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誰にも届かない

「食べたら食べっぱなし〜」
「使ったら使いっぱなし〜」
「片づけてくれませんか〜?」


……。


はて、わたしはいまこの家に一人だっただろうか?


家族全員そろっているはずの家で、わたしの声は誰にも届かない。

孤独感を覚えながら寂しさを感じる。


シュッシュッシュッ。
消毒液をテーブルにかけて、布巾で丁寧に拭いていく。

寂しいなぁ。


「わたしの声は誰にも届かない〜」

「聞こえてるよ〜」
「返事したじゃん」


「みんな心の中で返事してたかもしれないけど、何の音も聞こえませんでしたよ〜」


「バレたか、テヘ」

夫を含めみんながそういう。
おいおい。返事とは心の中でするもんかえ?


家族はわたしのことを超能力者とでも思っているのだろうか。


わたしが家族に声をかけて返事をしてもらえないことが、たびたびある。


わたしは本当にここにいるのか?と疑うほどだ。

もしかするとわたしは自分で「ここにいる」と思い込んでいるだけで、本当はいない。とさえ思う。


誰にも返事してもらえないことで、いともカンタンにわたしは孤独感に陥る。家族がそろっているこの家で。



孤独は好きだとしても、孤独感はキライだ。


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