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生死

悲しい事があった。物凄く

朝、いつも通り出勤して職場の美容室の開店準備をしている中。少し低い声で店長に名前を呼ばれた。

「あのさ〇〇さん(60代程の女性)いるやろ?
 皆んな好きやった。
 その人ね一昨日、急死しはったらしいわ。」


え。え、?どういう事ですか?思わず聞き返す。

「つい昨日電話かかってきて。
 突然の事で俺もまだ信じられないんやけど、
 ほんと2週間程前に来てくれたば、、」

最後まで聞き取る前に、急に溢れ出す涙に店長の声は消えていく。状況整理出来ていないはずなのに、身体は素直なのね。
走馬灯の様に蘇るあの方の声と、顔と、仕草。
霞む視界で店内を見渡すと場所場所ごとに思い出される思い出にまた涙が溢れる。

亡くなったってことは、もう会えないってことよね?この世界から居なくなったってこと。よね
自分自身に問いかける。



と言ってもまだ信じられない。
だってあの方有り余る程元気で明るい人でさ。
止まらないくらい話すのが大好きで、この間だって私が担当したヘッドスパも、薄暗い部屋でいかにも寝てください!って感じの雰囲気の中、一生2人で話しまくって笑いまくってたのに。

会う度に「もう仕事なれたか?」
って毎回聞いてくれてよく気にかけてくれた。
「慣れましたよ!この仕事好きなんですよ」
って答えると満面の笑みでそれはええことや!
なんてまたあの大きな明るい声が店内に響く。
「デビューしたら私の髪もよろしくね!」
笑いながら話してくれた。
ダメだな、思い出すとまた涙が止まらない。

初めて体験したお客様の死。
そして初めて体験した身近な大切な人の死。


死って何?
あの人は一体何処へ連れて行かれたの?
いや、でもきっとここに目を向けるのは違う気がする。

残された私には何ができるのか。
ここに目を向ける事が今やるべき事なのかもしれない。
命ある限り死とは隣り合わせであって、その時期が早かろうが遅かろうが迎えは来る。
もし今日、自分にとって大切な人が亡くなると考えた時自分は何を思うだろうか。

悲しみ。その次にはきっと後悔がよぎる。
キリがないほど出てくるであろう後悔を、今のうちに消化していく事が残された私にできる事なのだろう。
「ごめんね、ありがとう」は感じたその時に
「好きだよ、愛してるよ」は溢れる位に伝える
二度と来ない今日をどれだけ大切にするか、二度と来ない今一瞬の時間をどう過ごすか。
ここに答えの鍵があるのかもしれない。


スマホのアラームで目を覚ます。
ここまで打った所で昨日寝落ちしていたみたい。
スマホの画面には涙らしき跡が残る。

日付は2023年12月15日
また始まった今日。精一杯生きることにしよう。
ありがとうバイバイ14日、よろしくね15日






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