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「よって件のごとし」のネタバレ,あらすじ,感想を詳しく紹介

怪奇と感動が織り成す物語:『よって件のごとし』詳細あらすじ・ネタバレ・感想

心温まる江戸怪談の傑作『よって件のごとし』を、あらすじ、ネタバレ、感想の3点に分けて詳細に解説します。

あらすじ

江戸は神田の袋物屋・三島屋は、風変わりな百物語で知られています。語り手一人に聞き手も一人。話はけっして外には漏らさないという厳格なルールのもと、毎回怪談が語られます。

聞き手を務める小旦那の富次郎は、従妹であるおちかのお産に備え、百物語をしばらく休むことに決めた。休止前最後に語り手となったのは、不可思議な様子の夫婦。語られたのは、かつて村を食い尽くした〈ひとでなし〉という化け物の話だった。

ネタバレ

夫婦が語った〈ひとでなし〉は、実は彼らが営む茶屋に居ついた捨て子でした。しかし、その子は生まれつき不気味な外見を持っていたため、村人から恐れられ、迫害を受けてしまいます。絶望した夫婦は、〈ひとでなし〉を村から遠ざけるため、恐ろしい化け物という噂を流します。

しかし、〈ひとでなし〉は純粋な心を持つ子供でした。村人からの恐怖と孤独に耐えながら、夫婦の愛情に支えられて成長していきます。しかし、ある日、〈ひとでなし〉は誤解から村人を傷つけてしまい、さらに恐怖を煽られてしまいます。

絶望した〈ひとでなし〉は、自ら命を絶ちます。夫婦は深い悲しみに暮れ、〈ひとでなし〉の死を悼みながら、真実を語り継ぐことを決意します。

感想

『よって件のごとし』は、怪奇と感動が織り成す、心温まる江戸怪談です。

1. 巧妙な構成と伏線

物語は、三島屋での百物語という設定で幕を開けます。語り手と聞き手のやり取り、怪談の内容、そしておちかのお産という要素が巧みに絡み合い、読者を物語へと引き込んでいきます。

また、〈ひとでなし〉の正体や夫婦の過去など、随所に伏線が張られており、真相が明らかになった時の驚きと感動はひとしおです。

2. 現代社会にも通じる普遍的なテーマ

本作は、江戸時代の怪談を舞台にしながら、偏見や差別、そして人間の本質といった普遍的なテーマを扱っています。

〈ひとでなし〉に対する村人たちの恐怖や迫害は、現代社会における差別や偏見と重なります。また、夫婦の〈ひとでなし〉への愛情や、真実を伝えようとする姿は、人間の優しさを改めて感じさせてくれます。

3. 独特な世界観と美しい文章

宮部みゆきの作品らしい、独特な世界観と美しい文章も本作の魅力の一つです。

江戸時代の風俗や人情が生き生きと描写されており、まるでタイムスリップしたような感覚を味わえます。また、情景描写や心理描写も非常に繊細で、読者を物語の世界へと誘います。

4. 読みやすい長さ

文庫本一冊程度のボリュームなので、気軽に読むことができます。

怪談が苦手な方でも、安心して楽しめる作品です。

5. 心温まるラスト

衝撃的な展開と感動的なラストは、読者の心に深い余韻を残します。

読み終えた後も、しばらく余韻に浸ってしまうことでしょう。

まとめ

『よって件のごとし』は、怪奇と感動が融合した、宮部みゆき渾身の作品です。江戸時代の怪談を舞台に、普遍的なテーマを描き、読者の心に深い感動を与えてくれます。怪談が好きな方はもちろん、心温まる物語を読みたい方にもおすすめです。

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