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いまどき都内で新築マンションを買うふつうの人の思考

いま、マンションが高い。そんな中で東京の23区内に新築マンションを買いました。

その過程では不安になる時もあったので、もし今から買おうかと考えている方がいれば、こんなヤツもいるんだなという実例としてご笑覧いただけると幸いです。

ネットにある情報は有益なものも多いですが、適当なこと言ってない?と首をかしげるものも散見されますし。
普段は笑って流せる情報も、家を買うという大きな決断の過程では気になってしまいがち。

周りの友人がどうなのかも記載しています。(ちょうど10例)

・マンションを買う理由

マンションを買うことになった理由はありふれたもので、子供が生まれることになって今の家が手狭になるから。
どうせ引っ越すなら、将来子供に迷惑をかけないように持ち家を確保しておいた方がいい。

もちろん賃貸暮らしで別途貯金しておけばいいとも考えられるけれど、残念ながら使えるお金はそれなりに使ってしまう性格です。
毎月の住宅費で住む場所を固定費の感覚で確保しておけば、子供のためにも自分たちの精神衛生上もいいはず。

また、現住戸の周辺で子供と暮らせる賃貸物件を探せば家賃は30万円からで、シンプルに高いなと思いました。
ここまで大きなお金を毎月払うのであれば、何か残るものがいいとなるのが人情というもの。

戸建てについては、最初に入ってきた“都内のどこにでもアクセスしやすい”という条件に予算を加味すると明らかに無理だったので早々に候補から外しました。

ズボラな我々夫婦からすると掃除や管理の楽さが重要で、平屋は都内だとやっぱり無理です。

・なぜ新築か?

新築がよかったというよりは結果的にそうなったのですが、振り返ると我が家の状況からして新築になったことは必然でした。
一番の理由は“楽だから”です。

後述する条件を満たす中古物件を見つけ、契約するのは思ったよりしんどそうだと感じ断念しました。特にいい物件であれば他の人と競合するので運の要素も大きくなってきます。
一番の競合はプロで、本当にいい条件のものを買いたくとも仕事でやっている人たちに勝てる気はしません。

一部の特殊な物件を除けば新築はすんなり買えます。もちろん最上階や角住戸など人とバッティングするこだわりがあれば話は別ですが。
それに加え、我が家はこだわりが世間とずれていたため探すのが面倒くさかったです。具体的には、SUUMOのフィルタに天井高があったらよかったのに、とか。

中古でいいのがあるなと思って詳しく調べていくと条件が合わなかった。そんな悲しい行為を何回か繰り返して、これは自分には無理そうだなと察しました。

新築であれば天井高などはほぼ確実に条件が満たされていますし、もし書いていなくても“マンションマニア”さん筆頭に詳細な情報がネットに転がっていて、ぱぱっと情報収集が完了します。

・設備が古い

和室があったり間取りが好みでなかったり天井が低かったり。築15年という中古の中では比較的築浅のものであっても自分たちのライフスタイルと合わないものが多かったです。
一番大きい差はキッチン周りでしょうか。

リフォームすれば解消されるものも多いけれど、そうすると新築との値段の差があまり変わらなくなります。建物もモノである以上経年劣化は必ずあるにも関わらず。

当然、構造や窓などリフォームでは手の付けられない差も存在します。
特に天井高が上がってきたのは結構最近のようで、中古だと最低限確保したい2,400mmがない物件も。ここが我が家の数少ないズレた条件で、家族の身長が高めで洋風の生活スタイルであることから、できれば2,500mmは欲しかったのです。

都内の新築か10年以内の築浅だとここは基本的にクリアしている印象でした。

・そもそもそんなに安くない

中古物件は市場で取引されているので、とびきりの運がない限りは適正な価格で取引されます。
諸費用も掛かり、管理費や修繕費は当初から高くなっています。今は値上げ相場ということもあって、築浅では新築よりも高いということもざらにあります。

これらを考慮すると、自分の環境では探す手間を上回るほどの安さはないなと考えました。

・時間がない

中古は出物を待てる環境の方向けかなと。

今のマンションで子供と3人で長く過ごすのは厳しかったので、自分に合った中古を探すのは難しかったです。
時間をかけた末見つかればいいのですが、見つからないまま時間だけが過ぎてしまった場合のダメージが大きいと感じました。

一旦少し広めの賃貸に引っ越して、という選択肢もよぎりましたが、引っ越す前提の場所に仮住まいをするのは面倒でした。

ここは子供の状況や実家との関係などによって、新築の方がタイミングが合わないということもありそうです。新築の場合は購入後に年単位で待つことも多いので。
我が家の場合はたまたま自分たちに合った新築物件が存在していただけという可能性も無きにしも非ず。

・まとめると

手間をお金で買ったということになるのかなと思います。
でも、その手数料はそれほど高いとは思いませんでした。

なお、家を買う一番の理由が子供に迷惑をかけないことだったので、築30年以上は検討しませんでした。
マンションの寿命は100年以上とは言っても現状では平均68年で解体されているため、平均寿命からして親(=自分と妻)が死ぬまでは最低住んでいられるというのは絶対条件でした。

もちろん様々な変数があるので新築であってもその通りになるとは限らないですが、目安としてでもキープしておきたいという願望です。

・理想を言えば

予算という条件を取っ払うと、住みたいなと思う場所は千駄ヶ谷でした。
山手線内では静かながらに緑が豊かで最高のジム(東京体育館)もあり、複数路線が使えて新宿まで歩けもする。通勤も買い物もどこにでも行きやすい。

気になる築浅マンションの予算は3億円前後です(ファミリー向け面積)。
逆立ちしても無理ですね。

つまり疑似千駄ヶ谷と目したロケーションのマンションを買ったことになります。

千駄ヶ谷であっても築50年近く経ったマンションであれば手が届くものもあります。言い方を変えれば、新築であることと築何十年かの差が千駄ヶ谷と疑似千駄ヶ谷の差よりも大きいと判断したということになります。

・新築マンションをどう探すか

条件をSUUMOに入れて検索し、よさそうなものを現居と比較して候補をピックアップしました。
ピックアップしたものをさらにネットで調べ(主にマンションマニアさん)最終的に候補は5物件残りました。

実際に探すにあたっての条件は人によって変わってきます。
そのうち、我が家の条件をプラス要素(高くなる)とマイナス要素(世間的にはマイナスだが我が家は気にならない)に分けて列挙します。
・基本条件
予算 8,000万円、60-90㎡の2LDK~4LDK、東京23区内の郊外、所有権
・プラス要素
山手線主要駅のどれかまでDoor to Doorで30分以内(23区の端なら駅近、山手線に近ければ駅距離があってもよい)、夫婦双方の実家までDoor to Doorで1時間以内
・マイナス要素
周辺は栄えていなくてよい、低層階(できれば下に住戸のない最下階)がいい、ハザードは気にならない
・NG条件(基本的にはなさそうだが、もしそうだったらNG)
公立小中学校が遠すぎる、スーパーがない、日照があまりに悪い、駐車場が全くない、管理費等が高すぎる、設備があまりにも悪い(宅配ボックスがない、天井が低いなど。新築だと基本満たしている)
・その他
資産価値がたとえ下がっても住み続ければいいやと思えるかどうかを基準に物件を見ていました。
探し始める前は60㎡5,000万円前後をぼんやりと想定していたのですが、市場に出ている物件実情とかけ離れていたためすぐに面積も予算も上げました。

・結果

・決まった物件

検索開始から契約まで1週間で終わりました。
ネットで条件から検索して残った候補5件のうち最も好印象だった物件のモデルルームを見に行き、その場で決めました。

検索に使った条件に比して決めた物件に好印象を抱いた点は以下です。
交通の便(最寄りの山手線主要駅が今と同じ)、設備仕様、日照(南側の空地率が広く将来的にも保証されている)、物件規模(大規模で管理費が低め)、駐車場条件と自然豊かな点。

周辺に土地勘があったことと、予算に対して余裕のある金額だったことも即決の後押しとなりました。

・購入前との比較

検討時に住んでいたのは築30年近くになる分譲賃貸。山手線内でJRと地下鉄合わせて3路線以上が使え主要駅までも歩けたので、交通の便だけで言えば都内でもかなりいい方だったと思います。
ファミリーの理想とした千駄ヶ谷と属性が近い一方で、より同棲に適していて賑やかな分とても便利でした。

前居との比較では、購入物件の属性は以下のようになりました。
・月の支払:総額は上がるが面積あたりは下がる。総額の上昇は月々貯金の一部。家賃の割合が月収の15%ちょっとから25%近くまで上昇
・交通の便:主要駅までは+5分。山手線内のどこかに行くにあたっては平均+10分くらい
・周辺環境:自然は増え閑静になるが、にぎやかさはなくなる
・専用部分:面積、設備仕様ともにグレードアップ
・共用部分:ほぼないところから大規模になり充実

・予算とローン金利

ローンは単独35年変動としました。最も一般的なものです。

予算の決め方は、ローン返済額+管理費+修繕費と安全とされる住居費比率で逆算しました。共働きではあるのですが、仮に何かあって単独の収入になってしまっても余裕が持てる範囲にしたかったためです。

当時はやはりローンが怖くて検討しませんでしたが、貯蓄分を減らして都心に住めば資産的にはプラスになる公算が高いので、人によってはそちらの方がいいのかも。

例えばつみたてNISAの月10万円分をすべて住居に充てれば、4千万円近く予算を上げられます。二人分だと8千万円近くも。
と言っても高い住居だと管理費の上昇が比例以上となるケースが多いため実際上げる予算はもう少し低いでしょうか。

予算決めはローンを固定にするか変動するかによって左右されます。変動予算でx,000万円の物件相当で固定金利とするならば、物件予算は(x,000/1.3)万円ほどになるはずです。(簡便的に頭金がない想定)

つまり、固定金利とするとローン返済額が1億想定でも物件価格は7,500万円相当になります。結構な差。

金利が上がるのであればインフレもして資産価値も給与も上がるはずなので、変動金利でもそうそう問題は起こらないのかなと。
不動産という担保があるからこそ多数に低金利で貸し出ししてくれているわけなので、その恩恵を受けやすいのは担保見合いの価格を上げられる変動金利です。

もちろん様々な要素が重なりあって変動金利が不利になる可能性もあるのですが、そもそもの予算を余裕を持ったものにしているため、何かあった時は我が家よりも先に立ち行かなくなる世帯が多くなる設定としました。
万一の時も、その前に何かしらの調整はあるのではないかと淡い期待を寄せています。

・どんな生き方をしたいか考えた

・妻と話したこと

すんなり決まった最大の理由は、将来的にどんな生き方をしたいか妻と話していたためです。
家を買うと決める前、なんなら結婚する前から日常的に子供ができたらこうしよう、できなかったらこういう未来もあるよねと妄想話をしていました。

その中で、自分たちの特徴はあまり期待値が高くなく変化を受け入れやすいということだと分かってきました。一方で、数少ないこだわりポイントはちゃんとこだわりたい。

子供ができることや家を買うことは変化の幅を狭めることでもあるので、折り合える落としどころを探っていくとそれが条件になっていきました。

その上で、住居のコンセプトを二人で作りました。上述の住宅条件に落とし込む前のものです。
①家の内外両方で過ごす。部屋がある程度広く、外へのアクセスがいい場所
②4人が同時に別々のことができる(在宅勤務2+勉強+ゲームなど)。子供は2人まで想定
③住宅以外の体験にしっかりお金を使える予算
④ずっと住み続けることになっても問題ないと思える
⑤実家とお互いに助け合える立地

具体的に外へのアクセスを取り上げると、徒歩圏内に施設があることというよりも都内のどこへも行きやすいことが優先されました。

都内といってもすべて欲しいものが揃っている場所はありません。また、せっかく施設に合わせて引っ越したのに、肝心の施設が移転してしまうケースも見てきました。

ジム通いを続ければいいジムに行きたくなってくるし、買い物は大抵がネットで済む一方で実物を見るなら一つは表参道、他は渋谷、やっぱり丸の内のあそこがいいとなり、ましてや人が複数いてそのすべてを徒歩圏内で満たすのは不可能。
なので、徒歩圏内には生活のベースに必要なスーパーさえあればいいということになりました。

今までの家が主要駅徒歩圏内だったので、自分たちの実際の行動を振り返ってみて、どれが必要でどれがいらないか検討しやすかったということはあります。

また、賃貸で住んでいた家が築25年の分譲賃貸で、偶然購入した新築マンションと中古売り出しの坪単価が似ていたため築年数と場所のトレードオフについては感覚が掴めていたことも功を奏した気がします。

・持ち家に決めてよかったこと

実はあまりないな、と思います。
このサブタイトルを書いた後にいくつかよかったことを考えついたのですが、それはどれも持ち家にしたことではなく、子供ができたことが根本の要因だからです。

例えばインテリアをずっと欲しかった好きなもので揃えたこと。これは子供ができて、これ以降しばらくはそれなりに広い家に住むことが見えているから決断しやすくなったものです。

でも、それは賃貸でも同じ。子供がいる限り、たとえ引っ越してもそれなりの広さの家に住むはずです。

ただし、間接的な効果はあると思います。持ち家なので賃貸よりは長く同じ家に住み続けるでしょうし、自分のモノであるという愛着がインテリア選びの熱を加速させていたと感じます。

実際に賃貸で子供を育てた人生を並行することはできないので、あくまで予想ですが。

・周囲を見渡すと

・友人の実例

自分が家を買うと友人とも住宅事情の話をするようになりました。
本当は買う前にするべきですが、仲が良くても懐事情が垣間見える会話って中々しにくいですよね。

新築マンションを買うのは割と珍しい方だったこともあり、色々と話を聞けました。

最近話した30代子持ちの10人ほどを思い出すと、世帯年収がそこまで変わらず、住居費も似通っている(いそう)のが印象的でした。

個々人の年収は凸凹あるのですが、年収の高い層だと片働きになる傾向があり、結果的に世帯年収はだいたい同じに見えるのは面白いです。

10人中、2人が賃貸(どちらも個人事業主)で8人が持ち家。
持ち家のうち、分布は以下です。
1人:23区内山手線内中古戸建。資産価値優先
1人:23区内山手線内中古マンション。子供の学区優先
2人:23区内山手線外新築マンション。都心へのアクセス優先(我が家もここ)
1人:隣接県中古マンション。都心へのアクセスは良好
1人:隣接県戸建て。通勤1時間超で共働き。育休後は片方が仕事をゆるく調整
1人:新幹線通勤広い戸建て。片働きかつリモワ中心
1人:隣接県駅なし車通勤。戸建てを親からもらった
※以上、多少ぼかしています。

マンション4(うち新築2)、戸建て4(うち都心通勤2)と綺麗に分かれています。

アクセスがいいところは築古狭め、郊外は広い新築戸建てになっていて予算はそれほど変わらない感じがします。

最後のケースのみ勤務地が都心ではないので例外ですが、土地がある場所だと親とのつながりが強く影響するのはあるあるな印象です。

みんな古くからの友人なのでなんとなく(最後以外は)親からの援助よりも自力メイン派だろうなと察しています。
また、子供がいないけれど持ち家という人は極端に少ないです。これは既婚独身限らないので、住む人数が見えないと買いにくいというハードルが一番高いのかなと。

年代がもう少し上がってきたら事情は変わってきそうです。

・自分にとっては特別でも、ふつうのこと

何十年もの期間にわたって返さなければならない多額のローンを組むのは結構緊張します。
世間にはいろんな情報があふれていて、思わず足を止めたくなるようなこともあります。

でも子供ができるということには、そんな足踏みを乗り越えるくらいの原動力になる。
それは普通のこと。こうなるまではわからなかったけれど。

どこかに住んで、自分に何が大事で何がいらないのかを知る。
住居を変えて、さらに自分を知っていく。
その過程はこれまでも、これからもきっと変わらないでしょう。

・これから

部屋選びについては以上です。
これ以降もインテリアなど家にまつわることについて書いていきます。

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