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炎上している「アサシンクリード シャドウズ」と、コンゴを舞台にした”アフリメ”の「ムフィンダ」について

私はゲームをあまりしないので、ユービーアイソフトが制作したこの「アサシンクリード」シリーズがどれだけ人気のあるゲームなのかはいまいちわからない。

しかし、誤った日本のイメージを世界中に触れ回るこのゲームに憤りを感じるのは日本人としては自然な感情だと思う。

まず、日本が舞台のゲームなのに、主人公が黒人男性である。このシリーズは今まで現地の現地人を主人公にしていた。なぜ、日本だけ現地人を主人公にしないのか?ということがおかしい。
この黒人男性は実在していて、織田信長の刀持ちをしていたと史実に残っている。

史実には残っているが謎が多い人物でその詳細はわからないことが多い。だからこそ、フィクションの登場人物として扱いやすい面がある。
実際にいた人物を主人公にしたのも初の試みであったという。
ユービーアイソフトは史実に忠実に作ったと当初発表していた。日本の歴史に詳しい人がゲームを楽しめると自信満々にしていた。

しかし、歴史考証が雑だと指摘されている。
畳が正方形だったり、桜が満開な時期に田植えが行われたり、その日のお昼に柿がでてきたりと季節感がめちゃくちゃだったりする。
日本の小学生でもおかしいと気づくだろう。

日本向けのホームページには、このゲームはあくまでフィクションですとまるで後だしじゃんけんの様に釘をさしていた。
日本の文化を知らない外国人が見たら、日本がそのような国だと誤解されてしまう。

主人公が忍者なら闇の存在で身を隠して生きなければならないのに、主人公は甲冑をきて往来を堂々と歩いていたりする。
その当時、黒人男性は目立つし、珍しい存在だったはずなのに日本の町人たちはその主人公に違和感なくお辞儀をしていったりする。
たった1年間の訓練で暗殺技術も、書道の腕前も達者であったり、刀を右に携えていたりする。

戦国時代の日本では斬首で人々が死ぬのが一般的であったとユービーアイソフトは主張する。それは日本特有の事象だったという。
町のあちらこちらで黒人男性に日本人が切られまくっている。それを見て不快になる日本人も多くいるだろう。

私は戦国時代に生きていないので実際はどうだったか知らないが、斬首が一般的だったなんて歴史はこのゲームで初めて知った。それ、本当なの?と首をかしげてしまうことばかりだ。

フランスを本拠地としているユービーアイソフト。フランスを舞台に騎士になったアジア人がフランス人を殺しまくる主人公のゲームをしたがるかと言いたい。

黒人男性を主人公にしたことで共感しやすい世界観になったともいい、まるで日本人の主人公では共感できないように言っていた。

このゲームの予告動画を見た日本人の反響の中で、外国旅行に行っていないのにまるで差別体験をしたようだとコメントを残した人がいた。
そのコメントを見て、海外の人も思わず笑ってしまったとコメントにあった。

私も失笑してしまう。初めからなんちゃって日本のなんちゃってファンタジーとうたっていれば、日本人はつっこみながらも笑って許していたかもしれない。下手に史実通りだとするからこれだけ反発が起きたといえよう。

文化盗用って、いまいちどういうことかわからなかったが、こういうことを文化盗用っていうんじゃないかとわかったような気がした。それは怒るなと思う。

前置きが長くなってしまったが、私が本当に紹介したいのは、「ムフィンダ」というアニメだ。

コンゴを舞台に日本のアニメ制作会社・株式会社エヌライトジャパンが新たに「アフリメ」というジャンルを作ってオリジナルアニメを制作している。

『ムフィンダ』はコンゴ民主共和国出身のコンゴ系アメリカ人のペイシェンス・レキエン氏が、自身の家族の体験やコンゴ文化、先祖と精神世界とのつながりを描いた物語。この中で少女オディは過去に飛ばされ、ナサンビという少女と出会う。彼女たちが家に帰りたければ、MFINDA(森という意味)に足を踏み入れ、Nkisi(呪術師が用いる神像)を取り戻すため悪霊に立ち向かわなくてはならない。

「コンゴ民話」に日本アニメを足すとどうなるか アフロ系アニメ「アフリメ」を始めた彼らの思い | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

なんだかとても面白そうである。日本には八百万の神がいて、アフリカの精霊たちを理解しやすい土壌があるのでは?という意見もある。子どもたちが勇気を持って未来を切り開いていく物語はどこの国でも人気だろう。

「コンゴの正しい要素や伝統をしっかりとスクリーンに映し出したい」と、小山田氏。「そこで、日本のチームをコンゴに派遣し、キンシャサの歴史家や現地に住む人々の声を聞き、触れ、匂いを嗅ぎ、人々の振る舞いを見てもらう。そうすることでアーティストは、本で読んだり、映画を見たりするよりもよりよく理解できるはずです。このプロセスは、本物らしさを保つために特に重要なのです」。

「コンゴ民話」に日本アニメを足すとどうなるか アフロ系アニメ「アフリメ」を始めた彼らの思い | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

エヌライトジャパンのCEOである小山田真氏は、『ラストサムライ』『カンフー・プリンセス・ウェンディー・ウー』に出演したことのある俳優兼プロデューサーである。

キャラクターデザインも黒人の方独特の大きな瞳と鼻、厚い唇がかわいらしく表現されて魅力的な雰囲気に仕上がっている。


X African Character Of the Day

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X African Character Of the Day

日本ではこんなに丁寧にアニメというフィクションを作ろうとしている。日本のアニメはかつて世界名作劇場といって「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」や「小公女セーラ」などを作成していて、逆輸入で原作本国でも高い評価を受けていたりする。
「小公女セーラ」はフランスを舞台にしたお話だし、本国フランスでも大変な人気だったと聞く。
日本のアニメはこんなにも外国のお話を尊重して物語を作っているのに、外国では日本はそんなに尊重されていないんだと思うと悲しくなってくる。

「リトルマーメイド」はもともと北欧のお話である。ディズニーは主人公の少女に黒人女性を起用して話題になった、というよりもさまざまな意見が飛び交い炎上した。
「人魚姫」はファンタジーの産物で肌の色など何色でも関係ないといえば関係ない。私も褐色の肌の「人魚姫」がいてもいいだろうと思う。
しかし、もう既存のイメージが出来上がっているキャラクターを変えるのは難しい。
ポリコレという言葉をよく聞くが、マイノリティーや社会的弱者を守る意味で本当に正しいことはなんなのか?と疑問に思うこともある。多様性を重んじれば重んじるほど、簡単な善と悪にわけられないのでは?と思うようになった。

話題にならないことこそが悪いことだという意見もある。「リトルマーメイド」はいろいろな批判があった。国外では苦戦を強いられたものの、全米での興行収入では成功している。

「アサシンクリード シャドウズ」も話題沸騰で、ゲームをやらない私にまでその評判は届いている。炎上商法の波に乗ってこのゲームは売れるだろうか?と思う。私は買わないけど。日本で不買運動が巻き起こりそうな予感がする。

何はともあれ、私の推しアニメは「ムフィンダ」である。既存のキャラクターに頼らず、オリジナルで新たな作品を作ろうとしているエヌライトジャパンに期待している。
こういう地道なモノづくりをする人たちにスポットライトがあたり、良質な作品が世界中に広がればいいと思う。

ポリコレとは「差別・偏見を無くすための運動」
「ポリコレ」とはポリティカルコレクトネス(political correctness)の略称です。 社会制度やあらゆる表現を差別・偏見のないものに変え、人種や性別、年齢、障害の有無などによるマイノリティ・社会的弱者を守るための運動を指します。

NTTコム オンライン ソーシャルリスク対策 ポリコレの意味とは?企業の炎上防止に役立つ具体的な例や施策を解説

参考サイト

エヌライトジャパン


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