映画レビュー『ブルーに生まれついて』(2015年)
1950〜80年代に活躍していたジャズトランペッター、チェット・ベイカーの伝記映画です。白人であり、アイドル的人気とともに実力も兼ね備えていたジャズマンだったそうで、私はこの人を知りませんでしたが、本作はとても質の高い伝記・ジャズ映画だと思います。
チェット・ベイカーを演じる主演のイーサン・ホークが物凄い名演をしています。イーサン・ホークの事は漠然と知っていましたが、50歳を過ぎてこんな名優になっていたとは知りませんでした。ネットの情報によると、親友だった同世代の大スター、リバー・フェニックスが、90年代に薬物過剰摂取の末に死んでしまったのをきっかけに、同じ地位にあったイーサン・ホークはハリウッドの華々しい世界とは距離を置くようになり、マイペースを保って中規模作品への出演をするように方針転換していたそうです。
本作も大作ではありません。とにかくイーサン・ホークの演技に深みがあって圧巻です。チェット・ベイカーというトランペッターは人としてはろくでもない人で、それをイーサン・ホークがこれでもかと具現化していました。もしイーサン・ホークがハリウッドの超大作ばかり目指していたら、こんな名優にはならなかったろうと思わせられるものがあります。
ろくでもない人の人生を映画で観ても何の参考にもならないのですが、音楽というものの魔力を感じさせる作品でした。
しかし邦題がダサいですね。直訳ですがカッコ悪いです。原題は「Born to be Blue」です。
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