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③「思春期・青年期の友達関係による心の成長を観る」、2022年秋アニメ Do It Yourself!! ーどぅー・いっと・ゆあせるふ‼




矢作暮 礼 (やさく れい)


画像引用元:https://diy-anime.com

背が高くショートカットとキリッとしと目元が頼れる先輩のイメージです。

リーダーシップのスキルアップ。



DIY部存続の危機

 1話で顧問の法華津先生がDIY部最後の一人になった礼に存続の危機である事を伝えました。その原因を三つ考えてみます。一つ目は物語自体が近未来であり、時代の移り変わりによりDIY自体に人々の興味が離れていった。二つ目は3年生の卒業。三つ目は部長としての礼と他の部員が持つDIYに対するモチベーションの温度差があり、次第に部員が離れていったと考えました。今回は三つ目の理由を礼のリーダー像から考えてみたいと思います。

礼のリーダー像

 社会心理学者の三隅ニ不ニが提唱したPM理論から。この理論は集団目標を達成するために目標を設定したり計画を立案するP機能と、集団の成員に対しての関係性に配慮する様な集団を維持するM機能(maintenance function)のバランスを4つの組み合わせでPM・Pm・pM・pmの4類型で表したものです。以下に過去における礼のリーダー像を上記のPM理論に当てはめて考えてみました。
 P機能として、ホームセンターワークワンを経営する両親の下で育った事からDIYに慣れ親しみ自然とスキルを積み重ねた事でしょう。そして部を覗きにきたせるふが興味を持っていると見込んで電動工具の使い方を教えたり、入部してからも釘を打つ練習をさていたことから以前から技術指導は得意で熱心なことからP機能は礼の強みの部分だと思います。
 一方、M機能としてはせるふが初めて初めて電動工具でネジ止めした時にうまくできなくても「味があっていい」とフォローした反面、会ったときに話しかけた時に素っ気なかったり、何か話しかけても「あ?」と少々威圧的で取っ付きにくい部分があったり、ジュリエット・クイーン・エリザベス・8世(以下ジョブ子)がDIYを貶したときに何歳も年下と言う事を忘れて強く当たったたりしました。そして、トンカチで襲い掛かるなどの噂などが出たのも、黙々と作業に打ち込む姿に近寄りがたさを感じた人が抱いたイメージだったのかもしれません。礼にとってM機能の集団維持能力は苦手な部分だったと考えました。

 以上から「過去はPm型」のリーダーシップでP機能として技術的な面の指導は存分に発揮されていた一方でM機能としての関わりが苦手であるが故に、部員が集まらなかったり離れていったのではないかと考えました。

それから礼はどの様に変わっていったのでしょうか。
 

新しい部員との出会いによる変容

 礼が部員の居なくなった部室で一人黙々と作業を進める姿は好きなDIYに没頭するだけではなく、どこか寂しさを紛らわしている様に見えました。
 そんな礼が変わったのはせるふを始め新しく入った部員、特に匠に強く影響を受けたと考えます。二人はお互いが好きな物語の「ひまわりの少女」で距離感が縮まってゆきました。それは3話でジョブ子が泣いてるときに考えるより先に行動に移したせるふをみて匠の傍で「すごいな、あの無神経・・」と言いかけて匠の方を見て「遠慮なく踏み込む感じ」と言い換えたり、ジョブ子に「DIYを馬鹿にするならもうここに来るな」と追い払った後に「小学生かよ」と呟き、それを聞いた匠が「そうですよ、年齢的には」の呟きを受けて言い過ぎを反省するなど人間関係に関することは特に匠の目や言葉を意識していた場面などがいくつかありました。
 しかし、あけすけと物言いする反面で人の心に入り込んでゆく事を慎重に考える面があったようで、離れてゆく部員を引き留める事や部員と自身の心の距離を縮める事を難しくしていたのかもしれません。それは、第3話でせるふがDIY部に寄り付かなくなったジョブ子を「じゃあ、迎えに行こうよ」と言った事に少し考えてから呟いた「簡単でいいんだな、こういうのは」の言葉から礼が過去に部員を誘うことが出来なかったり、部員が去っていった時の体験を思い返している様に思いました。
 その後の展開では思い切って自分の家に部員を誘ったりと、一人で部室で黙々と作業に打ち込んでいた時と比べられないほど活き活きとした様子に変わってリーダーシップのスキルアップに繋がっていったのだと思います。

リーダーとしてのスキルアップ

 メンバーが増えて、更に部の活動でツリーハウスと言う上位目標も出来てモチベーションアップに繋がりささくれ立っていた心も落ち着き本来持っていたと思われる面倒見の良さを発揮することが出来るようになったのではないでしょうか。
 例えば、なかなか上達しないせるふには釘打ちの練習をつきっきりで教えたり電動工具でのねじ止めをできないとわかるとベンチを作る時に途中まで締めた最後のネジを手回しのドライバーを使って締めさせ、と言う具合に簡単な作業から少しずつ難易度を上げて教えていました。
 そして、特に危険を伴う電動工具を使わようか迷ってクランプで材料の固定をする作業が適切と判断してやすり掛けをさたりと安全面も考えることも怠りませんでした。せるふに物語の終盤にツリーハウスの最後のねじ止めを電動工具で上手に出来るようなるまで教えていました。
そしてほかの自分で作業を進めることが出来る部員には必要最低限のアドバイスをして任せるなど全員に対して適切に個別的な配慮をしていました。
 さらに、物語がすすむにつれてツリーハウスのデザインや図面など自分より適した部員に信頼して委ねたり、海へ材料を集めに行くなどと気分転換を考えてモチベーションを上げたりとPM理論で最も効果的と言われる「PM型」のリーダーへとスキルアップしていったのだと思います。

その最初の一歩はどう踏み出したのでしょうか。

礼が踏み出した最初の一歩

 匠をはじめ新たな部員との関りで変わっていったのですが最初の一歩は第3話でせるふがDIY部に寄り付かなくなったジョブ子を「じゃあ、迎えに行こうよ」と言った事に少し考えてから呟いた「簡単でいいんだな、こういうのは」と気付いた時だと感じました。

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