ココが変だよ!? 日本の広告業界 〜企画篇・前編〜

※かなり長くなってしまったので前編・後編に分けました、、

■私が広告業界に行くきっかけ

最初に、私が広告業界に行きたいと思ったきっかけを少しだけ。
学生時代、CMプランナーに憧れ、宣伝会議のコピーライター養成講座にも通っていました。

ただ、企画の才能がなかったため、広告会社は上から順番に20社受けましたが、見事に全滅、、涙
旧:電通テック(現:電通クリエーティブX)のCMプロデューサー職に補欠で合格し、今に至ります。

そんなわけで、今でも企画打合せが大好きで、企画作業になると少しでもアイディアを出しては、迷惑がられる時も度々・・・苦笑
今となっては、プランナーよりもプロデューサーの方が向いていたなと思っていますので、これでよかったなと思います笑


■日本と海外のプロダクション業務の違い

ここからが本題です。

企画作業において、広告会社(以下、AG)のみなさんと一緒に進めることがほとんどですが、本来は企画決定してからがプロダクション(=制作会社)の業務であることは、意外と知られていません。

日本と海外の作業フローの違いを図にすると、こんな感じです。

日本と海外の受発注フローの違い

日本では、企画作業からプロダクションが入ることが多いため「プロデューサーシステム」と言われます。
一方海外では、AG内で企画作業を完結し、企画決定後にディレクターへ発注が入る。そこに紐づくプロダクションが制作を担当する、いわゆる「ディレクターシステム」と言われています。

この違い自体は全く問題なく、むしろプロダクションのプロデューサー権限が大きいように見えるため、むしろやりがいがあります。

ただ、、実はここの企画作業におけるフローが、 プロダクション業界の中で大きな問題をひき起こしています。
クライアント・AG・プロダクションの関係値において、旧態依然の縮図といえるでしょう。


■企画作業におけるプロダクション参加の問題点

改めてになりますが、企画作業からプロダクションが参加することはなんら問題なく、むしろ自分は大好きな作業なので、最初の打合せからぜひ参加させてもらいたいと思っています。

しかし、日本特有のこのフローは、今の時代に合わなくなってきたと感じます。 ここには、AGとプロダクションという受発注の関係色が強く表れがちであり、 特に、競合プレゼンでは顕著です。

広告会社と制作会社、それぞれの事情

これらの事情(=思考回路)はちょっと大げさに書いています。 必ずしも全員に当てはまるものではありませんし、あくまで私が考える一般論です。

先日のnoteに「プレゼン費は投資と考える」と書きました。
弊社のプレゼン費における赤字の金額は年間で軽く1000万を超えます。
大手のプロダクションはもっとでしょう。

それであれば、このプレゼン費は勝っても負けても、実にしていかないといけません。 一緒にご飯を食べたり、ゴルフをしたりすることも大事ですが、一緒に仕事をすることが何よりの営業活動になります。そして自分もそのメリットを十分に享受してきました。

この点も、プレゼン費がなくてもプロダクションが引き受ける理由です。
私もこの投資のおかげで今があります。
(自分の場合は、企画が好きすぎて必要以上にオーバークオリティになる時もありますが、、汗)

つまり、この構造は誰が悪いわけでもありません。
AGのみなさんからお仕事を頂く際、いつもプレゼン費が少ないことを申し訳ないと気にしてくださります。
この文化がずっと続いてきたので、上記の思考回路は至極当然なことです。 なによりも、プロデューサーがそう判断してプレゼン作業を受けています。無理なら断ればいいだけです。お互いにメリットがあるわけですから。

ただ、、

ビジネスの側面で見ると、健康的ではないことは誰が見ても明らかです。
悪く言えば、相手の好意や立場を前提とした「足元をみている」という下請けの悲しい構造が見え隠れするからです。それは今の時代にマッチしているのでしょうか、、

一方で、プロダクションにとって、企画プレ作業のボリューム(=労働時間)は非常に大きいものとなります。(資料探し・ビデオコンテ作成・スタンバイ等)

プロダクション業務の範囲外である企画作業で、プロダクションマネージャー(以下、PM)がヘトヘトになってしまい、本来の制作進行業務に影響がでていることも否めません。

また、海外では普通に企画作業がAGで完結できているのに、 日本は企画作業をAG内でできないこと(その仕組みがないこと)も大きな要因です。 (ちなみに、日本の外資系AGはその仕組みがありつつ、そもそも企画プレは字コンテだったり、戦略を元にパートナー選定のプレゼンという意味合いが強かったりします)

もちろん日本のAGでも、CRによっては、企画作業をAG内で完結させている方もいます。(が、競合プレでは稀です。)

問題点をまとめると、

・競合企画プレにおける費用の初期設定が内容に見合っていないこと
・競合勝利のために、提案内容を費用内に収めるということが難しいこと
・AG都合の「勝ったら」という部分が制作会社への強要に繋がっていること
・企画作業のボリュームが、本来の制作業務に悪影響を与えていること
・プロダクション側にも、赤字になってもメリットが生じる可能性があり、この問題を直視していないこと
・そもそもAG内で競合プレに対応できるリソースがプロダクション以外にないこと

では、これらの問題点を解決するためにどうすればよいのか。

(後編につづく)
https://note.com/clever_macaw763/n/n09c6e43a1aff

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