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ある男の言葉

みち子さん(仮)が亡くなった。
老人ホームの部屋で一人。


時間は夕方5時前後。


結婚はしていたが子供はいない。
ご主人もすでに亡くなっている。


引き取る親族もいない。


生活福祉課が手続きをして
市民斎場で火葬される。


たった一人で。


誰にも見送られることもなく。


自分もケアマネとして担当していたが
火葬までの事は考えていなかった。




みち子さんが亡くなった翌日
老人ホームの管理者に電話をした。


後処理のために。


管理者はめちゃくちゃ忙しい人。


見ていてこっちが辛くなるくらい
いっつも仕事に追われている。


今回も急に亡くなったから
対応に追われているだろう。


その管理者が言う。


「火葬の日が決まったら行ってくる」


え?


そんな激務なのに?


他のスタッフも行かないのに?


そんな質問を矢継ぎ早に投げかけた。


「うん…。一人じゃ寂しいだろうから」


そう答える管理者。


その後、すぐに電話を切ったが
リスペクトの気持ちを伝えたくて
すぐにチャットを送った。


〇〇さん

あんた偉いね‼️

誰よりも忙しいのに‼️

涙が出ちゃうよ😭

マジで!

身体壊さないでくんさいよ‼️

名前以外、原文まま。



少しして、管理者からの返信が届く。

どうしたんすか??

べらんめえ調で。

一人で逝かせるのは、寂しいじゃありませんか。

俺だったら。。。

けんいちさんが来てくれると信じてるけど。。。

お願いしまーす‼️

名前以外、原文まま。


今日の朝、みち子さんが火葬される。


自分も見送りに行くことにした。


少し負い目を感じながら。




それにしても改めて思う。


いい管理者だなって。


人間らしいなって。


友達でよかったよ。




谷塚さん。

どっちかがくたばるまで続けよう。

〝年一酒〟


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