「田舎の日曜日」を見ました

 フランス映画見たいな〜って言ってたら、フォロワーさんがベルトラン・タヴェルニエ監督の「田舎の日曜日」をお勧めしてくれました。感謝。

 フランス映画には、生活とか会話が丁寧でおしゃれ、という印象がある。映画は好きだけど、にわかオタクなので良い見本がパッと出てこない。「アメリ」が金字塔なのかなと思うけど、昔一度見ただけで、内容をすっかり忘れてしまったのだ。無念。

 これは映画館で初めて見たフランス映画。安楽死を望むおじいちゃんとその娘のお話。おじいちゃんの演技がリアルですごかった。生活は丁寧だったけど、それ故に若干冗長だった気もする。そこのシーン挟むなら、おじいの過去を掘り下げて欲しかったかな……!と何回か思った記憶。

 次に見たのはこれ。残念ながら全部は見れなくて、短編「破局」と長編「恋する男」だけ見た。めちゃめちゃおしゃれ。そして優雅。先入観を羽のように軽く超えていく。みんなに見て欲しいのに、権利の関係で長らく見れない状態にあったらしく、多分配信とかもされてない。(「破局」は10分くらいで、YouTubeに動画がありました)(小声)
 ミニシアターとの相性がめちゃ良かったので、ぜひ第二回をやって欲しい。

 フランス映画の思い出、終わり。
 他にもまだあるにはあるけど、そこまで書くものもない。

 「田舎の日曜日」の話。これね。

 最高のフランス映画だった!!!!!

 いや本当に。私のイメージした通りの空気感で、それを遥かに超えて上質だった。静かな感情の海で揺さぶられるよう。最後は言葉もないのに、切なさが洪水みたいに押し寄せてくる。すごい映画を見た。

 簡単に言うと、老いた画家のところに息子夫婦がやってきて、そこにさらに、普段滅多に来ない自由奔放な娘がやってきて、みたいな話。
 息子夫婦は真面目だから、娘とは価値観が合わない。娘が息子夫婦に敬遠される理由は、見ていればわかる。せっかちで合理的、自分のやりたいことをやる。快活で、行動力に溢れた太陽みたいな女性。私は彼女(イレーヌ)のことがめちゃめちゃ好きだと思ったけど、同時に一緒にいると劣等感を刺激されそうだとも思った。自身に満ちた彼女と対峙すると、自分が間違っているような気分になりそう。

 個人的にはイレーヌと息子夫婦の長男の「ドライブ連れていけよ」「それが女性に対する言い方?」のくだりが好きでした。イレーヌ、親戚のお姉さんとして完璧すぎるキャラクター……。長男はイレーヌに気がありそう。でもお年頃だから素直になれないんだよね。かわいい。

 ラスト10分?5分?くらいの、息子夫婦達が帰った後のシーンがもう本当に凄い。イレーヌも帰って、老画家一人が大きな家に残される(家政婦はいるけどね)。賑やかだった家が急に静かになって、無言。言葉はないの。だからこそわかる。老画家の表情、動き、空白とかつてそこにいたであろう存在。ニューシネマパラダイスのトトがキスシーンを見ているシーンで、みんな一度は泣いたことだと思う。それとは違うけど、似たような衝撃を受けた。めっちゃ良かった。最高。94分と短めの映画なので、皆さんもぜひ。

8.16追記
実写「リトル・マーメイド」の最後の方で、トリトンが旅立つ娘への想いを吐露するシーン。私はあそこに1番心を掴まれたんだけど、「田舎の日曜日」は最初から最後までその時と同じ気持ちを味わえた気がする。

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