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プロを扱うための条件

 今、スタートアップ事業に取り組んでる諸君。あなたの事業を遂行するにあたって文字通り数多くの<プロ>が関わっていく必要があるだろう。官公署への書類作成・提出や契約書の作成であれば行政書士、役員や法人成立、法的手続きであれば司法書士。税務については、税理士。システム関係の作成であればエンジニアなど1人では全てをこなすことはほぼ不可能な状態だからこういったプロの方々に外注するのが一般的だろう。
 しかし、<プロを雇うのであれば必ずその分野の内容を雇用側であるあなたも熟知していること>という絶対条件があることはご存知だろうか。これを聞くと、<わからないから、プロにお願いするのでは?>という反論意見も出るだろう。しかし、それはあなたの大切な事業だけでなくあなた自身を滅ぼす原因となる可能性もあるのだ。
 だから、今回はプロを雇うために準備するべきモノをこの記事に書いていく。

 そもそも、プロとはどういう存在なのだろうか。一般的に先述したような司法書士や税理士などは士業といわれておりこれらは国家資格を取得しており、かつ、免許を持ってる人を指す。また、エンジニアについてもITパスポートという国家資格を持っていたり、実績としてどのようなシステムを作ったのかのポートフォリオの存在が彼らのプロとしての質を表すだろう。
 
 では、国家資格とはどういうものか。これは、例えば医師であれば医師法。弁護士であれば弁護士法、税理士であれば税理士法のようにそれぞれ国家資格にはそれぞれの法律が適用されている。そして、医師法を例に挙げると下記のように書かれている。

第17条<医師でなければ、医業を成してはならない>
第18条<医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない>

 この第17条は、法的用語で表すと<業務独占>、第18条を<名称独占>と言われておりこの医師国家資格を持ってなければ医業を行うことも、それに似た名称を使うことも法律で許されていないのだ。これは、医師に限らず全ての国家資格に書かれている。
 これは、日本国憲法第22条第1項の職業選択の自由に反しているようにも見えるのだが、医師であれば医業というものが国民の生活上の損益に多大な影響を与えることから公共の福祉に合致した合理的なものであるがゆえに憲法第22条第1項に反してないという最高裁の判決が出ているものだ。それは、医師だけに限らず有名なもので司法書士の登記制度が挙げられる。この司法書士の登記制度については、司法試験にも常連で出てくる合憲内容だ。

 この内容から、プロを雇わないといけない場面というのはスタートアップをするのであれば不可欠となるだろう。しかし、彼らは法律の上で業務独占を約束されている存在であるため、報酬の額の上限が空天井なのだ。例えば、顧問税理士を雇うのであればいくら必要か。税理士に確定申告をお願いすればいくら必要になるのか。これらの値段の設定が各々の税理士・弁護士次第という状態にあるのだ。

 例えば、一般の物で単純にファストフード店で人を雇うとなれば時給いくら必要か。コンビニで雇うとなればどうだろうかという話になれば、各店の時給を見ると各地域の最低時給から最低時給+100円程度と考えることができるだろう。しかし、弁護士や税理士を雇うための相場は一般の目では判断しにくいのだ。

 また、それだけに限らずどこまでの内容が彼らにしかできない内容なのか。どういった内容を依頼すれば良いのかでさえも知らない人が多いことが事実だ。

 こういった、状況でもしも顧問をお願いしたらどうなるだろうか。スタートアップをしてる中でどこまでが法律のサポートが必要かわからない状態であれば顧問料をタダ支払ってるだけとなる。また、その弁護士の質によっては法のトラブルに対処できない場合も残念ながらあるのだ。これは、税理士に至ってもそうだ。
 また、法律相談する際も何もわからない状態ではそもそも相談する内容さえも思いつかないというパターンも少なくない。結果として、何かトラブルを起きた後にようやく弁護士に相談するというケースがある。これでは、何のために毎月高い顧問料を払っているのかわからなくなるだろう。

 だからこそ、自分自身もそれなりの法律知識や税務に関する知識を持っておかなくてはならない。
 
 これは、病院で、自分の血液型やアレルギーの有無、女性であれば生理痛の際に扱ってる鎮痛剤は何かという内容を答えられるのと同じだ。先述したように士業の資格は全て名称独占・業務独占の特別な資格だ。でも、だからと言って士業の勉強をしてはならないということは決してない。実際に、士業の資格のほとんどは受験資格というものがない。その結果として、行政書士の最年少合格者が中学2年生という事例も生まれているのだ。だから、勉強くらいは普通に誰でもできるのだ。その最低限の知識を基にプロと話し合うことでどこからが士業の仕事なのかを判断できる。また、その知識がその士業のレベルを図るための一つのモノサシにもできる。
 また、彼らのことはそれぞれの会に名簿がある。例えば医師であれば医師検索で名前を書けば一発で医師であるかどうかが判断できる。これは行政書士であれば行政書士会、弁護士であれば弁護士会で調べれば一発で出てくるのだ。また、それだけでなくいつ士業になったのか。どこの事務所に所属しているかまでわかる。それを見て、相場を考えることが可能となるのだ。
 そう。確かにあなたが雇う人はプロかもしれない。だが、プロからしたらあなたは、クライアントであり大事なお客様だ。だから、クライアントであるあなたが相場を見極める能力と知識を持って査定することができるのだ。

 だから、ぜひ、あなたも査定する力を身につけてスタートアップ事業に臨んでほしい。

 

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