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瓜に爪あり、爪に爪なし。1

 前に「予備校はトイレで決めた件について。」でちょろっと話に出した

数学の先生

についての話をする。

 「瓜に爪あり爪に爪なし」というゲッシュタルト崩壊を起こしそうなこの記事のタイトルは、もともとこの実話をもとに脚本のコンクールに出そうとしてつけたものだ。ちなみに、この言葉はウリとツメの漢字間違えを防ぐために作られたらしい。
だが、この言葉からは

似ているようだけど
全然違うんだよ

というメッセージ性のようなものを感じた。

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 私は、高校受験のときからずっと数学の点数がべらぼうに悪かった。

 入学したての頃は、数学頑張る‼︎と意気込んで血眼になって駅の中で教科書を読み、膝の上で問題を解いていた。

なぜなら、

先生が怖かったから。

これに尽きる。

 外見の怖さもあった(失礼)が、何よりもその先生が受け持った世代は学力が伸びるという伝説のような史実があった。そして、課題の量、授業スピードの速さがすさまじかった。畏怖した。畏怖するしかなかった。

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 私は、高校1年生のときは剣道部に所属していて、生徒会もするというなかなかのactive人間だった。だが、課題に対してはinactive人間だった。つまり、課題未提出常習犯。

え?先生が怖いって言ってたのに?
血眼になって問題解いてたのに?

 非常に情けない話だが、話ははじめて課題が返却された日に遡る。

 この日、課題ノートの表紙には青いoctopusが描かれたハンコがバンッと押されていた。そして、「再提出」とノートの表紙の裏に凹凸がつくほどの濃く黒い字で書かれていた。そして、先生が一言「再提出が多すぎる」

呆然とした。自分なりにしっかり課題に取り組んだつもりだった。中学のときはそれなりに真面目にしてて、再提出など一度も無かったから余計にショックだった。そして、ノートを開くと、1ページ1ページに先生のチェックが施されていた。合っているものには○、間違っているものには、表紙と同じ筆跡で「おかしい!」と書かれていた。

もう一度教科書で調べて解き直し、再提出するのだが、それ以降課題を出すときにまた再提出になったらどうしよう、、、という恐怖心が拭えずにいた。

 こうして課題を出すことに抵抗感が出て(言い訳)、部活で帰りも遅く帰宅後疲れてすぐに寝るという負のスパイラルから期限内に課題を出さなくなってしまった。

 そして、課題未提出常習犯の思想は極地に至る。

それは、、、

どうせ遅れるのなら、
誠意を込めて丁寧に課題やってやろうじゃないか精神

 時間の使い方が下手で、期限内に課題を出せなかった私は、ノートの端に「遅れてすみません」と書き謝罪し、提出の際も謝罪し、解答や教科書を読んで問題を理解するまで課題を出さずにいた。そして、どうしてもわからないものは提出の際に先生に質問しまくった。

 こんな非効率的な勉強は、功を成すわけもなく数学の成績は最悪だった。

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 中間、期末考査前日には、必ず「質問教室」が開かれた。質問教室とは、約1時間先生が教室に居て、そこで課題をしたり解らないところを質問したりする場のことだ。

 私は、毎回質問教室に出席した。自主的に出席したこともあったが、課題が終わっていないがための呼び出しとして半ば強制参加で行っていたこともあった。

高校1年生の2学期
保護者会兼期末考査前日

 もちろん、数学の質問教室は行われた。友達と一緒に事前に「参加します」に○をつけていたが、この日は総合の課外活動で市役所に行っていた。市役所に行った後に、再び電車に乗って高校に行くことに気後れしていた。

バックれようと思った。

 市役所から家に帰ろうと自転車を漕いでいると、母親から電話がかかってきた。自転車を停め、電話に出ると、

「あなた、今日数学の質問教室に
行くんでしょ?」

へ?なぜ知ってる?マイマザー?

「担任の先生からあなたが課題を出さないことで注意されたけど、質問教室に参加するっていう積極的な態度は褒められたわ」


あ・・・。行きます。

 すぐに自転車を方向転換させ、駅に向かった。そして、1時間に一本の電車に乗った。

 果たして、少女は質問教室に間に合うのか?

※長くなりそうなので、続編書きます。

瓜に爪あり爪に爪なし
続く.

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