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FOMCって何? (愚痴日記 第5日)

オンエア前だというのに、
プロデューサーSが、まだ、
ゴチャゴチャ言ってくる。
先輩キャスターMもしつこいけど、
Sも負けじとしつこい。
もう、一杯一杯だっていうの。

「で、もう一つだけ補足しておこう。FRBは12ある地区連銀を束ねる組織だけど、実際に金融政策を決めているのは、その中にあるFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)だ。
メンバーはFRBの7人と、地区連銀の総裁から選ばれた5人(ニューヨーク連銀総裁は常任 残り4人は輪番制)を加えた12人によって、金融政策が決められている。FOMCは年間8回開かれていて、その結果は全世界の注目を集めることになるわけだな。」

「日銀にも同じような組織がありましたよね・・。金融政策なんとか会合とかいう・・・」

うっかり、話を長引かせる質問してしまった。

「そう、『金融政策決定会合』だな。これがFOMCに相当する。実は日銀が金融政策を決める仕組みは、アメリカを真似て作られているんだ。開催回数も同じ年8回、構成メンバーはアメリカより少ない9人で、総裁、副総裁2名、審議委員6名だ。」
「最後に一つだけ。FOMCも金融政策決定会合も、メンバーの多数決で金融政策を決めている。トップであるFRB理事長も日銀総裁も1票しか持っていないんだ。」

「トップの打ち出す金融政策が、通らないこともある・・・?」

また、話を長くする質問してしまった。
どうした、私。

「他のメンバーが反対すればね。もちろん、そうしたことはほとんど起こらない。しっかりと議論をして、意見をとりまとめてから採決するからね。日銀の場合、ほとんどが「全員一致」で金融政策が決められてきたけ。でも、ギリギリになったことがあった。2016年1月の金融政策決定会合だ。この時、賛成5,反対4と、わずか1票差だった。」
「危なかったですね。」
「マイナス金利政策の導入だ。政策金利をマイナスにするなんて、前代未聞で、『混乱を招く』などとして、反対意見が噴出したんだ。なんとか可決されたけど、黒田総裁は冷や汗をかいただろうね。」
「金融政策決定会合の決定内容は、日銀のHPで誰で見ることができる。そこでは、『反対1名』などと記載され、その人の名前と反対理由が短く記載されているから、チェックしてみるといい。」

そんなヒマないし、興味もない。
もう、この話は終わりにしたい。
でも、Sは解放してくれない。

「FOMCも金融政策決定会合も、その結果は大きな注目を集めている。アナリストたちが、血眼になってその動向を予測しているのは、儲けに直結するからだ。」
「金融政策は株価や為替相場を大きく左右する。FOMCで政策金利が引き上げられれば、株価は下落するし、円安が進む。それを正確に予測できれば、先回りすることで、大儲けできるんだ。」

お金儲けにつながるの?ちょっと興味が出てきた。

「お金儲けに直結するから、真剣勝負というわけですね。」

「金融機関やシンクタンクには、金融政策を予測する専門のアナリストがいる。アメリカの場合は”Fed Watcher"、日銀の場合は"BOJ Watcher"と呼ばれてる。ウォッチャーたちは様々な情報を収集分析し、予想の正確性を競っているんだ。」

「日銀の金融政策決定会合は、2日間開かれる。で、2日目に結果が公表されるんだけど、時間は決まっていないんだ。会合終了後、総裁の記者会見が15時半に設定されているから、それより前ということだけは確かなんだけどね。あっさり決まれば、早々に発表されるし、議論に時間がかかっていれば遅れる。で、遅れていると、『特別な決定が下されるかもしれない』と、市場関係者がざわつき、それだけで株価や為替相場が大きく動いたりもするんだよ。」

「次の日銀の金融政策決定会合は、4月27,28日だ。植田新総裁になって、最初の会合だから、注目度はマックスだ。私もMも、午前中からスタッフルームに詰めている。君も一緒に発表を待つんだよ。」

え、私も付き合わなくちゃいけないの?
その日は、友達とランチする予定だったのに・・・。

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