映画「窓ぎわのトットちゃん」

黒柳徹子さんの著書「トットひとり」を読んでいる。とても面白い。徹子さんの人となりがもっと知りたくて色々と調べていると、現在「窓ぎわのトットちゃん」という映画が公開されている事を知った。
「窓ぎわのトットちゃん」は、黒柳徹子さんが自らの子ども時代について記した本でベストセラーとなっている。読んだことはなかったけど、自伝的な映画であれば良い機会だから観てみようと思い、旦那をさそって映画館へ足を運んだ。

「窓ぎわのトットちゃん」の上映は一日一回。観客は私達の他に三人の女性。いやに少ないなと思ったけど、ほぼ貸切状態で観られるのでここぞとばかりにポップコーンをどんどん口につめ込んでいた。

(※映画の内容ネタバレあります。)


映画は黒柳徹子さんの短いナレーションから始まり、ナレーションで終わる。アニメを観る時、一種の白々しさを感じてしまう事があるのだが、徹子さんの肉声によってリアルが感じられ安心して、鼻の奥がツンとする。まだ泣くのは早いぞ。

実在する人や出来事だと思えば心に深く沁みてくる。
特に楽器の音が印象的だった。
奔放な行動で小学校を退学させられたトットちゃん(徹子さん)が通い始めたトモエ学園で、先生が弾くグランドピアノ。ヴァイオリニストである、トットちゃんの父が奏でるバイオリン。
自分は大きな音が苦手でバイオリンが時に耳障りにも感じるのだが、徹子さんにとって大切なお父さんに関する記憶の一部だろうと思うと、とても美しい音色に聞こえた。
想像の世界を描いた白昼夢のようなシーンもあり、自分の心の中に引き込んで鑑賞することが大切な映画だと思った。
アニメーションと音楽が大げさに感じる部分もあったが、子どもが観ても分かりやすいように作られているのかもしれない。

トットちゃんの服装や、家具などを見てお家がかなり裕福なことが分かる。
そうだろうな、と頷きつつ多少複雑な気持ちになっている。トモエ学園は経済的に豊かでなくても入れるのだろうか。
トットちゃんも友達の泰明ちゃんも、かなり良いとこの子どもである。自分との家庭環境の違いを感じる。

トモエ学園の校長先生の、子どもへの接し方は理想的だ。子どもの意思を聞いてやりたいように自由にやらせる。だけどいつでも生徒の様子に気を配り、必要な時はサポートする。
こんな学校に通いたいなあと観ていてワクワクした。子供のいる人は、自分の子を通わせたいと思うかもしれない。
理想と現実という言葉があるように実践するのはなかなか大変そうだが、校長先生のマインドだけは忘れないようにしよう。
役所広司さんの声がよかった。

この映画で一番泣いたのは、ヒヨコが死ぬ場面だった。
自分でもここで泣くのかい!と思いながら嗚咽してしまい恥ずかしかった。
半年前の自分なら多分ノーダメージだったろう。他の人にとっては何でもないシーンでも、自分だけの意味を見出してしまうことはあるものだ。
映画や小説、音楽はそういった意味で自分の深層を教えてくれるからおもしろいと思う。

映画を観終わってからあれこれ喋るのは醍醐味だ。旦那はちっとも泣かなかったらしい。
私の感想にことごとく反対意見をぶつけてくるのでムカついた。あまのじゃくな奴としか思えない。しかし、いつも私の観たい映画に付き合ってくれるんだからその点はありがたいよなと考え直す。憎まれ口よりも行動に着目すると、ちゃんとええ男であることが分かる。というかいい人でないと彼を選んだ私が困る。
ちょっと脱線してすみません。良い映画でした。
また、徹子さんの本の感想文を書きます。

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