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#8 音楽

あなたが書いた歌は
誰かへの愛で溢れていた
あなたが話す物語は
甘酸っぱい恋の匂いがした

私にはなくてあなたにはある
そんなもの数えきれないほどある
いや 実際は 数えようなど
思っていない

私には知らないことがある
あなたが考えていることも
想いを寄せている人物も
何もかも知らないよ

知りたいだなんて
思ってはいけない?
私は
あなたの音楽が
あなたの小説が
あなたの世界が
こんなにも大好きなのに

優しい目をしている
私を映さない
暖かい声をしている
私の名を呼ばない

わかってる
現実は夢とは違う
この想いが届くこともない
ただあなたの幸せを
願うことしかできないんだ

薄明
あなたの歌声が
私の耳に届いた
いつもと変わらない
優しい音
私は小さく口ずさんだ

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