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人材不足〜高齢者の受け入れの肝

高齢者の受け入れ

あなたの職場に、作業経験のない65歳の方が配属されました。
(65歳以上を高齢者としています)
あなたは自分の職場を守るために、また、その人が少しでも早く戦力になってもらうために、どんなことを行いますか?
おそらくその高齢者の方がどれくらいの体力、能力があるかを知るために比較的簡易的な「軽作業」と呼ばれる分類のものを半日ほど与えて、その人の体力、集中力、技量、そういったものを判断するのではないでしょうか。
早く職場に慣れていただき、人員不足の悩みを解消したいですね。

1つ目の課題「軽作業」

一般の求人項目に書いてある「簡単な軽作業」という表現です。
「一般の人がイメージする軽作業」と「物流倉庫経験者がイメージしている軽作業」には、かなりのギャップがあります。
受け入れる側は、自分たちの基準ではなくて、働いていただく方のそれまでの経験から、ある程度の判断をもとに「軽作業」のイメージを客観的に判断しておくことが必要だと考えます。

2つ目の課題「高齢者の心情」

おそらく高齢者のAさんは、半日行った作業の中で大丈夫ですかと聞かれると出勤初日からネを上げる事はできないと、「大丈夫です」と言います。
でも人によっては、その時点でもうすでに負荷が出ている場合もあります。
例えば、腰に痛みが出ていて「明日大丈夫かな」と考えながらやっている場合もあります。
これは、本人の体力だけが問題ではありません。
経験がないということは、頭と体の使い方を知らないということです。
「軽作業」を教える時に、膝を使った動作や作業姿勢まで教えていたかが、重要になります。
そして教わったことを忠実に守っていたかが重要になります。

3つ目の課題「受け入れる責任者の心情」

2〜3日こなして、少し慣れてきたところで「あーこの人は、指示したことはきちんとやってくれるんだ。」
「この人は雑だな」「マイペースだな」などと考えながらその人に合った作業を考えていきます。
高齢者という一つの括りで、当てにできるかどうかで分類してしまいがちです。
「おじいちゃん」という言葉を浮かべながら物事を考えてしまいがちですが、高齢者という枠組みの中で「働きたい」と思っている方です。
定性的な判断だけではなく、定量的にも判断し、接することが大切です。

4つ目の課題「働く動機」

65歳で「軽作業」を求めてきた方は、失業給付受給で、4時間以下/日を目安に働こうとする人です。
おそらく、立派に定年まで一般の会社で勤めあげた人です。
それなりの実績は成果を出すことができます、しかも緊張して集中している状況なのでミスも多くありません。
一旦は、家でゆっくり過ごそうと思ってみたが、体は元気で、若くないから無理はできないが、まだまだ働ける。という方々です。

5つ目の課題「自分の思いとのギャップ」

高齢者と言うのは集中力が続かず、パッとした判断力などの低下も当然出てくる。記憶力が曖昧になり、自身がなくなってきます。
(本人が気づかない。自己認識とのギャップ)
確かにしっかりと確認して覚えました。
覚えたことを頭のタンスにしまいました。
しまったものが、そのタンスのどこに、どの段の引き出しのどの位置にしまったか瞬間的に出てこない。
知人のことを思い出せずに、顔は出てくるのに、名前が出てこない。
ものは覚えているんだが、名前が出てこない。
順番はしっかり覚えた筈なのに手順に迷いが出る。
次はこれでよかったっけって言うことを考えながらやってきます。
自分の思いとのギャップに気付かされるのです。

6つ目の課題「受け入れる責任」

「人がいない。しょうがないから高齢者を雇うか。」はダメです。
通常勤務者の補充、補助として、高齢者を入れるのではなく、労働力の選択肢として前提条件を理解した上で、「高齢者に働いていただく」のです。
受け入れる側の責任として、高齢者を理解し、高齢者が働きやすい環境を整備することが大切です。
ただし、これは甘やかすことではありません。
その人を正しく評価して、適正に配置するということです。
また、教育の仕方も工夫が必要ですし、仕事のツールも変わってきます。
高齢者は、これまで働き抜いたという経験のプライドというのがあります。
敬意を持って接し、現場管理者として責任を持って対峙していく姿勢が必要です。

7つ目の課題「今後の見通し」

2025年には高齢者人口は3677万人になると見込まれています。
65歳以上が増加することで高齢化率は上昇を続け、2036年には3人に1人が高齢者となります。
今35歳の現場リーダーが、48歳になった頃には、30%以上が高齢者の現場を回すということです。
イメージして、今から取り組むことが急務です。

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