風見鶏太郎

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「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(4)権力者はこざかしい人間も嫌う(ネタばれあり)

 司馬懿の初期のライバルで楊脩という切れ者がいる。とにかく頭の回転が速い。上司の意図をすぐに読み取り、しかも上の利益を説きつつ、自分の利益にもちゃっかりつなげる。先手を打って、素早く立ち回る。だがそこが仇になる。  曹操が関羽に攻め込まれて苦境にいた時だ。楊脩は損害を広げず、しかも曹操の利になり、さらに自分が仕える曹植の後継者争いも有利に導く、妙案を思いつき、早々に献策し受け入れられる。しかも曹操がなぞかけで出した撤退命令の意図を即座に読み解き、早々に撤退にかかり、周りにもそ

    • 「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(3)あなたは謀略に関心がなくても、謀略はあなたに関心がある

       このドラマを見ていると、やれ名士だの君子だのをきどっているものでも、自分や自分の上を守るために、平気でうそをつき、陥れる場面が頻繁に出てくる。日本人的な感覚からすると、えげつない感じさえするが、むしろこれが世界標準なのかもしれない。  しかし、自分も、ある人間を左遷するために刺身のつまのように、いっしょに飛ばされたことがある。要するに真意をカモフラージュするために体よく、道連れにされたわけであるが、してみると日本の組織でもこういうことは起こりうるということだ。この前も行った

      • 「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(2)権力者や組織にとって従業員など所詮コマに過ぎないと知っておく

        (この記事にはネタバレがあります)書店の中でリーダー論だの組織論だのがあふれているが、手に取ってみるとアメリカの理論の受け売りか、きれいごとの類が多い。しかし、実際には権力者にや経営者にとって手下のものは、おのが目的達成、欲望の充足のための道具にすぎないことが多い(まれに部下思い、社員思いの社長や上司がいることは認める。)  これは自分の実体験でもある。自分の出世や手柄のために、他人を平気で犠牲にできる人間を多数見てきた。逆に言えば人間をコマ扱いできる人間でないと出世できな

        • 「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(1)忘れられた司馬懿・仲達

          2024年4月11日 11:11  司馬懿とか司馬仲達といっても日本人にはなじみが薄いだろう。ライバルの諸葛亮・孔明は有名だが。あるいは三国志も前半の劉備・曹操・孫権が鎬を削るところは興味があるが、後半はちょっとという人も多いに違いない。  「死せる孔明、生ける仲達を走らす」で司馬懿は二流の人というイメージが強いが、筆者は三国時代の真の勝者は司馬懿だと思っている。その権謀術数はすさまじい。これを題材にしたのが「三国志~司馬懿・軍師連盟」というドラマだ。もちろん史実と異なると

        「三国志・軍師連盟」に学ぶ権力闘争のやり方(4)権力者はこざかしい人間も嫌う(ネタばれあり)

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          なぜわれわれは中国の出方を見誤るのか―中国の政治・外交を理解し予測する方法―

           中国政府や中国の政治家の言動にいら立つ人は多い。あるいは唖然とすることも多い。しかしそうも言っていられない。何といっても隣国であり、その影響力を考えるとその動向を無視できない。あるいはビジネスでの付き合いを避けられない人もいるだろう。筆者は歴史の本をよく読むのだが、彼らの行動はある書物に書かれた原理原則を忠実になぞっているだけなのではないかと考えている。それは「〇〇」である。 「〇〇」の解説本には、〇〇の〇〇や〇〇〇〇、慎重に〇〇を見極め〇〇を避けることの大切さといった点ば

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          なぜわれわれは中国の出方を見誤るのか―中国の政治・外交…