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「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(2)権力者や組織にとって従業員など所詮コマに過ぎないと知っておく

(この記事にはネタバレがあります)書店の中でリーダー論だの組織論だのがあふれているが、手に取ってみるとアメリカの理論の受け売りか、きれいごとの類が多い。しかし、実際には権力者にや経営者にとって手下のものは、おのが目的達成、欲望の充足のための道具にすぎないことが多い(まれに部下思い、社員思いの社長や上司がいることは認める。)

 これは自分の実体験でもある。自分の出世や手柄のために、他人を平気で犠牲にできる人間を多数見てきた。逆に言えば人間をコマ扱いできる人間でないと出世できない。どの世界も上にいるのはそんな輩ばかりだった。
 このドラマに出てくる権力者も、それに仕える人間もそんな人間ばかりだ。筋を通す人間も結局は自分の名声が傷つくことを恐れているだけで、本当に国家や民のことを考えている人間がほぼ出てこない。正直はじめはげんなりした。しかし、考えてみれば、自分の周りを見ても人間、結局は自分のことしか考えていないのも現実だ。
 となればこちらも賢くなって、他人の踏み台にされないようにうまく立ち回り、自分や自分が大切に思っている人たちを守らなければならない。残念ながら悪に対抗するには、悪者の手口を知って、防備策を固める必要がある。泥棒に対抗するには泥棒の手口を学ぶ必要がある、
 一例を挙げよう。曹操の息子の曹丕は、弟の曹植と泥沼のような後継者争いを繰り広げた。その時は司馬懿を友人と思い、信頼関係でつながるのだが、王位に就いた途端、司馬懿を警戒し、監視の目を張り巡らす。美女を送り込んで無理やり側室にさせる。ドラマではこの女の方が逆に芝居に惚れ、心強い味方になる。曹丕はさらに、司馬懿をライバルと競わせ、決して突出させた存在にはさせない。それで自分の権力を維持しようとする。そのくせ困ると、司馬懿を頼る。用が済むと、また突き放す。これの繰り返しだ。
 あそこまで世話になった恩人にここまでするのかと筆者はあきれたが、これが中国という社会、あるいは権力闘争の舞台というものかもしれんと思い直した。権力は人を変える。権力者になれば人がコマに見えてくる。宮仕えとはそんな修羅場で生きることなのだと覚悟した方が、精神衛生上はむしろよいということだろう。

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