね。

松原:
そのあと、ウォールポケットとポンチョを合体させるだけじゃなくて、持ち運びやすいようにバッグにしようってなったんですよね。
何個も試作品を作っていた開発の現場での話し合いはどんな感じでしたか?

寺山:
最初は「すごくいい」と思ったけど、しょってみたら、ちょっとカバンが背中から離れちゃって。付ける場所変えた方がいいねとか、意見を出し合いました。
それに、ウォールポケットをひっくり返してポンチョにして着るので、着た時には前後左右がどうなるかとか、どういう風に紐がつくのかとかも、いろいろ調整しました。

松原:
「ひっくり返して着る」というのを、平面の生地の段階で考えるっていうのは、私にはイメージするのが難しいですね。

寺山:
あと、ポケットの大きさとかも苦労したところでしたね。実際にものを入れてみて初めて、「こういう感じなんだ」というのがわかるので。

青山:
ポケットの大きさをどのぐらいにするかっていうのは、何を入れるかによって厚みも出てくるので、色々考えましたね。
大きいと重たくなっちゃうし、ポンチョにつけたときのバランスが悪かったり、重さがあると首周りの締め付け感があるかもしれないとか考えながら。

寺山:
ポンチョっていうのが最初のイメージだったので、最初はマジックテープで作ってほしいという依頼だったんです。その方が被りやすいようにって。

青山:
でも、マジックテープで作ってみたら、ちょっと使いにくかったんです。それで、ファスナーがいいんじゃないかなって変わりましたね。ファスナーだと入れる場所がその分広がるので。

松原:
そういった仕様の変更みたいなのは、企画を考えた社長に相談して進めるんですか?

青山:
いえ。試作品を作ってみて、こうした方がいいって思うときは、勝手にやっちゃいますね。

寺山:
今回に限らず、自分たちが作っていく中での試行錯誤はどんどんやっていますよね。たとえ、社長や会長の指示であっても、「それはおかしいな」と思うことがあれば、「えーっ!?」って口に出しちゃいますもんね(笑)

松原:
それは、くればぁっぽい(笑) 上意下達とか御意とかっていうのはないカルチャーですね。

寺山:
それと、サイズも悩みどころでした。みんな体型が違うわけで、裁断場でも私と青山さんでは身長10センチぐらい違いますし。
製造部だけじゃなくて、営業のメンバーとかみんなにも着てみてもらって、ちょうどいいバランスを探して、今の形ができたって感じです。

松原:
まさに試行錯誤だったんですね。
中西さんはミシンで1番苦労したとこ、工夫したとこはどうでしょうか?

中西:
私は、言われた通りやっただけです(笑)

青山:
確かに言いましたけど、それを完璧な形にしてくれるのがすごいんですよ。

寺山:
そうそう。私、よっちゃん(中西さん)は天才だと思う。

松原:
天才が二人も!

青山:
裁断場の私たちは、なんとなく「こうしてほしい」ってイメージを伝えますけど……

寺山:
私たちは「ここをちょっと、こうしてほしいんだよね」って言うだけだから簡単ですけど、それを形にするのは難しいですよ。
裁断した生地から最終形をイメージして、どうやって縫製したらいいのか考えるのが難しいと思います。

青山:
試行錯誤しながらの開発なので、途中で付け替えてもらったりとか、後から作って縫い付けてもらったりとかも結構あるんです。
そういう複雑な構造だから、たぶん中の方までうまくミシンが入らないんじゃないかなと思うんですけど……

寺山:
でも、本当に綺麗にやってくれるんですよね。なんか、頭の中で丁寧に順番を考えてやってくれているんだと思う。

松原:
ただ縫い付けるんじゃなくて、順番があるんですね。
裁断さんから生地をもらった時点で、でき上がりまでの組み立て図みたいなものが頭の中にできているってことですか?

中西:
うーん……なんとなくですけどね。

松原:
青山さんと同じで、中西さんも「なんとなく」タイプなんですね(笑) それは寺山さんに天才と言われるのも納得です。

中西:
あまり深く考えずに、「とりあえずやってみようか」っていう感じで作ってみることが多いですね。深く考えないから、天才とは程遠いと思いますけど……

松原:
さすが、くればぁの「3つの禁句(経験がない、難しい、出来ない)と前向き志向」が根付いているっていうのが感じられますね。

青山:
とりあえず、「やってみよう!」だよね。

中西:
そうですね。「やってみよう」って思っているのはすごくあります。
それで最初にできあがったものを見ると、やっぱり嬉しいですね。

松原:
「できない」じゃなくて、「やってみよう」っていうのは、くればぁの強みですよね。他にはくればぁらしさとか強みって、どんなところで感じますか?

青山:
他の仕事でもいつもそうですけど、裁断とミシンさんの「連携」が強みですね。
最初の段階ですぐに、ミシンさんに「こういうのって縫えるのかな?」って相談します。

寺山:
ミシンさんは基本、無理とかダメとかは言わないですよね。
普通に考えるとできないことでも、「こうしたらできるんじゃないか」って、色々考えてくれるんです。

中西:
「やってみよう」っていうくればぁらしさがあるから、他の会社では作っていないようなものを作るとか、いま無いものを形にするとか、そういう開発力が強みになっているのかなって思います。

松原:
たしかに、それはくればぁの強みですよね。
最後になりますが、仕事のことや商品開発のことなど、みなさんの意気込みなどを教えてください。

青山:
仕事面では、お客様からの注文を希望通りのものに仕上がるようにやっていくっていうこと。
商品開発の方だと、企画のコンセプトを忠実に、みんなが喜ぶような形に持っていきたいなと思っています。
災害時は実際どうなるかってちょっと想像もつかないですけれど、例えばうちの商品の防水の生地を使ってみるとか、何かいいものができないかなって考えています。
自分だけではなかなか考えがまとまらないので、みなさんのアイデアや意見をいただいて、それを形にしていこうと思っています。

寺山:
えっと、私ですよね。かっこよくまとめなくても大丈夫ですか……?

松原:
いいです、いいです(笑) 思っていることを話していただければ。

寺山:
やっぱり、どんなことも嫌と思わずに、とりあえず、なんでもチャレンジしていくのがいいですね。今までもそうですけど、「まず作ってみよう」っていう感じで。
今後も思い込みをなくして、みなさんの声を柔軟に受け入れてやっていきたいですね。
ミシンの中西さんの腕がすごくいいし、一緒に裁断やっている仲間も本当に頼りがいがあるので、みなさんに相談しながら、いい商品が作れたらいいなと思っています。

中西:
私はですね……。もっときれいに作れるようになりたいです。

青山:
えーっ、十分きれいだけど!

寺山:
よっちゃん(中西さん)、天才だもん。

中西:
違う違う違う(笑)
裁断さんにもらった生地で縫製して、試作品ができあがるとみんなが喜んでもらえるのが本当に嬉しいです。
だから、もっときれいに、裁断さんのイメージ通りに仕上げられるように頑張ります。

青山・寺山:
今も十分できています!!


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