ときめくやさしさ
関東に台風がきていて、
雨が降ったり止んだり不安定な天気の日、
彼と家まで歩いていると雨が降り始めた。
信号待ちをしていたが雨が激しくなる前に
家まで着こうと車が通っていないのを確認し、
横断歩道を渡った。
するとひどいスコールになったので、
急いで建物の中に避難すると、横断歩道で信号待ちをしていた
女性がこっちを見ながら近づいてきた。
信号無視をしたことを怒られるのでは?と、わたしは構えていた。
その女性は、「傘がないんですか?よかったらこの傘使ってください。」
びっくりして言葉を失っていると続けて女性は、
「家すぐ近くなので、どうぞ使ってください。」
え?わたしたちに傘を貸して、自分は濡れて帰るの?
なぜだ?どうして?
わたしの頭の中は、疑問でいっぱいだった。
「そんなの悪いです。大丈夫です。」と
「本当に家近いので、使ってください。」が何往復かしたのち、
結局傘を受け取った。
こんなことがあるのかと、衝撃的だった。
自分を犠牲にしても他人に優しくすること。
私と彼は、ここまでの優しさを持っているだろうか。
という話し合いをしながら、温かい気持ちで家に着いた。
わたしは、この傘をいつまでも使い続けたい。
この思い出で、自分をいい方向へと導く選択をしていけるだろう。
女性から受け取った優しさは、わたしが必ず次につなげようと
強く決心した。
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