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大学研究者が「いい研究」「研究の新しさ」について思うこと。

「いい研究」ってどんな研究なのかなと日々想いを巡らせる。

自分の中では1つの結論が出ていて、「人のため」「地球の未来のため」に資する研究が「いい研究」だと思っている。

こんなことについて、いろんな人と話すけれど、人によって「いい研究」が何を指すのかは面白いように違う。

潜在的に、直感的に、「人のため」「地球の未来のため」の研究をすることに反対意見などないように思うが、ニーズに合わせない(社会的要請に応えない)からこそ、自由に発想し、斬新なアイデアが創出され、新しい化学が生み出される、そういった意見に共感しないわけではない。

ただ、何も縛られない新しい発想ができる人など、ほとんど存在せず、大抵は誰かと発想がかぶってしまう。なので、結局は予備知識が必要となるが、予備知識が頭に入ってしまうと、新しい発想ができなくなってしまうものである。何にも捉われずに新しいアイデアを生み出すことは、当たり前だが難しい。

こんなことを堂々巡りで考えていると、次に思い浮かぶことは、「研究の新しさ」についてである。
「革新的」「創発的」「ゲームチェンジング」「イノベーション」など、「新しさ」を表現する言葉はたくさんあるが、この「新しさ」についても意見が分かれるところである。

研究はロジカルで理詰めではあるが、このあたりはアートに近いと思っている。先行研究を組み合わせても新規性は獲得できるし、先行研究から逸脱した思いもよらない発想も当然、新規性を獲得できる。どちらの研究がより評価に値するかを決めることは簡単なことではない。

研究者はある意味で表現者だと思う。だから楽しいのかもしれない。幸運にも、学生の頃目指した研究者に今なれているのだから、この幸運に感謝しながら、自問自答しながら、悩みながら、考えながら、これからも表現したいと思う。

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