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もう1台いる…(前編)

1997年の学生時代
道央の某市に居た頃の話。

オフロードバイクに夢中だった。
2サイクルオイルの油煙がたまらなく好きだった。

CRMに乗る俺は、毎日林道を走るのが日課だった。
ただ、
途中の道路脇、決まって同じ場所に、
いつも花が手向けられていたのが気掛かりだった。。。


その日は、バイク乗り友人三人と林道へ行く途中にあるダムへと向かった。23時頃だと記憶している。

深夜、走り屋車とすれ違う。シルビア、32スカイライン、当時流行りのセフィーロなど…ラリー屋らしきミラージュなんてのもすれ違った。
気になったのは、側面がボコボコの白いインプレッサ。只ならぬ雰囲気とボクシーサウンドが強烈だった。

俺は、先頭から2台目を走っていた。
そろそろダム入り口。
友人が右ウインカーをあげる。
俺もウインカーをあげた途端、友人が停車した。
ブラインドコーナーの先に対向車がいたからだ。
轟音が徐々に近づく…

間違いなくボクシーサウンドだ…

対向車とすれ違う…
白いインプレッサだ…

側面がボコボコだった…
瞬時にさっきの車だと気がついた。
まだ山道攻めてたんだな。気合の入った人だなぁ。


ダムに着き、静寂と漆黒の中、俺たちの他愛のない話だけがこだましていた。

先頭を走っていた友人が真面目な顔で突然こう言った。
…さっき、同じ車とすれ違ったよね?白インプレッサ。
うぅ~んと、あそこ!いつも花が置いてあるとこ過ぎてからと、ダム入口で2回目さ。見たっしょ?…
俺は即座に同感した。
他の友人2人は車種まで気がついていなかった。
先頭を走る友人と顔を見合わせた。
10分程の短時間に、あの道を一周してくるのは・・・・
     無理だ。
隣の都市経由で1時間はかかる。迂回する林道を通っても40分はかかる。元に戻れる林道なんてない。
周辺の林道は俺が熟知してるし…

何か、やだね…気持ち悪いなぁ…

友人と苦笑いしてインプレッサ話を閉めた。


しばらくして、さすがに眠くなってきたのでバイク4台、
来るときと同じ隊列で走って帰ることにした。

先頭がホンダ製アメリカンバイクに乗る友人。
次が俺。
ホンダ勢が、このグループのペースを作る。

少し離れて、ヤマハ製アメリカンとオフ車が並走する。

そんな、バイク4台が楽しく走る帰路の途中、
この出来事が起きた…

…………………続く

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